動画を作りたいものの、完成した映像をうまく想像できない。参考動画を探しても、ぴったり合うものが見つからない。
この状態でも、動画制作は依頼できます。
制作前に決める必要があるのは、映像の細かな見た目ではありません。動画を作る目的、見せる相手、最も伝えたいことがわかれば、構成や表現方法は制作側と相談しながら決められます。
イメージが決まっていないとは、どの部分が決まっていないのか
「イメージが決まっていない」と一言で伝えても、制作側には具体的な状態がわかりません。
まずは、何を決められていないのかを分けます。
- 動画の流れが思いつかない
- 実写とアニメーションのどちらがよいかわからない
- 色や文字の雰囲気を選べない
- ナレーションが必要かわからない
- 動画の長さを決められない
- 参考にしたい動画が見つからない
- 何を中心に伝えるべきかわからない
表現方法が決まっていないだけなら、制作側から提案を受けられます。
一方で、動画を作る目的まで決まっていない場合は、まず「誰に何をしてほしいのか」から考える必要があります。
「イメージがない」と「目的がない」は別
完成した動画を想像できなくても、依頼は進められます。
しかし、何のために動画を作るのかが決まっていなければ、良い提案かどうかを判断できません。
たとえば、同じ商品を紹介する動画でも、目的によって内容は変わります。
| 動画の目的 | 中心にする内容 |
|---|---|
| 商品を初めて知ってもらう | 商品の用途と特徴 |
| 商品ページへ移動してもらう | 悩み、解決方法、行動を促す言葉 |
| 店頭で興味を持ってもらう | 短時間で伝わる見た目と要点 |
| 営業先で説明する | 仕組み、導入方法、他の方法との違い |
| 求人応募につなげる | 仕事内容、職場の雰囲気、働く人 |
映像の色や動きは決められなくても構いません。
「商品ページを見てもらいたい」「サービスの仕組みを理解してほしい」といった目的は、依頼者側で決めておきます。
完成イメージを説明できないときに伝える3項目
動画の見た目を具体的に説明できない場合は、次の3項目を伝えます。
動画を見せる相手
誰に見せる動画なのかがわかれば、言葉の難しさや画面の速さを考えやすくなります。
最低限、次の内容を伝えます。
- 個人向けか企業向けか
- 商品を初めて知る人か
- すでに比較している人か
- おおよその年齢
- どのような悩みを持っている人か
「幅広い人に見せたい」ではなく、中心となる相手を一つ決めます。
最も伝えたいこと
一つの動画に多くの内容を入れると、何を伝えたいのかわからなくなります。
まず、見終わった人に覚えてほしいことを一文にします。
たとえば、次のような形です。
- 予約の電話対応を減らせるサービス
- 専門知識がなくても使える管理ツール
- 少ない人数でも店舗を運営しやすくなる仕組み
- 初めてでも申し込みまで迷わないサービス
その一文を支える情報を、二つか三つ加えます。
避けたい表現
好きな映像を説明できなくても、苦手な表現なら伝えやすいことがあります。
- にぎやかすぎる動画は避けたい
- 子ども向けのような表現にはしたくない
- 高級感を出しすぎたくない
- 文字を大量に表示したくない
- 強い売り込みに見せたくない
- 暗く重い雰囲気にはしたくない
避けたい方向がわかるだけでも、提案の範囲を絞れます。
「おまかせ」と「何も伝えない」は違う
制作側へおまかせする場合でも、判断材料は必要です。
「良い感じにしてください」だけでは、何を良いと感じるのかがわかりません。
細かな指示を出す代わりに、次のように伝えます。
- 商品を知らない人にもわかる内容にしたい
- 信頼感は必要だが、堅すぎる表現は避けたい
- 映像の格好よさより、サービスの仕組みを伝えたい
- 短い時間で興味を持ってもらいたい
- 既存のWebサイトと雰囲気を合わせたい
制作側へ任せるのは、目的を実現するための見せ方です。
目的そのものまで任せてしまうと、完成後に「想像していたものと違う」と感じやすくなります。
参考動画がなくても方向性は伝えられる
参考動画は、依頼者と制作側の認識を合わせるために使います。
ただし、必ず用意しなければならないものではありません。
参考動画が見つからない場合は、別の資料を渡します。
Webサイトやパンフレットを渡す
すでに使っているWebサイトや会社案内から、色、文字、写真の雰囲気を読み取れます。
渡せるものには、次のような資料があります。
- 公式Webサイト
- 商品ページ
- 会社案内
- 営業資料
- パンフレット
- SNSの投稿
- 広告用の画像
- ロゴ
- 商品写真
現在のデザインをそのまま使いたいのか、動画を機に雰囲気を変えたいのかも伝えます。
動画以外のデザインを参考にする
参考にできるのは動画だけではありません。
Webサイト、広告、ポスター、パッケージなどから、好みの方向を伝えられます。
たとえば、次のように説明します。
- このWebサイトの配色が近い
- この広告の文字の大きさが見やすい
- この商品パッケージの落ち着いた雰囲気がよい
- このパンフレットのように図を使って説明したい
動きがわからなくても、色や情報の見せ方は共有できます。
言葉を二つ並べて選ぶ
雰囲気を説明しにくい場合は、対になる言葉から近いほうを選びます。
| 比較する項目 | 選び方の例 |
|---|---|
| 印象 | 親しみやすい/高級感がある |
| 動き | 落ち着いている/テンポが速い |
| 説明 | 丁寧に見せる/短く要点だけ見せる |
| 色 | 明るい/落ち着いている |
| 文字 | やわらかい/かっちりしている |
| 音 | 軽快/重厚 |
すべてを選ぶ必要はありません。特に気になる項目だけで十分です。
制作側が初回相談で確認する内容
完成イメージが決まっていない場合、制作側は質問をしながら方向を探します。
よく聞かれるのは、次のような内容です。
- なぜ動画を作ろうと思ったのか
- 現在どのような問題があるのか
- 誰に見せるのか
- 見た人に何をしてほしいのか
- どこで使用するのか
- 最も伝えたい商品や特徴は何か
- 使える写真や資料はあるか
- 避けたい表現はあるか
- いつまでに必要か
すべての質問へ詳しく答えられなくても問題ありません。
わからない項目は「決めていないので提案してほしい」と伝えます。
初回相談では答えより材料を渡す
初回相談の目的は、依頼者が完成形を説明することではありません。
制作側が提案できる材料を渡すことです。
次のような伝え方でも、相談を始められます。
新しいサービスを紹介する動画を作りたいのですが、映像の雰囲気や構成は決まっていません。主にサービスを知らない店舗経営者へ見せる予定です。電話対応の時間を減らせる点を伝え、詳しいページを見てもらいたいと考えています。にぎやかな広告より、仕組みがわかりやすい動画を希望します。
この文章には、次の情報が入っています。
- 紹介するもの
- 見せる相手
- 最も伝えたいこと
- 動画を見た後の行動
- 避けたい雰囲気
色、動き、BGM、ナレーションが決まっていなくても、方向性を提案できます。
提案された動画の方向を選ぶ基準
制作側から案を出されても、映像に詳しくなければ選びにくいことがあります。
その場合は「好きか嫌いか」だけで判断せず、目的に合うかを見ます。
見せたい相手に合っているか
若い人向けのSNS広告と、企業担当者へ見せるサービス説明では、合う表現が違います。
自分の好みよりも、主な視聴者が見やすいかを考えます。
最も伝えたいことが目立っているか
動きやデザインが整っていても、商品の特徴が埋もれていれば目的を果たせません。
動画を一度見ただけで、何の動画かわかるかを見ます。
使用場所に合っているか
SNSで使う動画なら、冒頭で内容が伝わるかが大切です。
営業先で見せる動画なら、音声と画面を追いながら仕組みを理解できる必要があります。
使う場所を基準にすると、案を選びやすくなります。
構成の段階で確認すること
動画の編集が始まる前に、構成や絵コンテを確認します。
この段階では、細かな色や動きよりも、説明の内容を見ます。
- 伝える順番はわかりやすいか
- 最も伝えたいことが入っているか
- 不要な説明が多くないか
- 誤解される表現がないか
- 商品名や数字に間違いがないか
- 見た人に取ってほしい行動が入っているか
構成に問題がなければ、その後のデザインや編集も大きく外れにくくなります。
反対に、構成をよく見ずに編集へ進むと、完成後に動画全体を作り直すことがあります。
完成イメージが決まっていない状態で依頼する場合
外部へ依頼するときは、決まっていることと決まっていないことを分けて伝えます。
決まっていることとして、次の内容を整理します。
- 動画を作る目的
- 見せる相手
- 掲載場所
- 最も伝えたいこと
- 使用できる資料
- 希望する納期
- 避けたい表現
決まっていないことは、そのまま書きます。
- 構成は提案してほしい
- 実写とアニメーションのどちらがよいかわからない
- 動画の長さは相談したい
- ナレーションが必要か判断してほしい
- 参考動画は見つかっていない
何が未定なのかがわかれば、制作側も必要な提案をしやすくなります。
まとめ
動画制作は、完成イメージが決まっていなくても依頼できます。
最初から構成、色、動き、ナレーションまで決める必要はありません。
先に整理するのは、次の内容です。
- 動画を作る目的
- 見せる相手
- 最も伝えたいこと
- 避けたい表現
参考動画が見つからない場合は、Webサイトやパンフレット、好きなデザイン、言葉による比較でも方向を伝えられます。
完成形を説明するのではなく、制作側が判断できる材料を渡す。これが、イメージが決まっていない状態から動画制作を進める方法です。

