外国人客への対応を始めるとき、最初に考えやすいのが外国語メニューの作成です。
ただし、日本語の商品名をそのまま機械的に英語、中国語、韓国語へ置き換えるだけでは、注文しやすいメニューになるとは限りません。
料理名だけでは内容が伝わらない、文字量が増えて読みにくい、写真と説明の対応関係が分からないなど、翻訳後のレイアウトで問題が起こることがあります。
外国語メニューを作成依頼するときは、翻訳とデザインを別々に考えるのではなく、「外国人客が料理を選び、注文できる状態」を基準に設計することが重要です。
この記事では、飲食店が外国語メニューを外注するときの準備、言語の選び方、デザイン上の注意点、依頼先を選ぶ基準を解説します。
- 外国語メニューは「全文を翻訳すれば完成」ではない
- 外国語メニューを作る前に決めるべき4つのこと
- 日本語メニューをそのまま多言語化すると失敗しやすい理由
- 多言語メニューの見せ方を3つの方法で比較
- 外国人客が迷いやすい情報を先に整理する
- 外国語メニュー制作を依頼する前に準備するもの
- 翻訳だけ依頼する場合とデザイン込みで依頼する場合の違い
- 写真を使う外国語メニューで注意するポイント
- メニューだけでなくPOPも多言語化した方がよいケース
- 外国語メニューを安さだけで選ぶと確認不足が起こりやすい
- 今回のサービスが向いている店舗
- 外国語メニュー完成後はスタッフにも使ってもらう
- 外国人客の反応を見てメニューを更新する
- 外国語メニューは「翻訳」より「注文できる状態」を目指す
外国語メニューは「全文を翻訳すれば完成」ではない
外国語メニューの目的は、日本語を外国語へ置き換えることではありません。
外国人客が次の内容を理解できることが重要です。
- どのような料理か
- 主な食材は何か
- 辛いかどうか
- 量はどの程度か
- 単品かセットか
- 価格はいくらか
- 追加料金があるか
- 注文方法に特別なルールがあるか
日本人には料理名だけで内容が伝わっても、外国人客には伝わらない場合があります。
たとえば、「親子丼」「お通し」「だし巻き」「月見」「たたき」などは、単純な直訳だけでは内容や提供方法を理解しにくくなることがあります。
必要に応じて、料理名に短い説明や写真を組み合わせることが重要です。
外国語メニューを作る前に決めるべき4つのこと
対応する言語を決める
すべての言語を一度に掲載する必要はありません。
まず、自店で多い外国人客の傾向を確認します。
対応候補として考えやすいのは、
- 英語
- 中国語
- 韓国語
です。
1冊に複数言語をまとめる方法もあれば、言語ごとにメニューを分ける方法もあります。
掲載商品数が多い店舗では、3言語を1ページに詰め込むと文字量が増えすぎることがあります。
その場合は、
- 日本語+英語版
- 日本語+中国語版
- 日本語+韓国語版
のように分ける方法もあります。
全商品を翻訳するか決める
商品数が多い店舗では、すべてを翻訳すると制作量が大きくなります。
まずは、
- 看板商品
- 人気商品
- 定番商品
- セットメニュー
- ドリンク
- 注文時に説明が必要な商品
から対応する方法もあります。
外国人客が選びやすい商品を中心に構成することで、情報量を抑えられます。
写真を使う商品を決める
外国語メニューでは、写真が重要な判断材料になります。
特に写真を載せたいのは、
- 盛り付けに特徴がある料理
- セット内容が分かりにくい料理
- 量を伝えたい料理
- 店の看板商品
- 日本独自の料理
です。
一方、すべての商品に小さな写真を付けると、かえって探しにくくなります。
写真を使う商品と、文字だけで一覧表示する商品を分けます。
店内用か店頭用か決める
外国語メニューには複数の用途があります。
店内で注文時に使うメニューと、店頭で入店判断に使うPOPでは必要な情報が異なります。
店内メニューでは、
- 商品名
- 説明
- 価格
- 写真
- 注文条件
などが必要です。
店頭POPでは、
- 代表的な料理
- 価格帯
- 対応言語
- 営業時間
- テイクアウト対応
などを短時間で確認できることが重要です。
日本語メニューをそのまま多言語化すると失敗しやすい理由
日本語だけで作られたメニューに外国語を追加すると、文字量が一気に増えます。
そのまま追加すると、次の問題が起こります。
- 文字が小さくなる
- 商品ごとの区切りが分かりにくくなる
- 写真と商品名の対応関係が崩れる
- ページ数が不足する
- 価格を探しにくくなる
- 言語が混ざって視線の移動が増える
外国語メニューでは、既存レイアウトに翻訳文を押し込むのではなく、多言語表示を前提に余白と文字量を設計した方が使いやすくなります。
多言語メニューの見せ方を3つの方法で比較
外国語メニューには、複数の作り方があります。
| 形式 | メリット | デメリット | 向いている店舗 |
|---|---|---|---|
| 1冊に複数言語を掲載 | 管理しやすい | 文字量が多くなる | 商品数が少ない |
| 言語ごとに分冊 | 読みやすい | 冊数管理が必要 | 商品数が多い |
| 写真+番号方式 | 注文しやすい | 詳細説明が少なくなる | 回転率を重視する店舗 |
どの方法がよいかは、商品数と接客方法で決まります。
たとえば商品数が少ないカフェなら1枚に多言語をまとめやすく、商品数が多い居酒屋では言語別に分けた方が読みやすくなる場合があります。
外国人客が迷いやすい情報を先に整理する
外国語メニューを作る前に、現在の接客で何を質問されているか確認します。
質問が多い項目は、メニュー上で説明する価値があります。
料理の内容
料理名だけでは内容が分からない場合は、短い説明を付けます。
たとえば、
- grilled chicken
- raw fish
- deep-fried dish
- spicy
- vegetarian
など、料理の性質が理解できる情報です。
セット内容
ランチセットや定食では、何が含まれるのかを明確にします。
- メイン料理
- ご飯
- スープ
- サラダ
- ドリンク
などを写真または箇条書きで示します。
追加料金
次のような料金は分かりやすく表示します。
- 大盛料金
- トッピング追加
- チャージ料金
- お通し
- サービス料
会計時の認識違いを防ぐためにも、事前に確認できる状態が必要です。
注文方法
店舗によっては、
- 先払い
- 券売機
- QRコード注文
- テーブル注文
- ワンドリンク制
など、注文方法が異なります。
料理の翻訳だけでなく、利用方法の案内も必要に応じて多言語化します。
外国語メニュー制作を依頼する前に準備するもの
制作をスムーズに進めるため、次の情報を整理します。
- 現在の日本語メニュー
- 商品名
- 価格
- 商品説明
- 料理写真
- 店舗ロゴ
- 対応したい言語
- ページ数
- 希望サイズ
- 希望納期
- 店舗の雰囲気が分かる写真
- 希望するデザインの参考画像
テキストデータを整理するのが難しい場合は、現在使っているメニュー表を共有し、どの範囲を多言語化したいか相談する方法もあります。
また、「外国人客からこの質問をよく受ける」という情報も制作時の参考になります。
翻訳だけ依頼する場合とデザイン込みで依頼する場合の違い
外国語メニュー制作では、翻訳だけを依頼する方法と、レイアウトまでまとめて依頼する方法があります。
| 依頼内容 | 向いているケース |
|---|---|
| 翻訳のみ | 既存デザインを自分で編集できる |
| デザインのみ | 正確な外国語原稿を用意済み |
| 翻訳+メニュー制作 | 多言語化と見やすさをまとめて整えたい |
| メニュー+POP | 店内と店頭を同時に対応したい |
自店でデザインデータを編集できない場合は、翻訳文だけ受け取っても最終的なメニュー表を完成させられません。
誰が、
- 翻訳するのか
- 文章を短く調整するのか
- レイアウトするのか
- 最終確認するのか
を先に決めておくことが重要です。
写真を使う外国語メニューで注意するポイント
写真を使えば、言葉が完全に伝わらなくても料理のイメージを共有できます。
ただし、写真の使い方にも注意が必要です。
実際の商品と大きく違う写真を使わない
フリー素材を使う場合は、実際に提供する料理と見た目が大きく異ならないようにします。
写真を見て注文した料理と実物の差が大きいと、トラブルにつながります。
写真と商品名の位置を離しすぎない
写真の下に複数の商品名を並べると、どの料理の写真か分かりにくくなります。
写真、商品名、説明、価格を一つのまとまりとして配置します。
番号を付ける方法もある
言語による発音の違いがある場合は、商品番号を付ける方法があります。
お客様が番号を指差して注文できるため、スタッフ側の対応も簡単になります。
メニューだけでなくPOPも多言語化した方がよいケース
外国人客が多い店舗では、メニューだけを外国語化しても案内不足になることがあります。
たとえば、
- 入店方法
- 営業時間
- 注文方法
- 支払方法
- テイクアウト可否
- Wi-Fi案内
- 禁煙・喫煙ルール
- 混雑時の利用時間
などです。
接客時に何度も同じ説明をしている内容があれば、POP化することでスタッフの負担を減らせます。
すべてを多言語化するのではなく、説明回数が多いものから対応します。
外国語メニューを安さだけで選ぶと確認不足が起こりやすい
制作料金を比較するときは、価格だけでなく作業範囲を確認します。
見るべき項目は次のとおりです。
- 対応言語
- 翻訳を含むか
- デザインを含むか
- 基本料金に含まれる枚数
- 修正回数
- ラフ案数
- POP制作の可否
- 納品形式
- 追加ページ料金
- 実績掲載の条件
同じ「外国語メニュー制作」でも、翻訳のみ、デザインのみ、既存メニューへの外国語追加など、内容が異なります。
見積もり時に、自分が必要としている作業範囲を明確に伝えます。
今回のサービスが向いている店舗
今回紹介しているサービスは、インバウンド対策向けの外国語メニュー制作サービスです。
英語、中国語、韓国語の表記に対応し、メニューだけでなくPOP制作についても相談できます。
サービス掲載情報では、
- 基本価格3,000円
- ラフ提案2案
- 無料修正3回
- 基本的な納品形式はJPGまたはPDF
- 追加ページのオプションあり
- POP制作の追加オプションあり
- 翻訳のみの相談も可能
という内容になっています。
特に相性が良いのは、次のような店舗です。
- 外国人客から料理内容を何度も質問される
- 日本語メニューしか用意していない
- 英語、中国語、韓国語へ対応したい
- 外国語を追加したらメニューが読みにくくなった
- メニューと店内POPをまとめて相談したい
- 外国人客向けの案内方法が分からない
- デザインイメージが明確に決まっていない
- ヒアリングを受けながら制作したい
多言語化だけでなく、店舗側の目的を伝えて相談できるため、「とにかく翻訳文だけ欲しい」という場合より、実際の店舗利用を想定してメニューを作りたい場合に検討しやすい内容です。
外国語メニュー完成後はスタッフにも使ってもらう
メニュー完成後は、実際に接客するスタッフにも確認してもらいます。
確認したいのは、
- 商品をすぐ見つけられるか
- お客様へ指差して案内できるか
- 写真と実物が一致しているか
- 商品番号が使いやすいか
- 売り切れ時の案内がしやすいか
- 説明不足の料理がないか
です。
外国語メニューは外国人客だけのためのものではありません。
スタッフが短時間で案内できることも、店舗運営では重要です。
外国人客の反応を見てメニューを更新する
外国語メニューを作った後も、質問される内容を記録します。
たとえば、
- 辛さを毎回聞かれる
- 肉の種類を聞かれる
- ベジタリアン対応について質問される
- セット内容を確認される
- 注文方法を尋ねられる
という状況が続くなら、次回更新時に情報を追加します。
最初からすべての情報を載せようとすると、文字量が増えて読みにくくなります。
実際の質問内容を見ながら必要な情報を追加する方が、使いやすいメニューを維持できます。
外国語メニューは「翻訳」より「注文できる状態」を目指す
外国語メニュー制作では、日本語をすべて別言語へ置き換えることが目的になりがちです。
しかし、実際に必要なのは、
- 料理を見つけられる
- 内容を理解できる
- 価格を確認できる
- 注文方法が分かる
- スタッフへ伝えられる
という状態です。
そのためには、翻訳だけでなく、写真、商品番号、短い説明文、カテゴリー分け、価格表示まで含めて考える必要があります。
現在、外国人客への説明をスタッフの個人対応に頼っている、既存メニューへ翻訳文を追加した結果読みにくくなった、英語以外の言語にも対応したいという状況なら、外国語メニューの構成自体から見直す方法があります。
外国語メニューは、翻訳資料ではなく、外国人客が自分で料理を選び、店舗スタッフがスムーズに注文を受けるための接客ツールとして設計することが重要です。

