展示会の準備では、パネル、ポスター、テーブルクロス、タペストリー、パンフレット、ノベルティなど、多くの販促物が必要になります。
ここで注意したいのが、各アイテムを別々の業者やデザイナーに発注することです。
個別発注そのものが悪いわけではありません。しかし、担当者ごとにデザインの解釈が異なると、ブース全体の色、フォント、写真の使い方、キャッチコピーの強さが揃わなくなります。
展示会では、一つひとつの制作物よりも「ブース全体で何を伝えるか」が重要です。
そのため、複数の販促物が必要な場合は、最初から全体を一つのデザインとして設計し、必要なアイテムへ展開する方法が向いています。
展示会の販促物を一括デザインすると何が変わる?
結論から言えば、一括デザインの最大のメリットは「目立つこと」だけではありません。
来場者がブースを見た瞬間から、説明を読み、商品を理解し、資料を持ち帰るまでの流れを統一できることです。
展示会では、来場者との距離によって必要な情報が変わります。
- 遠くから見る:何の会社・サービスなのか
- ブース前を通る:自分に関係があるか
- 立ち止まる:具体的に何を提供しているか
- 商談する:導入する価値があるか
- 帰宅後:どの会社だったか思い出せるか
この流れに合わせて、タペストリー、パネル、パンフレット、ノベルティを設計すると、それぞれの制作物に明確な役割を持たせられます。
反対に、各制作物を単体で考えると、すべてに同じ説明を詰め込んだり、制作物ごとに違うメッセージを発信したりする状態になりやすくなります。
個別発注と一括デザインの違い
展示会用の販促物を準備する方法は、大きく分けると個別発注と一括デザインの2種類です。
| 比較項目 | 個別発注 | 一括デザイン |
|---|---|---|
| デザインの統一 | 調整が必要 | 統一しやすい |
| 担当者との連絡 | 複数窓口になりやすい | 窓口をまとめやすい |
| 修正作業 | アイテムごとに指示 | 全体を見ながら調整可能 |
| ブランド表現 | ばらつきが出る場合がある | 一貫性を持たせやすい |
| 初出展との相性 | 担当者側の判断が多い | 全体相談がしやすい |
すでにブランドガイドラインや完成済みのデザインデータがあり、必要なものを印刷するだけなら、個別発注でも問題ありません。
一方で、次のような場合は一括デザインとの相性が良くなります。
- 初めて展示会へ出展する
- 何を作ればいいのか決まっていない
- 現在の資料やロゴしか素材がない
- ブースに統一感を出したい
- 複数業者とのやり取りを減らしたい
- 印刷物ごとのデザイン調整が難しい
重要なのは、制作物の数ではありません。
「デザインを作る前に、ブース全体を整理する必要があるか」で判断すると選びやすくなります。
一括で揃えたい展示会の販促ツール
展示会の規模や目的によって必要なものは異なりますが、代表的な販促ツールには次のようなものがあります。
バックパネル・タペストリー
遠い位置にいる来場者へ、会社名やサービス内容を伝える役割があります。
文章を大量に掲載するよりも、
- 誰向けのサービスか
- 何を解決するのか
- 他社との違いは何か
を短時間で判断できる設計が重要です。
展示パネル
商品やサービスの特徴を整理して伝えるツールです。
A1などの大型パネルでは、情報を詰め込むより、1枚ごとにテーマを分けた方が読みやすくなります。
例えば、
- 課題
- 解決方法
- 導入メリット
- 実績
- 利用方法
という形で役割を分けられます。
テーブルクロス
テーブルクロスは面積が大きく、ブースの印象を左右しやすい部分です。
ロゴを配置するだけでなく、バックパネルやタペストリーと色や図形を合わせることで、ブース全体のまとまりが出ます。
ポスター
新商品、キャンペーン、実績など、特に強調したい情報に向いています。
ブース全体の情報を載せるのではなく、「このポスターでは一つの情報だけを伝える」と決めた方が役割が明確になります。
パンフレット
パンフレットは、ブースを離れた後に検討してもらうためのツールです。
展示パネルの内容をそのまま縮小するのではなく、
- サービスの詳細
- 導入までの流れ
- 料金やプラン
- 問い合わせ方法
など、後から確認したい情報をまとめます。
ノベルティ
ノベルティもブースと無関係なデザインにするのではなく、他の販促物とロゴ、色、メッセージを揃えることで、展示会後の接点として使いやすくなります。
限られた予算では、すべてを作る必要はありません。
出展目的から逆算して、必要なアイテムを選ぶことが重要です。
展示会デザインの外注先は何を基準に選ぶ?
展示会用の販促物をまとめて依頼する場合、単純にデザインの見た目だけで選ばない方が安全です。
特に確認したいのは次の4点です。
ブース全体を考えて制作できるか
パネル単体、ポスター単体の制作経験だけではなく、複数の制作物を一つのコンセプトで設計できるかを確認します。
重要なのは「全部同じ色にすること」ではありません。
遠距離、中距離、近距離で見る情報を整理し、それぞれの制作物に役割を与えることです。
対応できる制作物の種類が多いか
最初はパネルだけを予定していても、準備を進める途中で次の制作物が追加されることがあります。
- テーブルクロス
- タペストリー
- のぼり
- パンフレット
- Tシャツ
- ノベルティ
追加制作が想定される場合は、最初から複数媒体に対応できる依頼先を選ぶと、デザインを引き継ぎやすくなります。
データ納品だけか、現物納品まで相談できるか
デザイン完成後に、自社で印刷会社を探して入稿する方法もあります。
ただし、サイズ、素材、印刷仕様などに不慣れな場合は、現物納品まで相談できるサービスの方が準備を進めやすくなります。
特に初出展では、デザイン完成後の工程も含めて確認しておくことが重要です。
修正条件を確認する
展示会では、社内確認による文言変更や商品情報の差し替えが発生することがあります。
そのため、発注前に、
- 無料修正回数
- 大幅な方向転換の扱い
- 納期
- 素材提出の期限
- 編集可能データの納品可否
を確認しておく必要があります。
展示会の販促物を外注するときの費用の考え方
展示会用デザインの費用は、制作物の種類と数によって変わります。
今回紹介しているサービスでは、目安として次の価格が案内されています。
| 制作物 | 目安価格 |
|---|---|
| A1パネル | 30,000円~ |
| ポスター | 30,000円~ |
| テーブルクロスデザイン | 20,000円~ |
| Tシャツデザイン | 10,000円~ |
| ノベルティデザイン | 10,000円~ |
| 三つ折りパンフレット | 35,000円~ |
| のぼり・タペストリー・バックパネル | 20,000円~ |
| ブース全体設計 | 50,000円~ |
実際の金額は、サイズ、制作内容、点数などによって変わるため、複数の販促物を依頼する場合は見積もり相談から始める方が確実です。
また、費用を抑えるために制作物を減らす場合は、単純に安いものから選ぶのではなく、来場者との接点から逆算します。
例えば、遠くからブースを発見してもらうことが課題なら、まず大型のバックパネルやタペストリーが優先候補になります。
ブースには人が来るものの、サービス内容が伝わっていないなら、展示パネルの情報整理を優先します。
商談後の検討につながりにくいなら、パンフレットや持ち帰り資料の見直しが必要です。
初めての展示会では「何を作るか」から相談する
初出展では、「パネルを3枚作りたい」「タペストリーが必要」と最初から制作物を決める必要はありません。
先に整理するべきなのは次の内容です。
- 展示会名
- 出展目的
- 来場してほしいターゲット
- 展示する商品やサービス
- ブースの大きさ
- 現在用意できる素材
- 予算
- 納期
同じ1小間のブースでも、目的によって必要な制作物は変わります。
新商品の認知が目的なら、大きなビジュアルと短いメッセージが中心になります。
複雑な法人サービスの商談獲得が目的なら、課題と解決策を整理したパネルや、持ち帰って比較検討できる資料の重要度が上がります。
まず目的を整理し、その後に必要な制作物を決める順番が効率的です。
発注前に準備しておくもの
デザイン制作をスムーズに始めるため、発注前に素材をまとめておきます。
最低限確認したいものは次の通りです。
- 会社ロゴ
- 商品写真
- サービス画面の画像
- 使用したい文章
- 既存の会社案内
- Webサイト
- ブランドカラー
- 過去のチラシや広告
- 出展要項
- 各制作物のサイズ
すべてが完成している必要はありません。
特に文章については、最初から完成原稿を作ろうとすると準備が止まりやすくなります。
「誰に」「何を」「どのように伝えたいか」を箇条書きにしておくだけでも、打ち合わせの材料になります。
ただし、ロゴや写真などの支給素材が揃ってから制作開始となるサービスもあるため、納期が短い場合は早めに素材を確認してください。
展示会では販促物を別々に考えない
展示会ブースでは、バックパネルだけが目立っても、パネルの説明が分かりにくければ商談につながりにくくなります。
反対に、詳しい説明パネルを作り込んでも、遠くから何のブースか分からなければ、読んでもらう機会を作れません。
重要なのは、それぞれの販促物を単体で考えないことです。
- 遠くから認知させる
- 興味を持たせる
- 内容を理解してもらう
- 商談につなげる
- 展示会後に思い出してもらう
この流れの中で、パネル、ポスター、タペストリー、テーブルクロス、パンフレット、ノベルティの役割を決めます。
複数の制作物が必要で、自社内だけで全体設計を行うのが難しい場合は、一括デザインを選択肢に入れる価値があります。
展示会の日程が決まっている場合は、制作物が完全に決まるまで待つのではなく、展示会名、目的、予算、納期、現在用意できる素材を整理した段階で相談を始めると、準備の遅れを防ぎやすくなります。

