忘年会の余興動画は、写真と動画を集めて外注先へ送るだけでは完成しません。
誰に見せるのか、どの場面で流すのか、笑いと一年の振り返りをどの程度入れるのか。ここが決まっていないと、編集が整っていても会場の雰囲気に合わない動画になります。
制作を頼む前に、動画の役割、長さ、素材の選び方、避けたい内容をまとめておきましょう。
最初に動画の役割を一つ決める
忘年会動画には、いくつかの使い方があります。
- 開始直後に流して会場を温める
- 一年間の出来事を振り返る
- 社員や部署を面白く紹介する
- 表彰や景品発表につなげる
- 異動する人へ感謝を伝える
- 忘年会の最後を締める
これらを一本にすべて入れると、動画が長くなり、何を見せたいのか分かりにくくなります。
まずは「この動画を見た後、会場をどのような状態にしたいか」を一つ決めます。
たとえば、乾杯前に流すなら、詳しい一年の振り返りより、参加者が会場へ目を向ける短いオープニングが向いています。
余興の途中なら、社員紹介や社内の出来事を使った笑える内容が合います。最後に流すなら、笑いだけで終わらせず、一年間への感謝を入れた方が締まりやすくなります。
動画の種類によって必要な素材は変わる
同じ忘年会動画でも、内容によって集めるものが違います。
| 動画の種類 | 主に使う素材 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 一年の振り返り | 社内行事、仕事中、集合写真 | 中盤、締め |
| 社員紹介 | 顔写真、名前、部署、短い紹介文 | オープニング、余興 |
| メッセージ動画 | 社員が話す映像 | 表彰、送別、締め |
| パロディ風 | 撮影動画、台本、小道具 | 余興 |
| クイズ風 | 写真、問題文、答え | 中盤 |
| エンドロール | 参加者名、写真、感謝の言葉 | 最後 |
| 表彰動画 | 受賞者名、実績、写真 | 表彰前 |
まだ内容が決まっていない場合は、手元にどのような素材があるかを調べます。
写真しかないのに、出演者の演技が必要なパロディ動画を選ぶと、新たな撮影が増えます。時間をかけられない場合は、既存の写真と短いコメントで作れる振り返り動画の方が進めやすくなります。
「盛り上がる動画」だけでは内容を決められない
制作依頼でよく起こるのが、「楽しく」「面白く」「盛り上がる感じで」とだけ伝えてしまうことです。
同じ「面白い」でも、希望する内容は人によって違います。
- テンポのよい写真紹介
- 社員の意外な一面を見せる
- テレビ番組のような演出
- 真面目な人がふざける映像
- 社内の出来事を使ったクイズ
- 軽い失敗談を紹介する
- 写真に短いツッコミを入れる
完成イメージを伝えるときは、抽象的な言葉だけでなく、具体的な場面を添えます。
「社員紹介をテンポよく見せ、最後は一年間の感謝で締めたい」
「前半は笑える内容にして、後半は表彰発表へ自然につなげたい」
「内輪ネタを強くせず、新入社員や取引先が見ても分かる内容にしたい」
この程度まで決めておけば、外注先も構成を考えやすくなります。
視聴者の範囲を決めてから内輪ネタを入れる
忘年会には、同じ部署の社員だけが参加する場合もあれば、役員、別部署、取引先、社員の家族が参加する場合もあります。
見る人の範囲が広いほど、内輪ネタは伝わりにくくなります。
同じチームの数人にしか分からない話を長く入れると、ほかの参加者は置いていかれます。説明が必要なネタは短くし、写真を見ただけで分かる出来事を中心にします。
入れやすい内容
- 社内行事や社員旅行
- 新しい事務所や店舗の紹介
- 新入社員の紹介
- 部署ごとの集合写真
- 一年間の主な出来事
- 表彰された人の紹介
- 仕事中の自然な様子
- 参加者全員に関係する話題
慎重に扱いたい内容
- 特定の人だけを強くからかう
- 容姿、年齢、結婚、家族に関する話
- 失敗やミスを何度も見せる
- 本人が隠したい過去の写真
- 飲酒中の失敗
- 退職や異動の理由
- 社外秘の資料や画面
- 顧客や取引先が写った写真
本人がその場で笑って受け入れられるとは限りません。迷う素材は、公開してよいか本人や責任者へ聞いてから使います。
動画の長さは当日の進行から逆算する
動画の長さは、素材の量ではなく、忘年会全体の進行から決めます。
余興の持ち時間が10分でも、そのすべてを動画に使う必要はありません。上映前の説明、機器の操作、上映後の反応や司会進行にも時間がかかります。
迷った場合は、まず3~5分ほどで構成を考えます。
短い動画なら一つひとつの写真を見やすくでき、会話や食事の流れも止めにくくなります。社員全員から長いコメントを集めるより、代表者の言葉と写真を組み合わせた方がまとまる場合もあります。
3分程度の構成例
| 場面 | 内容 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| オープニング | タイトル、開催年 | 10秒 |
| 前半 | 春から夏の出来事 | 50秒 |
| 中盤 | 秋から冬の出来事 | 50秒 |
| 社員コメント | 短いメッセージ | 50秒 |
| エンディング | 感謝、来年への言葉 | 20秒 |
5分程度の構成例
| 場面 | 内容 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| オープニング | タイトル、参加者紹介 | 15秒 |
| 一年の振り返り | 月別または出来事別の写真 | 2分 |
| 社員紹介 | 部署ごとの写真やコメント | 1分 |
| メッセージ | 代表者や社員の短い映像 | 1分 |
| エンディング | 感謝と締めの言葉 | 45秒 |
写真を多く使いたい場合も、一枚ずつ長く見せる必要はありません。似た場面は数枚に絞り、内容の違う写真を選びます。
写真は枚数より種類をそろえる
100枚の写真があっても、同じ飲み会の写真ばかりでは一年の振り返りになりません。
先に必要な種類を決め、それぞれから数枚ずつ選びます。
- 年始や新年度
- 社内行事
- 会議や研修
- 社員旅行
- 新人の入社
- 新商品や新店舗
- 表彰や受賞
- 日常の仕事風景
- 部署ごとの集合写真
- 忘年会へつなげる最近の写真
写真を集める担当者が複数いる場合は、共有フォルダを作り、分類ごとに保存します。
例:
- 01_新年度
- 02_社内イベント
- 03_社員旅行
- 04_日常
- 05_表彰
- 06_エンディング候補
最初から分類しておけば、外注先へ写真の意味を説明しやすくなります。
ファイル名に使う順番と説明を入れる
スマートフォンから集めた写真は、意味の分からない英数字のファイル名になっていることがあります。
そのまま大量に送ると、どの順番で使うのか、誰が写っているのかを外注先が判断できません。
順番を指定したい場合は、ファイル名へ番号を入れます。
- 01_新入社員集合
- 02_春の研修
- 03_社員旅行
- 04_社内表彰
- 05_秋のイベント
- 06_全員集合
写真に説明文を入れたい場合は、別の一覧表を作ります。
| ファイル名 | 表示する文章 | 注意点 |
|---|---|---|
| 01_新入社員集合 | 今年は5名の仲間が加わりました | 全員の顔を切らない |
| 02_春の研修 | 初めての合同研修 | 写真を明るくする |
| 03_社員旅行 | 部署を越えて交流 | 右端の人物は使わない |
| 04_社内表彰 | 年間表彰 | 名前と役職を表示 |
外注先へすべて任せる場合も、写真の内容だけは説明します。誰が写っているか分からない状態では、名前や順番の間違いが起きやすくなります。
社員コメントは短く統一する
一人ずつコメントを集める場合は、文字数や内容を決めます。
条件を付けずに募集すると、一言だけの人と長文の人が混ざり、画面の表示時間がそろいません。
文章で集める場合
- 一人30~50文字程度
- 名前と部署を添える
- 一年間の出来事を一つ入れる
- 個人への悪口や強いからかいは避ける
- 締切日時を指定する
- 締切後の変更は原則受け付けない
依頼文は、次のように具体的にします。
忘年会動画に載せるコメントを集めています。
今年の思い出または来年の目標を40文字以内で送ってください。
表示する名前と部署名も記入してください。
締切は11月30日17時です。
動画で集める場合
- スマートフォンを横向きにする
- 一人10~15秒に収める
- 静かな場所で撮る
- 顔が暗くならない位置を選ぶ
- カメラを目線の高さに置く
- 話し始める前後に少し間を空ける
- 撮影後に音声を再生して確かめる
撮影方法を統一しないと、縦長と横長が混ざり、声の大きさもばらばらになります。
台本が必要な動画と不要な動画を分ける
写真を順番に見せるスライド動画なら、細かな台本がなくても制作できます。
一方、社員が出演するパロディ、ドラマ、テレビ番組風の動画には台本が必要です。
| 内容 | 台本 |
|---|---|
| 写真のスライドショー | 簡単な構成表で足りる |
| 一年の振り返り | 出来事の順番が必要 |
| 社員紹介 | 名前と紹介文が必要 |
| インタビュー | 質問項目が必要 |
| クイズ | 問題、答え、表示順が必要 |
| パロディ | セリフと撮影順が必要 |
| ドラマ | 場面、出演者、セリフが必要 |
撮影を終えてから台本を変えると、必要な映像が足りなくなることがあります。
社員が出演する動画は、撮影前に外注先へ構成を見てもらい、必要な場面を決めてから撮ります。
参考動画は「どこが好きか」まで伝える
完成イメージに近い動画がある場合は、その動画を共有します。
ただし、URLだけを送って「このようにしてください」と頼むと、どの部分を参考にすればよいか分かりません。
次のように、参考にしたい点を分けて伝えます。
- 冒頭のテンポ
- 写真の切り替え方
- 文字の出し方
- BGMと映像の合わせ方
- 社員紹介の見せ方
- 笑いから感動へ変わる流れ
- 最後の締め方
反対に、避けたい点も書いておきます。
「文字が派手に動く演出は不要」
「テレビ番組風にはしたいが、字幕を多くしすぎたくない」
「感動的にしすぎず、明るく終わりたい」
参考動画をそのまま再現してもらうのではなく、使いたい要素を伝えるために利用します。
BGMは会場と利用条件を先に確かめる
使いたい曲が決まっていても、会場の設備や利用条件によって扱いが変わる場合があります。
制作開始前に、次の点を会場担当者へ聞きます。
- 市販曲を使った動画を流せるか
- 会場側で必要な手続きがあるか
- 音源を誰が用意するか
- 音声付き動画の提出方法
- 当日の音量を誰が調整するか
曲を後から変更すると、写真の切り替えや動画全体の長さも変わります。
曲が決まっていない場合は、「明るい」「落ち着いた」「テンポが速い」など、希望する雰囲気を先に伝えます。
見積もり前に素材の数を把握する
制作料金や必要な日数は、動画の長さだけでは決まりません。
写真100枚と動画20本を使う編集は、写真20枚だけのスライドより作業が増えます。素材を整理せずに見積もりを頼むと、後から金額や納期が変わることがあります。
問い合わせ前に、次の数を確認します。
- 写真の枚数
- 動画素材の本数
- 動画素材の合計時間
- コメントを載せる人数
- BGMの曲数
- 完成動画の希望時間
- タイトルや字幕の数
- 修正を確認する人数
まだ素材を集めている場合は、現在の数と最終的な予定数を分けて伝えます。
例:
- 現在は写真45枚
- 最終的に60枚前後になる予定
- 動画メッセージは5本
- 完成は4分程度を希望
- コメントは10名分
これだけでも、外注先が作業量を把握しやすくなります。
完成動画を確認する人は一人に決める
忘年会動画を複数人で確認すると、意見がまとまらなくなることがあります。
ある人は写真を増やしたいと言い、別の人は動画を短くしたいと言う。修正後に別の参加者が最初の状態へ戻したいと言い出すこともあります。
次の役割を分けておきます。
- 素材を集める人
- 名前や文章を確かめる人
- 内容を承認する人
- 会場で動画を流す人
最終的な修正指示は、一人がまとめて送ります。
複数人の意見をそのまま転送するのではなく、「変更する内容」と「変更しない内容」を決めてから伝えます。
上映環境は制作開始前に調べる
完成した動画をパソコンで再生できても、忘年会会場でそのまま流せるとは限りません。
会場には次の内容を聞きます。
- スクリーンの有無
- プロジェクターの有無
- パソコンを持ち込む必要があるか
- 対応している動画形式
- USBメモリから再生できるか
- 画面の横縦比
- 音響設備へ接続できるか
- 事前の再生テストができるか
- 動画データの提出期限
- DVDでの提出が必要か
会場から指定された条件は、そのまま外注先へ伝えます。
横長のスクリーンで流す動画を、スマートフォン向けの縦長で作ると、左右に大きな余白が出ます。画面の形は制作を始める前に決めてください。
当日は動画を一か所だけに保存しない
完成動画は、当日使うパソコンだけでなく、別の場所にも保存します。
- 当日使用するパソコン
- USBメモリ
- 予備のUSBメモリ
- オンラインストレージ
- 幹事のスマートフォン
- 会場担当者のパソコン
修正版が複数ある場合は、古いデータを当日用のフォルダから外します。
「完成版」「完成版2」「最終版」といった名前では区別しにくいため、日付を入れます。
例:
- 忘年会動画_確認用_2026-12-05
- 忘年会動画_修正版_2026-12-08
- 忘年会動画_当日上映版_2026-12-10
当日上映版だけを分かりやすい場所へ置き、最初から最後まで再生しておきます。
忘年会動画の制作を依頼する場合に整理すること
制作を頼む前に、次の内容を一つのメモへまとめます。
日程
- 忘年会の開催日時
- 動画を使用する時間
- 会場への提出期限
- 素材をすべて渡せる日
- 初稿を確認できる日
- 修正を終えたい日
動画の内容
- 動画を流す目的
- オープニング、中盤、締めのどこで使うか
- 希望する長さ
- 明るい、面白い、感動的などの雰囲気
- 使用する写真の枚数
- 使用する動画の本数
- コメントを載せる人数
- 参考動画
- 入れたい言葉
- 避けたい表現
納品条件
- MP4、DVDなどの希望形式
- 会場の画面比率
- 動画を再生する機器
- 音声の有無
- BGMの希望
- 事前上映テストの予定
確認する人
- 素材を集める担当者
- 名前や文章を確認する担当者
- 最終承認する担当者
- 当日再生する担当者
素材がそろっていない場合は、すでに用意できているものと、後日渡すものを分けて伝えます。
外注先が制作を始められる状態まで整理してから連絡すると、質問の往復を減らせます。
まとめ
忘年会の余興動画を依頼する前に決めたいのは、派手な演出ではありません。
動画をどこで流し、見た人にどう感じてもらいたいのかを決めます。その後、必要な写真、コメント、撮影動画を集め、使う順番が分かるように整理します。
内輪ネタや社員の写真を使う場合は、参加者の範囲と本人の受け取り方にも配慮が必要です。
完成後は内容だけでなく、会場の機器で再生できるかも確かめます。動画の構成、素材、上映条件を先にまとめておけば、外注先とのやり取りが進みやすくなり、忘年会当日の失敗も減らせます。

