オリジナルグッズのイラストは完成したのに、印刷会社の入稿ガイドを見て「カットラインを作成してください」と書かれていて手が止まることがあります。
カットライン作成のためだけにIllustratorの操作を覚えたり、別の印刷会社へ変更したりする必要はありません。
ステッカー、アクリルスタンド、アクリルキーホルダー、パネルなどに必要なカットラインだけを外部へ依頼する方法があります。
特に、使用するイラストと希望する仕上がり形状がすでに決まっている場合は、グッズ全体のデザインを依頼するのではなく、入稿に必要なカットライン制作だけを切り分けて依頼できます。
- カットラインだけ作成依頼する方法がある
- カットラインとカットパスは何が違う?
- カットライン作成を外注しやすいグッズ
- 自作・印刷会社に依頼・別の専門家に依頼を比較
- カットラインの希望は手描きでも伝えられる
- 印刷会社を先に決めてから依頼したほうがよい理由
- 依頼前に用意するもの
- 白版はカットラインとは別のデータ
- 「自動で作ったカットライン」と「製造しやすいカットライン」は同じとは限らない
- 折れやすい形状も事前に考える
- 複数グッズへ同じ画像を使う場合は別々に確認する
- 初めて依頼するときの相談文テンプレート
- 依頼後の大幅な変更を防ぐために最初に決めること
- カットライン作成依頼が向いている人
- まとめ|イラスト完成後のカットラインだけでも外注できる
カットラインだけ作成依頼する方法がある
グッズ制作で必要な作業は、大きく分けると次の3段階です。
- イラストやデザインを作る
- 製造用の入稿データを整える
- 印刷会社へ製造を依頼する
カットラインの作成は、2番目の「入稿データを整える作業」に含まれます。
そのため、イラスト制作とグッズ製造の間にある作業だけを別の人へ依頼できます。
たとえば、
- イラストは自分で描く
- カットラインだけ外注する
- 完成データを希望する印刷会社へ自分で入稿する
という分担が可能です。
印刷会社によってはカットライン作成サービスを用意していますが、その会社での印刷注文と組み合わせて利用する形式もあります。独立したデータ制作サービスへ依頼する方法なら、データ制作と製造先の選択を分けて考えられます。
カットラインとカットパスは何が違う?
グッズ制作を調べると、「カットライン」と「カットパス」という2つの言葉が出てきます。
実務では、印刷物やグッズをどの形状で切るか指定する線を指す言葉として使われることが多く、印刷会社によって呼び方が異なります。
| 呼び方 | 主な意味 |
|---|---|
| カットライン | 製品を切る位置や完成形状を示す線 |
| カットパス | ベクターパスとして作成されたカット用の線 |
| カット線 | カットラインの別表現として使用されることがある |
重要なのは名称より、利用する印刷会社が指定するデータ形式と作成条件を確認することです。
印刷会社の入稿ガイドでは、カットラインを印刷データと別レイヤーに分ける、ベクターパスで作成するなど、個別の条件が指定されています。
カットライン作成を外注しやすいグッズ
カットラインは、四角形の商品だけに使われるものではありません。
外周を自由な形に加工するグッズで必要になります。
ステッカー・シール
キャラクターやロゴの形に沿って切るステッカーでは、外周を指定するためのカットラインを使用します。
四角や円ではなく、イラストに沿ったダイカットステッカーを作りたい場合に必要になる作業です。
アクリルスタンド
キャラクター本体の輪郭に合わせてアクリルを切り出します。
髪の毛、服、持ち物などを細かく追いすぎると複雑な形状になるため、製造条件を考慮した滑らかなラインが必要です。
アクリルキーホルダー
本体の外周だけでなく、金具を取り付ける穴や連結部分なども考慮する必要があります。
製造会社の商品仕様と合わせて確認することが重要です。
等身大パネル・変形パネル
人物やキャラクターの輪郭に沿った変形パネルでもカットラインが使用されます。
パネル印刷会社の中にも、Illustratorでの作成が難しい利用者向けに、カットライン作成を用意している会社があります。
自作・印刷会社に依頼・別の専門家に依頼を比較
カットラインを用意する方法は3つあります。
| 方法 | 向いている人 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自分で作成 | Illustratorなどを使える人 | 修正を自分で行える | 操作と入稿仕様の理解が必要 |
| 印刷会社へ依頼 | 製造先が決定している人 | 注文と一緒に進めやすい | 他社への入稿用データとして使えるか確認が必要 |
| データ制作を別途依頼 | 製造会社とデータ制作を分けたい人 | 複数のグッズや製造先に対応しやすい | 印刷会社の仕様共有が必要 |
「どの方法が一番安いか」だけでは決められません。
1回だけグッズを作るのか、今後も繰り返し制作するのかによって最適な方法が変わります。
今後、毎月のように多数のカットラインを作るなら、ソフトの操作方法を習得する価値があります。
反対に、年に数回だけグッズを作る場合は、必要なときだけ作成依頼するほうが作業時間を抑えられることがあります。
カットラインの希望は手描きでも伝えられる
カットラインを依頼する際、自分で正確なベクターパスを作る必要はありません。
重要なのは、「最終的にどのような形で切りたいのか」を伝えることです。
今回紹介するサービスでは、作成したいグッズの使用画像に加えて、カットラインのイメージが分かる画像を用意する形式です。カットラインの希望イメージは手描きでも受け付けると案内されています。
たとえば、元画像をコピーして、
- この小物は輪郭に含める
- この部分はまとめて囲う
- ここに穴を付ける
- 外周は細部を追わず大きく囲う
と書き込むだけでも、希望を共有しやすくなります。
文章だけで「いい感じに囲ってください」と伝えるより、簡単な図を付けるほうが認識違いを減らせます。
印刷会社を先に決めてから依頼したほうがよい理由
カットラインは、どの印刷会社でも完全に同じ条件で作ればよいわけではありません。
印刷会社や商品によって、
- デザインとラインの間隔
- 鋭角部分の処理
- 最小サイズ
- 穴の位置
- パーツ間の距離
- レイヤー構成
- カラーモード
- ファイル形式
などの条件が異なることがあります。
実際に、印刷会社のガイドを比較すると、カットラインとデザインの間隔などにも個別の基準があります。
そのため、依頼時には「アクキー用です」だけではなく、利用予定の印刷会社と商品ページを共有する方法が安全です。
依頼前に用意するもの
カットライン作成を依頼するときは、次の情報を準備します。
実際に使用する画像
サンプル画像ではなく、最終的にグッズへ使用する画像を用意します。
依頼後に画像そのものを変更すると、カットラインを作り直す必要が生じる可能性があります。
イラストが確定してから相談するほうが効率的です。
カットラインの希望イメージ
完全なデータである必要はありません。
元画像の上から手描きで囲うなど、どの部分を含めたいか分かる状態にします。
印刷会社と商品ページ
会社のトップページだけでなく、実際に注文する商品ページも共有すると仕様を確認しやすくなります。
同じ会社でも、アクスタとステッカーでは入稿条件が異なることがあります。
商品サイズ
「100mm×100mm以内」など、注文する商品のサイズを伝えます。
カットラインを含めたサイズなのか、イラスト部分だけのサイズなのかも商品仕様で確認します。
カラーモード
RGBかCMYKかを確認します。
今回紹介するサービスでは、希望するカラーモードを依頼時の確認項目としており、RGB画像からCMYKへ変換した場合の色変化についても注意事項が案内されています。
希望する納品形式
AI形式とPSD形式では、利用する印刷会社や自分の作業環境によって扱いやすさが変わります。
今回のサービスではAI形式とPSD形式に対応し、AI形式が推奨されています。
白版はカットラインとは別のデータ
透明アクリルや透明素材のステッカーを作るときは、カットライン以外に白版が必要になる場合があります。
カットラインと白版の役割は異なります。
| データ | 役割 |
|---|---|
| カットライン | 製品を切る位置を指定する |
| 白版 | 白インクを印刷する範囲を指定する |
| イラストデータ | 実際にカラーで印刷する内容 |
「カットラインを依頼したから入稿に必要なデータが全部そろった」とは限りません。
注文する商品の入稿ガイドを確認し、白版も必要なら依頼時に伝えます。
カットパスとホワイト版の両方を扱う印刷会社のサービスもあり、この2つが別作業として扱われていることが分かります。
こちらのサービスでは、ステッカー、アクリルスタンド、アクリルキーホルダー、パネルなどのカットライン作成を依頼できます。
基本料金は1点単位で設定され、複雑なカットライン、台座付きアクスタなどの付属パーツ、複数点の依頼などは内容に応じて見積もりを行う形式です。白版データの追加や特急制作などについても案内されています。
「自動で作ったカットライン」と「製造しやすいカットライン」は同じとは限らない
画像編集ソフトには、選択範囲や輪郭からパスを作る機能があります。
しかし、自動的に画像の輪郭を細かく追ったラインが、そのままグッズ製造に適しているとは限りません。
印刷会社のガイドでも、カットパスについて、
- ベクターデータで作る
- クローズドパスにする
- デザインとの間隔を確保する
- 鋭角や複雑すぎる形状を避ける
- 滑らかなラインにする
といった条件が案内されています。
たとえば、髪の毛1本ずつを細かく追うより、大きな輪郭として滑らかにまとめたほうが適している場合があります。
「元画像に忠実に沿うこと」と「製品として扱いやすい形にすること」は別の判断です。
折れやすい形状も事前に考える
特にアクリルグッズでは、細長く突き出した部分や、極端に細い接続部分があるデザインに注意が必要です。
たとえば、
- 細長い武器
- 動物の細い尻尾
- 長く伸びた髪
- 細い指先
- 小さな装飾品
などです。
イラストでは問題がなくても、実物になったときの強度まで考える必要があります。
カットラインの希望を伝える際は、「できる限り輪郭通り」なのか、「細い部分をまとめて強度を優先」なのかも相談材料になります。
複数グッズへ同じ画像を使う場合は別々に確認する
同じキャラクター画像から、
- ステッカー
- アクキー
- アクスタ
- パネル
を作る場合でも、1本のカットラインをすべてに流用できるとは限りません。
商品ごとに、
- 必要な余白
- 穴や台座の有無
- 加工方法
- 素材の強度
- 最小サイズ
が異なるためです。
同じ画像を使う場合でも、最終的な商品ごとに必要なデータを確認してください。
「画像が同じだからデータも全部同じ」と判断せず、商品ページの仕様を基準にします。
初めて依頼するときの相談文テンプレート
依頼時に情報が不足すると、確認の往復が増えます。
次のように整理して送ると内容が伝わりやすくなります。
作りたいもの:ダイカットステッカー
使用する画像:添付PNG
印刷会社:〇〇印刷
商品ページ:商品ページのURL
完成サイズ:縦80mm×横60mm以内
カラーモード:CMYK
希望納品形式:AI
白版:不要
希望するカットライン:添付画像の赤線付近
希望納期:〇月〇日までを希望
分からない項目がある場合は、空欄にするのではなく「分からないため確認したい」と記載すると、質問箇所が明確になります。
依頼後の大幅な変更を防ぐために最初に決めること
カットライン制作を始めた後に、
- 別の画像に変更する
- グッズの種類を変える
- 印刷会社を変更する
- 希望形状を大きく変更する
と、作業のやり直しが発生します。
今回紹介するサービスでも、制作開始後のキャンセルや内容変更について制限があり、当初の指示に含まれない修正や変更には追加料金が発生する場合があると案内されています。
依頼前に最低限決めておきたいのは、
- 使用する画像
- 作る商品
- 製造会社
- サイズ
- 希望する形状
の5点です。
細かな部分を相談しながら決めることはできますが、制作の前提そのものを途中で変更しないようにします。
カットライン作成依頼が向いている人
次のような人は、カットラインだけの外注を検討しやすい状況です。
- イラストは自分で制作できる
- Illustratorの操作が分からない
- グッズ製造だけ好きな印刷会社へ頼みたい
- ステッカーやアクキーなど複数商品を作りたい
- 自動作成したパスで問題ないか不安
- 入稿期限が近い
- 白版もあわせて相談したい
- 手描きで希望形状を伝えてデータ化してほしい
反対に、今後大量のグッズを継続的に作り、自分で細かな調整を繰り返したい場合は、カットラインの作成方法を習得する価値があります。
自作か外注かではなく、制作頻度と自分が担当したい工程で判断するのが合理的です。
まとめ|イラスト完成後のカットラインだけでも外注できる
オリジナルグッズを作る際、すべての作業を自分で行う必要はありません。
イラストは自分で作り、カットライン制作だけを依頼し、完成データを自分で印刷会社へ入稿する方法があります。
特に、
- ステッカー
- アクリルスタンド
- アクリルキーホルダー
- パネル
など、自由な形状で切り出す商品ではカットラインが重要です。
依頼前には、使用画像だけでなく、印刷会社、商品ページ、サイズ、カラーモード、納品形式、白版の必要性、希望納期まで整理しておくと進行がスムーズです。
カットラインを作れないためにグッズ制作そのものを止める必要はありません。自分が得意なイラスト制作に集中し、入稿用データの一部だけを専門家へ任せる方法があります。

