オリジナルTシャツやトートバッグを自分でプリントしたいものの、シルクスクリーンの製版作業で止まってしまうことがあります。
シルクスクリーンは、製版から印刷までのすべてを自宅で行う必要はありません。
デザインデータを用意し、難しい製版だけを専門家へ依頼して、届いた版を使って自分で印刷する方法があります。
完成品のTシャツを印刷会社へ注文する方法とは異なり、印刷枚数やプリントする素材を自分で決めながら、必要なときに少しずつ制作できるのが特徴です。
- シルクスクリーンは「版だけ作成依頼する」ことができる
- 製版だけ外注するメリット
- 製版から完全自作する方法との違い
- 完成品の印刷外注と製版外注はどちらが向いている?
- 版を依頼する前に準備するデザインデータ
- 細すぎる線や小さすぎる文字に注意する
- 300mm×400mmの版で何を作れる?
- 水性インクと油性プラスティゾルインクをどう考える?
- 版が届く前に準備しておきたいもの
- 初心者は最初から販売用商品を大量に刷らない
- 少量販売では「完成品の在庫」ではなく「素材の在庫」にできる
- 同じ版を使うときは保管とケアが重要
- 多色デザインは1色デザインより難易度が上がる
- 製版依頼前のチェックリスト
- まとめ|難しい製版だけ外注して印刷を自分で楽しめる
シルクスクリーンは「版だけ作成依頼する」ことができる
シルクスクリーンを始める方法は、大きく分けて3つあります。
| 方法 | 自分で行う範囲 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 完成品の印刷を外注 | デザイン準備まで | 完成品だけ受け取りたい人 |
| 製版だけ外注 | デザイン準備と印刷作業 | 自分で刷る工程を楽しみたい人 |
| 製版から印刷まで自作 | すべて | 設備や技術も含めて習得したい人 |
製版だけを依頼するサービスでは、デザインデータを送り、完成したスクリーン版を受け取って、自宅や工房で印刷します。
実際に、データを送ると製版済みの版が届き、プリント作業だけを自分で行えるサービスがあります。
「シルクスクリーンを自分でやりたい」と考えたとき、すべての工程をDIYする必要はありません。
自分が楽しみたい工程と、外注したい工程を分けて考えるのが現実的です。
製版だけ外注するメリット
版だけを依頼する最大のメリットは、シルクスクリーンの中でも準備が必要な製版工程を省きながら、自分で刷る楽しさを残せることです。
印刷する枚数を自分で調整できる
完成品を印刷会社へ注文すると、必要な数量をまとめて発注するのが一般的です。
一方、自分で版を持っていれば、必要なタイミングで印刷できます。
たとえば、
- イベント前に10枚だけ作る
- 売れたデザインだけ追加で刷る
- 家族やチーム用に少量制作する
- 色を変えて試作する
- Tシャツとトートバッグに同じ柄を刷る
といった使い方ができます。
一度作った版を繰り返し使えることは、シルクスクリーンの大きな特徴です。
完成品の在庫を抱えずに済む
販売用のTシャツをまとめて外注すると、サイズや色ごとに在庫を持つ必要があります。
版を保有して自分で印刷する方法なら、無地の商品を用意して、必要な分を順次プリントする運用も可能です。
特に、販売数をまだ予測できない新しいデザインでは、最初から大量の完成品を作るより、小規模に試しやすくなります。
プリント先を自分で選べる
シルクスクリーンはTシャツだけの印刷方法ではありません。
版、インク、素材の組み合わせを確認する必要はありますが、布製品や紙などへのプリントにも使用されています。シルクスクリーン用の製版サービスにも、既製服やトートバッグなどへ自分でプリントする用途が案内されています。
同じデザインで、
- Tシャツ
- トートバッグ
- エプロン
- 巾着
- 紙袋
- ポスター
などを作り分けたい人には、自分で版を持つメリットがあります。
製版から完全自作する方法との違い
シルクスクリーンを完全に自作する場合、印刷作業だけでなく、スクリーンの準備や製版工程も必要です。
現在は家庭や小規模な制作環境向けの製版機やキットも販売されており、製版作業を簡略化できる選択肢があります。
ただし、購入費用だけではなく、
- 保管場所
- 消耗品の管理
- 作業スペース
- 版を作る頻度
- 失敗した場合のやり直し
- 作業方法を覚える時間
まで含めて判断する必要があります。
年に何度も異なるデザインを製版するなら、設備を持つ価値があります。
反対に、年に数種類だけ作る場合や、印刷工程そのものを楽しみたい場合は、製版だけ外注するほうが目的に合うことがあります。
完成品の印刷外注と製版外注はどちらが向いている?
どちらが得かは、単純な価格比較だけでは決められません。
完成品の印刷外注が向く人
次の条件に当てはまる場合は、印刷まで依頼する方法が向いています。
- 印刷作業そのものには興味がない
- 大量の商品を一定品質で作りたい
- 納品後すぐに販売したい
- 作業場所を確保できない
- インクやスキージーなどの道具を管理したくない
製版だけの外注が向く人
次の条件なら、版だけの作成依頼を検討しやすくなります。
- 自分でプリントする工程を楽しみたい
- 少量ずつ制作したい
- 色違いを試したい
- 在庫数を調整したい
- 同じ柄を複数の商品へプリントしたい
- ワークショップやイベントで使いたい
- 版を繰り返し利用したい
ポイントは、「安い方法はどちらか」だけで選ばないことです。
自分が何枚作るのか、今後も追加制作するのか、印刷作業を楽しみたいのかを先に整理してください。
版を依頼する前に準備するデザインデータ
製版を依頼するときは、まずデザインデータを確認します。
今回紹介しているサービスでは、JPG、PSD、AI形式のデータに対応し、完全なモノクロデータでの入稿が指定されています。また、画像で依頼する場合は、できるだけ高画質なデータが推奨されています。
シルクスクリーンでは、黒と白の役割を理解してデータを準備することが重要です。
サービスの説明では、
- 黒い部分からインクが通る
- 白い部分からはインクが通らない
という構成が案内されています。
カラーイラストをそのまま送るのではなく、どこを印刷するのかが明確なデータに整える必要があります。
細すぎる線や小さすぎる文字に注意する
画面上で見えるデザインが、そのままスクリーン版で再現できるとは限りません。
細すぎる線、小さすぎる文字、極端に細かい装飾は、製版や印刷の段階で潰れたり、うまくインクが通らなかったりする可能性があります。
今回のサービスでは、製版可能な最小の線幅やサイズとして0.5mmが示され、それより細い線や小さいデータは製版時に潰れる可能性があるため、事前のデータ確認が案内されています。
そのため、デザイン完成後にすぐ購入するのではなく、まずデータを見てもらう方法が安全です。
特に確認したいのは次の部分です。
- 細い英字
- 小さな漢字
- 髪の毛のような細線
- 狭い隙間
- 細かなドット
- 小さな装飾
- 密集した線画
画面を拡大して見たときの細かさではなく、実際にプリントするサイズで判断します。
300mm×400mmの版で何を作れる?
今回のサービスでは、300mm×400mm以内の製版に対応しています。
このサイズを使う場合、デザインの大きさだけでなく、実際にプリントする位置も考えておきます。
たとえばTシャツなら、
- 左胸のワンポイント
- 胸中央のロゴ
- 大きめのフロントプリント
- バックプリント
では必要な版のサイズが異なります。
バッグなら、持ち手や縫い目にスキージーが干渉しないかも考える必要があります。
版のサイズは大きければよいわけではありません。
小さな商品にプリントするときは、版の外枠を含めて作業できるスペースがあるかも確認してください。
水性インクと油性プラスティゾルインクをどう考える?
今回のサービスで提供される版は、水性インクと油性プラスティゾルインクへの対応が案内されています。
インク選びでは、単純に好きな色だけでなく、
- 印刷する素材
- 求める風合い
- 乾燥や硬化の方法
- 作業環境
- 版の清掃方法
を確認する必要があります。
初めての場合は、製版サービス側に「何へ印刷したいか」を伝えてから、必要な道具を揃えるほうが安全です。
今回のサービスでは、水性の白・黒・調色インクや、スキージーも追加オプションとして用意されています。
こちらでは、デザインデータから木枠付きのシルクスクリーン版を製作して配送してもらえます。
120メッシュの版で、300mm×400mm以内の製版に対応し、データに問題がなければ最短3日以内の発送を目指し、資材状況によっては最大7日程度かかる場合があると案内されています。
版だけを依頼して自分でプリントしたい人に合わせやすいサービスです。
版が届く前に準備しておきたいもの
製版を注文しただけでは、すぐに印刷できるとは限りません。
版が届く前に、少なくとも次の道具を確認しておきます。
- 印刷するTシャツやバッグなど
- 対応するインク
- スキージー
- 作業台
- 商品内部に入れる保護用の板や紙
- 汚れを防ぐための養生材
- 乾燥や硬化に必要な環境
- 使用後の版を洗う環境
必要なものは、使用するインクやプリント対象によって変わります。
版が到着した日に初めて道具を探すのではなく、注文時点で必要なものを確認しておくと制作を始めやすくなります。
初心者は最初から販売用商品を大量に刷らない
シルクスクリーンでは、データと版が正しくても、最初から必ず理想の仕上がりになるとは限りません。
スキージーの角度、力のかけ方、インク量、版と素材の状態などによって仕上がりが変わるためです。
最初は練習用の素材で、
- インク量
- スキージーの動かし方
- 印刷位置
- かすれの有無
- にじみの有無
を確認してから、本番の商品へ進むほうが安全です。
販売用Tシャツを20枚準備して、1枚目から順番に練習する方法はおすすめできません。
最初に試し刷り用の素材を確保しておきましょう。
少量販売では「完成品の在庫」ではなく「素材の在庫」にできる
自分でプリントできる環境を作ると、完成品を大量に持たず、無地の商品を在庫として保管する方法も選べます。
たとえば、同じ無地のトートバッグに対して、
- Aデザイン
- Bデザイン
- Cデザイン
の3種類の版を持っていれば、注文状況を見ながらプリント内容を変えられます。
完成品を各デザイン30個ずつ用意する場合は90個の在庫になりますが、無地商品を共通在庫として管理できれば、デザインごとの販売数を完全に予測する必要がありません。
もちろん、実際の運用では制作時間や納期管理も必要ですが、小規模ブランド、イベント販売、個人制作などでは検討しやすい方式です。
同じ版を使うときは保管とケアが重要
版を繰り返し使う予定なら、使用後の扱いも重要です。
今回のサービスでは、版を適切にケアして使用した場合の目安として、70枚から100枚程度のプリントが可能と説明されています。実際の使用状況によって変わるため、これは保証枚数ではなくサービス側が示す利用目安として考えるのが適切です。
使用後は、利用するインクに対応した方法で版を清掃し、次回使用時に目詰まりしないよう管理する必要があります。
「必要なときだけ印刷する」という運用をしたい場合ほど、使用後の洗浄と保管方法を最初に確認しておきましょう。
多色デザインは1色デザインより難易度が上がる
シルクスクリーンでは、一般に色ごとに版を分けて印刷を重ねる方法が使われます。
そのため、初心者が最初に挑戦するなら、1色のシンプルなデザインから始めるほうが作業工程を理解しやすくなります。
多色印刷では、
- 色ごとの版
- 印刷位置の調整
- 印刷順序
- 色同士の位置合わせ
- 各工程の乾燥
など、考える項目が増えます。
最初から複雑なフルカラー表現を目指すのではなく、ロゴ、文字、シンプルな線画など、1色で成立するデザインから始める方法が現実的です。
製版依頼前のチェックリスト
注文前に次の項目を確認してください。
- プリントしたいデザインが完成している
- モノクロデータを用意できる
- 実際に印刷するサイズを決めた
- 細すぎる線がないか確認した
- 小さすぎる文字がないか確認した
- プリントする素材を決めた
- 使用するインクを確認した
- スキージーを準備した
- 作業スペースを確保した
- 試し刷り用の素材を用意した
- 使用後に版を洗える環境を確認した
- 希望する制作日から納期を逆算した
分からない項目がある場合は、自己判断でデータを作り直す前に、現在のデータを見せて相談するほうが効率的です。
まとめ|難しい製版だけ外注して印刷を自分で楽しめる
シルクスクリーンを始めるからといって、製版から印刷まですべて自分で行う必要はありません。
デザインデータを用意し、版だけを作成依頼して、プリント工程を自分で行う方法があります。
特に次のような人に向いています。
- シルクスクリーンの印刷工程を自分で楽しみたい
- 製版設備までは揃えたくない
- 少量ずつ制作したい
- 必要に応じて追加印刷したい
- オリジナルTシャツやバッグを作りたい
- イベントやワークショップで使いたい
- 完成品の大量在庫を避けたい
完成品の印刷外注と、製版だけの外注は目的が異なります。
商品だけ欲しいなら完成品の印刷依頼が向いています。一方、自分で刷る工程を残したいなら、難しい製版だけを専門家に任せる方法が選択肢になります。

