展示会ブースの施工を進める前に、平面図とCGパースを用意しておくと、レイアウトの失敗を減らしやすくなります。
平面図では、受付、展示台、商談席、ストックなどの位置関係を確認できます。一方、CGパースでは、壁面の高さ、色、照明、グラフィックの見え方まで立体的に確認できます。
特に、展示物が多いブース、商談スペースが必要なブース、施工予算の上限が決まっている案件では、いきなり施工内容を決めるより、先に空間設計を固める方が進めやすくなります。
展示会ブースの平面図とCGパースは何が違う?
平面図とCGパースは、確認できる内容が異なります。
| 制作物 | 確認できること | 主な目的 |
|---|---|---|
| 平面図 | 什器、通路、受付、商談席などの配置 | 動線と必要面積の確認 |
| CGパース | 色、素材感、高さ、照明、全体の印象 | 完成イメージの共有 |
| 立面図 | 壁面や正面から見た寸法 | 施工内容の確認 |
| 展開図 | 各壁面のデザインや寸法 | グラフィックや造作の確認 |
| 什器図面 | 展示台やカウンターの形状 | 製作内容の具体化 |
| 電気配置図 | 照明や電源位置 | 電気工事の計画 |
平面図だけでは、ブースの見た目までは判断できません。
反対にCGパースだけでは、通路幅や商談席の間隔が十分か、ストックの面積が足りるかといった細かな配置を確認しにくくなります。
そのため、展示会ブースでは平面図で配置を整理し、CGパースで完成イメージを確認する組み合わせが実用的です。
なぜ施工前に平面レイアウトを作る必要がある?
展示会ブースでは、限られた面積に複数の役割を入れる必要があります。
例えば1〜2コマのブースでも、次の要素が必要になることがあります。
- 商品展示スペース
- 来場者が説明を聞く場所
- 受付カウンター
- パンフレット置き場
- 商談テーブル
- 荷物を置くストック
- モニターや映像機器
- 電源を使用する機材
これらを感覚だけで配置すると、当日になって「人がすれ違えない」「商品を見る人と商談する人が重なる」「受付が入口を塞いでいる」といった問題が起きやすくなります。
平面図を作る目的は、単に見栄えの良い配置を考えることではありません。
限られた床面積を、目的に合わせて分配することです。
CGパースを作るメリットは完成イメージの共有
展示会ブースでは、担当者本人がイメージできていても、上司、営業担当、施工会社が同じ完成形を想像しているとは限りません。
「開放的にしたい」
「高級感を出したい」
「目立つブースにしたい」
このような言葉だけでは、具体的な完成形を共有できません。
CGパースがあると、次の内容を視覚的に確認できます。
- 壁面の高さ
- ブランドカラーの使用範囲
- 商品の見せ方
- サインの位置
- モニターの設置場所
- 照明を当てる位置
- 商談スペースの雰囲気
- 通路側から見た印象
施工後に修正するより、CG上で確認してから方向を決める方が変更範囲を小さくできます。
特に社内承認が必要な企業では、文章だけで説明するより、完成イメージを見せた方が判断材料を共有しやすくなります。
1コマ・2コマの小型ブースでも設計は必要?
小型ブースほど、平面レイアウトの重要度は高くなります。
理由は、使える面積が少ないからです。
大きなブースなら、受付、展示、商談を離して配置できます。しかし、小型ブースでは同じ空間に複数の役割を持たせる必要があります。
例えば、限られた面積に大きなカウンターを置くと、それだけで来場者が入りにくくなることがあります。
反対に何も置かず開放しすぎると、説明する場所や資料を置く場所がなくなる場合があります。
小型ブースでは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 最も重要な展示物を決める
- 来場者をブース内へ入れるか、通路側で接客するか決める
- 商談席の必要数を決める
- ストックが必要か確認する
- 残った面積に受付や什器を配置する
「必要なものを全部置く」のではなく、優先順位を決めることが重要です。
大型ブースでは何が変わる?
3コマ以上のブースや大型ブースでは、単純に面積が広くなるだけではありません。
複数方向から来場者が入るため、入口を一つだけ想定した設計では対応しにくくなります。
大型ブースで検討したい内容は次の通りです。
- どの通路から来場者が来るか
- 主力商品をどこから見せるか
- 受付を何カ所設けるか
- 商談席と展示スペースを分けるか
- ストックへの出入りをどこにするか
- 高い位置のサインをどの方向へ向けるか
- 照明やモニターに必要な電源をどう配置するか
大型になるほど、平面図だけでなく、立面図、展開図、什器図、照明や電気配置などの詳細図面が必要になる場合があります。
そのため、依頼前に「デザインイメージだけが必要なのか」「施工用の詳細図面まで必要なのか」を分けて考える必要があります。
展示会ブースのデザイン依頼先はどう選ぶ?
展示会ブースの設計は、依頼先によって対応範囲が異なります。
| 依頼先 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
| 施工会社 | 製作・設営までまとめやすい | デザインのみの比較が難しい場合がある |
| CGパース制作者 | 完成イメージの可視化に強い | 平面計画や施工知識の範囲を確認 |
| 空間デザイナー | 動線と見た目を総合的に設計 | 施工範囲は別途確認が必要 |
| グラフィックデザイナー | 壁面やパネルの表現に強い | 空間レイアウトが対象外の場合がある |
今回のように、平面レイアウトとCGパースをセットで必要としている場合は、「立体画像を作れるか」だけで判断しないことが重要です。
確認したいのは、展示物のサイズ、必要設備、商談スペース、施工予算まで踏まえてレイアウトを考えられるかどうかです。
施工予算を伝えてからデザインする理由
展示会ブースのデザインでは、最初に施工予算を伝えることが重要です。
予算を伝えずにデザインを進めると、完成した案が施工予算を超え、後から大幅に簡略化することがあります。
例えば、見た目だけで考えれば、
- 大型の吊り構造
- 高い壁面
- 特注什器
- 複雑な曲面造作
- 大量の照明
- 大型映像設備
などを使えます。
しかし、施工費、運搬費、電気工事費、会場規定への対応などを考えると、すべての案が現実的とは限りません。
最初から製作予算を共有し、その範囲で優先順位を決める方が、デザインと実際のブースとの差を小さくできます。
デザイン依頼前に準備する7つの情報
平面図やCGパースを依頼する前に、次の情報を整理します。
1. 展示会名と会場名
会場ごとにブースの仕様や規定が異なることがあります。
まず展示会名と会場を伝えます。
2. 出展者名とロゴデータ
社名サインや壁面グラフィックに使用するため、正式な社名表記とロゴデータを用意します。
3. ブースサイズ
縦、横、高さの情報が必要です。
ブース位置が分かる場合は、角小間か中間小間か、どの方向が通路に面しているかも共有します。
4. 展示物の情報
実物を展示する場合は、サイズが重要です。
次の情報を用意します。
- 幅
- 奥行き
- 高さ
- 重量
- 写真
- 製品ページのURL
大型機械や設備を展示する場合は、搬入方法も別途確認が必要です。
5. 展示パネルの有無
解説パネルやグラフィックを掲示する場合は、必要な枚数やサイズを整理します。
内容が未確定でも、必要面積を先に確保しておくとレイアウトを作りやすくなります。
6. 必要設備と備品
例えば次のようなものです。
- 受付カウンター
- 商談席
- 商品展示台
- モニター
- カタログラック
- ストック
- 冷蔵設備
- 給排水設備
後から大きな設備を追加するとレイアウト全体を変更することがあるため、早い段階で伝えます。
7. ブース製作予算
デザイン費だけではなく、実際のブース製作に使える予算を共有します。
予算に合わせて構造や什器の数を調整しやすくなります。
基本プランの内容はどこまで?
今回紹介しているサービスでは、1〜2コマ向けの基本プランとして、次の内容が案内されています。
- 平面レイアウトの作成
- ブースイメージのCGパース1カット
基本料金は35,000円と案内されています。
また、必要に応じて、
- パースカット数の追加
- 3コマ以上のブース
- 立面図
- 展開図
- 各什器図面
- 照明配置
- 電気配置
なども別途相談できます。
ここで注意したいのは、基本プランに無料修正が含まれていない点です。
ラフ提案は1案と案内されているため、発注前に展示内容、必要設備、予算、希望イメージをできるだけ具体的に伝えることが重要です。
パースは何カット必要?
小型ブースでは、1方向から全体を確認できる場合、1カットでもイメージを把握できることがあります。
一方、次のようなブースでは追加カットを検討します。
- 複数方向が通路に面している
- ブース内部に商談室がある
- 高い壁面や吊り構造がある
- 表側と裏側で用途が異なる
- 大型展示物で死角ができる
何カット必要かは、ブースの広さだけでは決まりません。
「確認したい視点が何方向あるか」で判断すると無駄を減らせます。
経験年数だけでなく対応経験の幅も確認する
展示会ブースは、業界によって必要な設計が異なります。
食品なら試食や給排水、機械なら大型製品の展示スペース、ITならモニターや商談場所、美容なら商品展示とブランド表現が重要になるなど、条件が変わります。
今回紹介している出品者は、都内のディスプレイ会社に30数年在籍し、モーターショーのメーカーブースのほか、化学製品、医療、食品、物流、建築建材、セキュリティ、美容化粧品などの展示会ブースを担当した経験があるとしています。
また、展示会以外にもショールーム、店舗、イベントなどの空間・ディスプレイデザイン経験が案内されています。
展示内容が特殊な場合は、見積もり相談時に業界、展示物のサイズ、必要設備を具体的に伝え、対応可能か確認しておくと安全です。
施工会社へ渡す前にデザインを整理する方法もある
施工会社へすべて任せる方法だけが選択肢ではありません。
先にデザイナーへ平面図とCGパースを依頼し、ブースの方向性を整理してから施工の相談を進める方法もあります。
この方法は、
- 複数の施工見積もりを比較したい
- 社内承認用の完成イメージが必要
- 展示内容は決まっているが配置に迷っている
- 予算内でどこを優先すべきか整理したい
という場合に向いています。
ただし、デザイン図と施工用図面は同じものではありません。
CGパースが完成しても、そのまま施工できるとは限らないため、施工会社が必要とする図面の範囲を確認してください。
平面図とCGパースは施工前の判断材料になる
展示会ブースで大きな失敗を避けるには、施工前の段階で問題を見つけることが重要です。
平面図では、人の動きと什器の配置を確認できます。
CGパースでは、来場者からどう見えるか、壁面やサインがどのような印象になるかを確認できます。
この2つを使えば、
- 通路が狭すぎないか
- 商品が隠れていないか
- 商談席が多すぎないか
- 社名が見えるか
- 高さを使う必要があるか
- 施工予算に対して過剰な構造になっていないか
を施工前に検討できます。
展示会名、ブースサイズ、展示物、必要設備、施工予算が分かっているなら、まず平面レイアウトと完成イメージを整理するところから始められます。
特に、1〜2コマの限られた空間を有効に使いたい場合や、大型ブースで施工前に全体像を共有したい場合は、図面とCGパースの両方を作れる依頼先を選ぶと進行しやすくなります。

