新商品の広告画像を作りたいものの、スタジオ撮影、ロケ撮影、モデルや小道具の手配まで行うと、時間も予算も必要になります。
すでに商品単体の写真や使用したい背景素材がある場合は、新しくすべてを撮影せず、複数の写真を組み合わせて商品広告用の合成写真を作る方法があります。
写真合成は、複数の画像から必要な要素を切り出し、1枚の新しいビジュアルへ組み合わせる制作方法です。Adobeも、複数の写真要素を1枚へ組み合わせるフォトコンポジットの制作手法を案内しています。
商品と背景の素材はあるものの、自分で自然に合成するのが難しい場合は、イメージと素材を送って制作を相談する方法もあります。
撮影なしでも商品広告画像を作れる?
結論から言うと、必要な素材が揃っていれば、新規撮影をせずに商品広告画像を制作できる場合があります。
たとえば、手元に次のような素材があるケースです。
- 商品単体の写真
- パッケージ写真
- 使用したい背景写真
- モデル写真
- 店舗や室内の写真
- 空や自然風景の写真
- ロゴデータ
- 広告に入れるコピー
これらを組み合わせ、商品が実際にその場所で撮影されたように見せたり、現実には撮影が難しい場面をビジュアル化したりできます。
写真合成では複数写真の要素を組み合わせて1つの画像を作れます。Photoshopの公式解説でも、複数写真を組み合わせて新しいシーンを作る方法が紹介されています。
ただし、素材さえあれば自動的に自然な広告画像になるわけではありません。
商品と背景の、
- 光の方向
- 明るさ
- 色温度
- 遠近感
- 解像感
- 影
- 反射
- ピントの深さ
が合っていないと、商品だけが背景から浮いて見えます。
商品撮影と合成写真制作はどちらが向いている?
新規撮影と合成写真は競合する方法ではなく、目的によって使い分けるものです。
| 方法 | 向いているケース | 主な準備 |
|---|---|---|
| 新規商品撮影 | 商品そのものを正確に見せたい | 商品、撮影場所、機材、照明 |
| ロケ・モデル撮影 | 実際の使用場面をリアルに見せたい | 商品、場所、モデル、スタッフ |
| 写真合成 | 撮影済み素材を活用したい | 商品写真、背景素材、完成イメージ |
| AI生成 | 多数のアイデアを素早く試したい | 商品素材、指示文、確認・修正作業 |
EC用商品写真はスマートフォンでも撮影できますが、品質を整えるには光、背景、構図、商品配置などを考える必要があります。Shopifyの公式ガイドでも、商品写真の撮影にはカメラ、背景、光、商品配置などの要素が重要とされています。
一方、合成写真が向いているのは、次のようなケースです。
- 商品の単体写真はすでにある
- 広告用のイメージカットだけ不足している
- 再撮影が難しい
- 季節ごとに背景を変えたい
- 実際のロケが難しい場所を使いたい
- 広告企画のイメージを先に可視化したい
撮影が必要な部分と、合成で代替できる部分を分けて考えると判断しやすくなります。
合成写真はどんな商品広告に使える?
合成写真は、単に背景を交換するだけではありません。
商品広告では、さまざまな用途を考えられます。
季節広告
同じ商品写真を使い、
- 春の花
- 夏の海
- 秋の紅葉
- 冬の雪景色
など、季節ごとに背景を変更する方法です。
商品そのものを毎回撮影する必要がなく、広告キャンペーンごとに異なる世界観を作れます。
使用シーンの表現
商品単体の写真と室内背景を組み合わせ、
- リビングで使用しているイメージ
- キッチンに置いたイメージ
- オフィスで使用しているイメージ
- アウトドアで使用しているイメージ
などを作ります。
ECサイトでは、白背景の商品写真だけでなく、実際の使用場面が分かる写真を用意する方法があります。ShopifyもEC用商品写真として、白背景写真に加え、日常で商品を使用している場面など複数種類の写真を用意する考え方を紹介しています。
現実には撮影が難しい広告
たとえば、
- 商品が空中に浮かんでいる
- 巨大な商品が街中に置かれている
- 現実には存在しない幻想的な空間
- 複数の場所を組み合わせた背景
- 通常撮影では再現が難しい演出
などです。
対象サービスでも、普通に撮影しただけでは作れない幻想的な表現から、実際に撮影したように見える自然な合成まで対応すると案内されています。
自然な合成写真を作るために必要な5つの調整
合成写真の完成度は、切り抜きの精度だけでは決まりません。
少なくとも次の5つを確認します。
1. 光の方向
背景では左側から光が当たっているのに、商品写真では右側が明るい場合、違和感が生まれます。
商品の明暗やハイライトを背景の光に合わせる必要があります。
2. 色温度
暖色系の夕景に、青白い照明で撮影した商品をそのまま置くと、商品だけが浮いて見えます。
全体の色調を合わせます。
3. 遠近感
背景のカメラ位置と、商品を撮影した角度が大きく違う場合、サイズを調整するだけでは自然になりません。
商品を見下ろして撮影した写真を、水平目線の背景へ置くと不自然になることがあります。
4. 影と接地感
商品を床やテーブルへ置く場合は、接地面の影が必要です。
影がないと商品が浮いて見えます。
Photoshopには、画像要素と背景の色や照明を調和させる機能も用意されています。AdobeはHarmonizeについて、背景と追加要素の色調や光を分析し、影や反射を含めて合成する機能として案内しています。
5. 解像度
商品だけ高解像度で背景が粗い、またはその逆の場合も不自然です。
最終的な使用サイズを決めてから素材を選ぶ必要があります。
商品写真の撮り方が合成の仕上がりを左右する
これから商品素材を撮影する場合は、後で合成することを前提に撮影すると作業しやすくなります。
おすすめは、
- 商品全体を切らずに写す
- 十分な解像度で撮影する
- ピントを商品に合わせる
- 強すぎる影を避ける
- 商品表面の反射を確認する
- 複数角度から撮影する
- 圧縮前の元画像を保存する
ことです。
Shopifyの公式撮影ガイドでも、商品を背景の中央付近に置き、十分な余白を取り、商品が歪まないようカメラ位置を確認する方法が紹介されています。
合成用素材では、後から切り抜く余地が必要なため、商品ぎりぎりで撮影しないほうが扱いやすくなります。
白背景の商品写真しかなくても合成できる?
白背景写真でも、商品を切り抜ける状態なら合成素材として利用できる場合があります。
EC販売では白背景の商品画像が必要な場面もあります。
たとえばAmazonのメイン商品画像では、商品を正確に表現した画像と純白背景が要件として案内されています。
そのため、
- 商品ページのメイン画像には規定に合った白背景画像を使う
- 広告や追加画像には使用シーンを表現した画像を使う
というように、用途を分けて考える方法があります。
販売先によって画像ルールは異なるため、合成画像を作る前に掲載先の規定を確認してください。
AI生成と写真合成はどう違う?
現在は、AIを使って背景や広告イメージを生成する方法もあります。
写真合成とAI生成の違いを単純化すると、次のようになります。
| 項目 | 写真合成 | AI生成 |
|---|---|---|
| 元素材の利用 | 実際の写真を組み合わせる | 指示から画像を生成できる |
| 商品の正確さ | 元の商品写真を活用しやすい | 商品形状の確認が必要 |
| 再現性 | 素材と編集内容で管理 | 再生成ごとに結果が変わる場合がある |
| 幻想表現 | 制作可能 | 多数の案を試しやすい |
| 細部修正 | 個別調整しやすい | 追加編集が必要な場合がある |
AIか合成かを二者択一にする必要はありません。
背景案をAIで作り、実際の商品写真を合成する方法も考えられます。
Adobeも生成した背景案と既存の画像編集機能を組み合わせて、合成画像を制作するワークフローを紹介しています。
重要なのは、使用する広告媒体や商品の性質に合わせて、最終画像の正確さを確認することです。
商品広告用の合成写真を依頼するときに準備するもの
合成写真を外注するときは、「かっこいい広告画像にしてください」だけでは制作内容を共有しにくくなります。
最低限、次の内容を整理してください。
- 希望納期
- 商品写真
- 背景素材の有無
- 完成イメージ
- 参考画像
- 使用用途
- 使用サイズ
- 必要なファイル形式
- 印刷物なら実寸
- 公開・非公開の希望
対象サービスでも、購入前に、
- 納期
- 画像素材の有無
- 完成イメージまたはおまかせ
- Web・SNS・印刷などの使用用途
を伝えるよう案内されています。
完成イメージが説明できないときは参考画像を集める
頭の中にイメージはあっても、文章で説明しにくい場合があります。
その場合は、完全に同じデザインを探す必要はありません。
次のように要素を分けて参考画像を集めます。
- 背景の雰囲気はA
- 商品の置き方はB
- 光の印象はC
- 全体の色味はD
- 文字配置はE
という形です。
たとえば、
「商品は中央に大きく配置。背景は夜の都会。青系の光で高級感を出したい。人物は不要」
と伝えるだけでも、単に「高級感のある画像」と伝えるより具体的です。
対象サービスでは、完成イメージや参考素材がある場合は添付して相談でき、明確なイメージがない場合は「おまかせ」として相談できる形式が案内されています。
素材写真は多いほうがよい?
多ければ必ず良いわけではありませんが、選択肢があると制作しやすくなる場合があります。
同じ商品でも、
- 正面
- 斜め45度
- 真横
- 真上
- 背面
- 使用状態
などを撮影しておくと、背景に合った角度を選びやすくなります。
逆に、完成イメージが正面向きなのに商品写真が真上からの1枚しかない場合、自然な合成が難しくなる可能性があります。
商品写真の撮影では、複数角度から撮影し、商品の特徴を見せる方法が一般的です。Shopifyも商品写真のアングルを複数紹介し、商品を回転させながら撮影して一貫性を保つ方法を案内しています。
素材を送る前に自分で1枚へ絞りすぎず、利用できそうな写真をまとめて制作者へ見せる方法もあります。
Web用と印刷用では必要な準備が違う
同じ合成写真でも、Web広告と印刷物では条件が異なります。
Web・SNS用
確認するのは、
- ピクセルサイズ
- 縦横比
- 掲載媒体
- ファイル容量
- JPGまたはPNG
などです。
たとえば、
- Instagram投稿
- ストーリーズ
- Web広告バナー
- EC商品ページ
- LPメインビジュアル
では、それぞれ必要な縦横比が違います。
印刷用
印刷物では、
- 仕上がりサイズ
- 解像度
- カラーモード
- 塗り足し
- 納品形式
などの確認が必要です。
対象サービスでは、JPG、PDF、PNG、AI、PSD、EPS形式が案内されており、PhotoshopやIllustratorの編集データ納品は追加オプションとして設定されています。
依頼前に使用先を伝える理由は、同じ画像でも納品条件が変わるためです。
合成写真の依頼で失敗しやすい3つのケース
素材を送る前に購入する
写真合成は内容によって難易度が大きく変わります。
人物を1人切り抜いて単純な背景へ配置する作業と、複数の人物、建物、商品を1枚へ自然に統合する作業では、必要な工程が違います。
対象サービスでも、内容によって追加料金が発生する場合があるため、購入前の相談を求めています。
使用用途を伝えない
SNS用の小さな画像と、大型ポスターでは必要な素材解像度が違います。
完成後に「A1ポスターにも使いたい」と追加すると、元素材の解像度が不足する可能性があります。
最初に用途を伝えてください。
完成イメージを途中で大きく変更する
制作開始後に、
- 背景を都会から自然へ変更
- 商品の向きを変更
- 人物を追加
- 昼から夜へ変更
といった大幅な変更をすると、制作工程そのものをやり直す可能性があります。
複数案で迷っている場合は、制作開始前に相談します。
家族写真や記念写真の合成にも使える
写真合成は商品広告だけの技術ではありません。
複数の写真に写る人物を組み合わせ、1枚の集合写真のように仕上げる用途もあります。
対象サービスの購入者評価には、複数の写真を組み合わせ、一緒に撮影したような写真へ仕上げてもらったという内容も掲載されています。
たとえば、
- 全員が揃った写真がない
- 1人だけ目を閉じている
- 別々の場所で撮った人物を1枚にしたい
- ペットと家族を同じ写真にまとめたい
といった用途です。
ただし、人物写真の合成でも、視線、光、カメラ角度、解像度が大きく異なると難易度が上がります。
商品広告と同じく、使える素材を先に見せて相談する方法が適しています。
外注先を比較するときは作例を見る
写真合成の依頼先を比較するときは、料金だけでなく作例を確認します。
特に見るべき点は、
- 切り抜き境界が自然か
- 髪の毛が不自然に切れていないか
- 商品だけ浮いて見えないか
- 影の方向が合っているか
- 色味が背景となじんでいるか
- 遠近感が崩れていないか
- 人物のサイズ感が自然か
です。
写真加工会社には、白抜き、形状補正、背景加工などを個別サービスとして提供する例もあります。
依頼したい内容と似た作例があるかを確認し、自分の用途に合う制作者を選んでください。
撮影を完全になくすことが正解とは限らない
合成写真が便利だからといって、すべての商品画像を合成へ置き換える必要はありません。
商品そのものの質感、細かなディテール、実際の使用感を伝えるには、新規撮影が適している場合があります。
商品撮影サービスでは、白背景の商品写真だけでなく、スタイリング、小物、モデル、広告・SNS用イメージまで含めた撮影プランも提供されています。
現実的には、
- 商品そのものは撮影する
- 広告用の背景は合成する
- 季節違いの背景は編集で展開する
- 大規模ロケが必要な表現だけ合成する
という組み合わせが使いやすい場合があります。
撮影か合成かではなく、どこまで撮影し、どこから編集するかを決める考え方です。
まとめ
手元に商品写真や素材があれば、新しくすべてを撮影せず、写真合成によって広告画像を作れる場合があります。
特に、
- 商品単体の写真はすでにある
- 広告用イメージだけ不足している
- ロケ撮影が難しい
- 季節ごとに背景を変えたい
- 現実には撮影できない演出を作りたい
という場合は、合成写真を検討できます。
ただし、自然な合成には切り抜きだけでなく、
- 光
- 色
- 遠近感
- 影
- 反射
- 解像度
の調整が必要です。
依頼するときは、商品素材だけを送るのではなく、納期、用途、サイズ、完成イメージ、参考画像までまとめて伝えてください。
頭の中にある商品広告のイメージをビジュアル化したいものの、自分で複数の写真を自然に組み合わせるのが難しい場合は、素材を見せて制作可否や方法を相談する選択肢があります。

