居酒屋のメニュー表を作るとき、店名や料理名を筆文字にすれば、それだけで雰囲気のあるメニューになるわけではありません。
筆文字が効果を発揮するのは、売りたい料理、季節限定商品、店の看板メニューなど、視線を集めたい場所に役割を持たせたときです。
反対に、すべての料理名、価格、説明文まで同じ強さの筆文字で埋めると、何を見てほしいのか分からなくなります。
居酒屋のメニューで重要なのは、「和風に見せること」ではなく、料理を選びやすくしながら、店らしさを伝えることです。
この記事では、筆文字メニューが向いている店の特徴、筆文字を使う位置、料理写真やイラストとの組み合わせ方、制作を依頼するときの準備まで具体的に解説します。
筆文字が効くのは「全部を手書きにしたとき」ではない
筆文字メニューの役割は、メニュー全体を和風にすることだけではありません。
本来の役割は、文字そのものに強弱をつけることです。
たとえば、次の3つを比べると役割が異なります。
| 表現方法 | 得意な役割 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 一般的な印刷フォント | 読みやすく情報を伝える | 説明文、価格、注意書き |
| 筆文字 | 視線を止め、印象を残す | 看板料理、おすすめ、見出し |
| 料理写真・イラスト | 料理の内容を直感的に伝える | 売りたい料理、説明しにくい料理 |
筆文字だけですべてを解決しようとするより、読みやすい文字と組み合わせた方が、メニューとして使いやすくなります。
たとえば、
「本日のおすすめ」
を筆文字で大きく見せ、その下の商品名や価格は読みやすい文字で整理する方法があります。
重要なのは、筆文字を装飾ではなく、視線を誘導する要素として使うことです。
居酒屋のメニューで筆文字が活きる5つの場所
看板料理の商品名
店として最も注文してほしい料理は、他の商品と同じ大きさで並べる必要はありません。
たとえば、
- 名物 炙り〆さば
- 地鶏炭火焼
- 一本だし巻き
- 特製もつ煮込み
- 朝獲れ刺身盛り
など、店の代表料理を筆文字で見せると、通常の商品一覧との差を作れます。
商品名の周囲に余白を取り、写真や短い説明文を組み合わせると、より選ばれやすくなります。
本日のおすすめ
日替わり商品や季節商品は、通常メニューとは異なる動きのある表現と相性があります。
「本日のおすすめ」
「数量限定」
「今だけ」
「店主おすすめ」
などの見出しを筆文字で作ると、定番商品との差を出しやすくなります。
ただし、限定表示を増やしすぎると特別感が薄れます。
本当に優先したい商品だけに使う方が効果的です。
商品カテゴリーの見出し
料理数が多い場合は、カテゴリー名に筆文字を使う方法もあります。
たとえば、
- とりあえず
- 刺身
- 焼き物
- 揚げ物
- 〆もの
- 甘味
という見出しです。
商品名まで全部を筆文字にせず、カテゴリーだけに使えば、雰囲気を維持しながら読みやすさも確保できます。
店頭メニュー
店外に置くメニューは、短時間で内容を理解してもらう必要があります。
この場合、店内メニューより情報量を絞り、
- 店名
- 業態
- 看板商品
- 価格帯
- 営業時間
など、入店判断に必要な情報を優先します。
大きな筆文字は遠くからでも印象を作りやすいため、店頭メニューやおすすめ看板との相性があります。
季節限定メニュー
春の山菜、夏の冷酒、秋の魚、冬の鍋など、季節性を伝えたい料理にも筆文字が使えます。
通常メニューと同じ書体を使うより、季節ページだけ筆文字の見出しを入れることで、ページを開いたときの変化を作れます。
筆文字メニューが向いている店と向いていない店
筆文字は、すべての飲食店に必要なデザインではありません。
店の業態や客層との相性を考える必要があります。
相性が良い店
次のような店舗は筆文字を取り入れやすい傾向があります。
- 居酒屋
- 焼き鳥店
- 焼肉店
- 寿司店
- 和食店
- ラーメン店
- そば・うどん店
- 海鮮料理店
- 日本酒を中心に扱う店
- 和風カフェ
料理そのものに力強さや職人感を出したい業態では、筆文字が店の雰囲気と一致しやすくなります。
慎重に使った方がよい店
一方、次のような店舗では、筆文字を全面的に使うより、一部のアクセントとして使う方法が適しています。
- ミニマルな高級レストラン
- 海外風のモダンカフェ
- 若年層向けの韓国風カフェ
- 近未来的なコンセプト店
- 極端にシンプルなブランド設計の店舗
筆文字を使うこと自体が問題なのではなく、内装、ロゴ、料理、客層との不一致が問題になります。
店の世界観と合わない場合は、無理に筆文字を使わない方が統一感を保てます。
注文されるメニューは情報の強さに差がある
メニュー表で失敗しやすいのが、すべての商品を平等に見せることです。
商品の重要度には差があります。
たとえば、次の4段階に分類できます。
- 最優先で売りたい看板商品
- 利益率が高く伸ばしたい商品
- 安定して注文される定番商品
- 品ぞろえとして必要な商品
この優先順位を決めたうえで、文字の大きさ、写真、配置面積を変えます。
最優先商品
大きな筆文字、料理写真、説明文を組み合わせます。
伸ばしたい商品
写真または短いおすすめ表示を付けます。
定番商品
一覧で探しやすく整理します。
補完商品
小さくまとめ、主役商品と競合させないようにします。
筆文字は、この情報差を作る手段の一つです。
すべてを大きく目立たせるより、目立つ商品と探しやすい商品を分ける方が、メニュー全体を読みやすくできます。
料理写真と筆文字はどちらを優先するべきか
結論から言えば、料理によって変えるべきです。
見た目が魅力になる料理は写真が強く、商品名そのものに力がある料理は筆文字が活きます。
写真を優先しやすい料理
- 刺身盛り合わせ
- 肉の盛り合わせ
- 海鮮丼
- パフェ
- 大皿料理
- 豪華なコース料理
実物の量や豪華さが注文理由になる商品は、写真の役割が大きくなります。
筆文字を優先しやすい料理
- 店名を冠した名物料理
- シンプルな焼き物
- 煮込み料理
- だし巻き玉子
- 日本酒
- 季節限定商品
写真だけでは差が伝わりにくい商品では、商品名の見せ方や説明文が重要です。
イラストが向いているケース
料理写真を用意できない場合や、手描き感を強く出したい場合は料理イラストという方法もあります。
写真よりも情報を整理して描けるため、筆文字との統一感を出しやすいのが特徴です。
ただし、全商品をイラスト化すると制作費も増えるため、看板商品だけに使う方法が現実的です。
筆文字メニューを依頼する前に整理する内容
依頼前にすべてのデザインを決める必要はありません。
ただし、掲載情報が整理されているほど、制作は進めやすくなります。
最低限、次の内容をまとめます。
- 店舗の業態
- 料理名
- 価格
- ページ数
- 希望サイズ
- 縦向きか横向きか
- 縦書きか横書きか
- 使用したい料理写真
- 希望納期
- 売りたい商品
- 店舗の雰囲気
特に重要なのは、「全部を同じように載せてほしい」と伝えないことです。
制作側には、
「この料理を一番売りたい」
「この3品は人気商品」
「ドリンク注文を増やしたい」
など、優先順位を伝えた方がレイアウトを組みやすくなります。
自作・フォント・筆文字制作を比較
居酒屋らしいメニューを作る方法は一つではありません。
| 方法 | 費用 | 独自性 | 読みやすさ調整 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 自分で手書き | 低い | 高い | 作る人次第 | 手書きが得意、頻繁に変更する |
| 筆文字風フォント | 低い | 中程度 | しやすい | 簡易メニュー、更新頻度が高い |
| プロに筆文字制作を依頼 | 制作費が必要 | 高い | 構成から相談可能 | 店の個性を出したい、全面改修したい |
筆文字風フォントは便利ですが、多くの店舗で同じ文字が使われるため、独自性には限界があります。
一方、自分で書く方法は個性がありますが、文字の強弱や全体の配置まで考える必要があります。
プロへの依頼は費用が必要になる代わりに、筆文字単体ではなく、商品配置、写真、見出しを含めた全体構成を相談できます。
今回のサービスで依頼できる内容
今回紹介しているサービスでは、A4片面1ページの筆文字メニューが基本料金9,000円です。
B5からA3サイズまで対応し、縦向き・横向きの双方について相談できます。
手持ちの料理写真を使った制作にも対応し、希望する場合は料理イラストを別料金で追加できます。
料理イラストは1点500円から、A4サイズのメニューを1ページ追加する場合は8,000円の追加料金が設定されています。
また、サービス情報上では無料修正回数が無制限となっており、制作途中の内容変更についても相談できる内容です。
向いているのは、次のような店舗です。
- 居酒屋らしいメニューを作りたい
- 既製フォントでは雰囲気が出ない
- 看板商品を強く見せたい
- 写真と筆文字を組み合わせたい
- 商品構成が完全に固まっていない
- ページ構成から相談したい
- 料理イラストも取り入れたい
- 定期的なメニュー改訂を予定している
逆に、文字と価格だけを機械的に並べた簡易メニューが必要な場合は、筆文字制作の利点を活かしにくいため、テンプレートや自作の方が効率的なケースもあります。
「手書きっぽさ」と「読みにくさ」は別物
筆文字メニューでは、雰囲気を優先しすぎて読みにくくならないよう注意が必要です。
特に価格や説明文まで崩した文字で書くと、注文時に読み取りにくくなります。
役割を分けると整理しやすくなります。
筆文字で見せる部分
- 看板料理名
- カテゴリー名
- おすすめ表示
- 季節限定表示
- 店の短いキャッチコピー
読みやすい文字で見せる部分
- 価格
- 細かな説明文
- アレルギー情報
- 注文条件
- 営業案内
- 注意書き
「全部を筆文字にする」のではなく、視線を止めたい場所だけに使うことで、メニューとしての機能を保てます。
メニューを作り直す前に売上データも確認する
デザイン変更だけで終わらせず、現在の注文状況も確認します。
最低限見ておきたいのは、
- 注文数が多い料理
- 利益率が高い料理
- 注文数を増やしたい料理
- ほとんど注文されない料理
- 一緒に注文されやすい組み合わせ
です。
たとえば、利益率が高い料理があまり注文されていないなら、その商品を筆文字と写真で強調する理由があります。
一方、すでに十分売れている商品に大きな面積を使う必要がない場合もあります。
デザインを変更する前に、「どの商品を動かしたいのか」を決めておくと、メニュー改修の目的が明確になります。
メニューリニューアルは一度で完成させなくてよい
メニュー表は一度作ったら終わりではありません。
季節商品の変更、価格改定、新商品の追加、注文状況の変化によって見直しが必要になります。
最初から完璧な1冊を作ろうとするより、
- 売りたい商品を決める
- 新しいメニューを導入する
- 注文数を見る
- 商品配置を見直す
- 半年後や1年後に再調整する
という運用の方が現実的です。
今回のサービスでは、2回目以降の注文について価格面の相談が可能と案内されています。
継続的に季節メニューを更新する店舗では、最初の制作費だけでなく、その後の改訂方法まで確認しておくと運用しやすくなります。
筆文字は居酒屋の「売りたい順番」を伝えるために使う
筆文字メニューの価値は、単に和風で格好よく見せることではありません。
- 看板商品を最初に見せる
- おすすめ料理へ視線を集める
- 商品カテゴリーを分かりやすく分ける
- 店の雰囲気を伝える
- 写真だけでは伝わらない個性を作る
という役割があります。
重要なのは、すべての文字を強くすることではありません。
売りたい料理は筆文字と写真で大きく見せ、定番商品は探しやすく整理し、価格や説明文は読みやすくする。この強弱が、メニュー全体の使いやすさにつながります。
現在のメニューが「料理名と価格を並べただけになっている」「居酒屋らしさが出ない」「看板商品が他の商品に埋もれている」という状態なら、筆文字を含めたメニュー全体の再設計を検討する価値があります。
店の雰囲気を作りながら、売りたい料理の優先順位まで伝えられることが、筆文字メニューの大きな強みです。

