VHSのラベルに「T-120」と書かれていても、映像が120分だけとは限りません。3倍モードで録画されていれば、同じテープに長時間の映像が入っていることがあります。
そのため、VHSのダビング料金を見るときは、表示されている1本あたりの金額だけでなく、録画時間による追加料金も確かめる必要があります。テープの中身を再生できず、何分入っているか分からない場合も、見積もり前に伝えておくと行き違いを減らせます。
VHSの3倍モードとは
VHSには、同じテープへ長く録画するためのモードがあります。
よく使われていたのは、標準モードと3倍モードです。
| 録画モード | T-120テープに録画できる目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 標準モード | 約120分 | 3倍モードより画質を保ちやすい |
| 3倍モード | 約360分 | 長時間録画できるが画質は落ちやすい |
T-120の「120」は、標準モードで録画した場合の目安です。3倍モードなら約3倍の時間を記録できます。
VHSにはT-60、T-120、T-160、T-180など、長さの異なるテープもあります。さらに途中で録画モードを切り替えている場合があるため、テープの型番だけでは実際の収録時間を断定できません。
3倍モードで料金が高くなるかは計算方法で決まる
3倍モードだから必ず追加料金がかかるわけではありません。
料金の数え方は、依頼先によって異なります。
| 料金の数え方 | 3倍モードの影響 |
|---|---|
| テープ1本ごと | 録画時間に関係なく同じ場合がある |
| 収録時間ごと | 120分を超えた分に追加料金がかかる場合がある |
| 完成DVDの枚数ごと | 長時間でDVDが増えると料金も増える場合がある |
| 基本料金と超過料金 | 規定時間を超えた分だけ加算される |
例えば、T-120を3倍モードで最後まで録画すると、約6時間の映像が入ります。
120分までを基本料金としているサービスでは、残りの時間が追加扱いになることがあります。一方、テープ1本単位で計算するサービスなら、長時間でも金額が変わらない場合があります。
テープを見ただけでは録画モードを判断できない
ケースやラベルに「3倍」「EP」と書かれていれば判断できますが、何も書かれていないテープも少なくありません。
次のような情報が残っていないか探します。
- テープ本体の手書きメモ
- ケースの背表紙
- 撮影日や行事名
- 「標準」「3倍」「SP」「EP」などの表記
- 録画開始時刻と終了時刻
- 使用していたビデオカメラやデッキの説明書
ただし、「運動会」「旅行」などの題名しか書かれていない場合、録画時間までは分かりません。
古いビデオデッキが残っていても、長期間動かしていない場合は、確認のためだけに再生するのは避けたほうが安全です。デッキ内部の汚れやテープの劣化によって、テープが絡むことがあります。
録画時間が分からなくても見積もりは頼める
再生機器がなくても、次の情報があれば見積もりを頼めます。
- VHSの本数
- テープの型番
- ラベルに書かれている内容
- 3倍モードと書かれたテープの本数
- 録画時間が分からないテープの本数
- 希望する納品方法
- 元テープの返却が必要か
- 希望する納期
問い合わせ文は、次のように書きます。
「T-120のVHSが3本あります。ラベルには家族旅行と運動会と書かれていますが、録画時間と録画モードは分かりません。スマートフォンで見られる動画ファイルへの変換を希望しています」
時間が分からないことを最初に書けば、依頼後に追加料金を知って慌てる事態を防げます。
DVD化では完成枚数も確認する
長時間のVHSをDVDにすると、1枚に収まらず、複数枚へ分かれることがあります。
その場合、次の扱いを聞いておきます。
- DVDが増えても料金は変わらないか
- 追加ディスクごとに料金がかかるか
- どの場面で前編と後編を分けるか
- DVDごとにタイトルを付けてもらえるか
- ケースも枚数分付くか
- 複製を頼む場合は何枚として数えるか
家族旅行の途中でDVDが切り替わるより、1日目と2日目の間など、区切りのよい場面で分けたほうが見やすくなります。
分割位置を指定できる場合は、「1時間30分ごろ」ではなく、「夕食が終わった場面の後」のように内容も添えます。
MP4なら長時間でも1つのファイルにできるとは限らない
スマートフォンやパソコンで見るなら、MP4などの動画ファイルで受け取る方法があります。
MP4はDVDの収録時間に縛られませんが、長時間になるほどファイル容量が大きくなります。そのため、依頼先によっては複数のファイルへ分けて納品されます。
確認したいのは次の点です。
- 1本のVHSを1ファイルにするか
- 長時間の場合は何時間ごとに分割するか
- ファイル名はどのように付くか
- スマートフォンへ直接保存できる容量か
- ダウンロードできる期限は何日か
- パソコンを使わずに保存できるか
スマートフォンの空き容量が少ないと、ダウンロードできないことがあります。受け取る前に、不要な写真や動画を整理するか、パソコンや外付けストレージへ保存する準備をします。
DVDとMP4は使い方で選ぶ
長時間のVHSでは、DVDとMP4のどちらを選ぶかによって、受け取り後の扱いが変わります。
| 納品方法 | 向いている使い方 | 長時間映像で気をつけること |
|---|---|---|
| DVD | テレビとDVDプレーヤーで見る | 複数枚へ分かれる場合がある |
| MP4 | スマホやパソコンで見る | ファイル容量が大きくなる |
| DVDとMP4 | テレビでもスマホでも見る | ディスクとデータの両方を管理する |
| USBメモリー | 複数の映像をまとめて受け取る | 紛失と故障に備えてコピーが必要 |
家族とテレビで見るならDVD、外出先や離れて暮らす家族と共有するならMP4が扱いやすくなります。
長く残すなら、どちらか一つだけにせず、複数の場所へコピーします。
3倍モードの映像は高画質化できるとは限らない
3倍モードは長時間録画できる反面、標準モードより画質が荒くなりやすい録画方法です。
ダビングによって映像を現在の機器で再生できるようにはなりますが、元のテープに記録されていない細部まで戻るわけではありません。
次のような状態は、データ化した後も残ることがあります。
- 輪郭がぼやけている
- 色がにじんでいる
- 横方向のノイズが出る
- 音声に雑音が入る
- 途中で映像が乱れる
- 録画開始直後に画面が揺れる
「高画質で納品」と書かれていても、VHSを現在の4K映像のように変えるという意味ではありません。元映像をできるだけ崩さずに取り込むものと考えます。
接続方法によって色のにじみ方が変わる
VHSをデータ化するときは、ビデオデッキから取り込み機器へ映像を送ります。
よく使われる接続方法には、黄色い映像端子を使うコンポジット接続と、S端子を使う接続があります。
S端子は映像の明るさと色の信号を分けて送るため、対応するテープと機器を使えば、コンポジット接続より色のにじみを抑えやすくなります。
ただし、接続方法だけで元の映像が大幅にきれいになるわけではありません。テープの録画状態、ビデオデッキの状態、取り込み設定も仕上がりに影響します。
画質を気にする場合は、どの接続方法で取り込むかだけでなく、S-VHSへ対応しているかも聞いておきます。
追加料金の有無は総額で比べる
基本料金が安くても、次の費用を加えると総額が変わることがあります。
- 録画時間の超過料金
- DVDの追加枚数
- MP4への変換
- USBメモリー
- テープの返送
- 発送と返送の送料
- カビ取り
- テープ切れの修復
- 映像や音声の補正
- ファイルの分割
- DVDの複製
比較するときは、「VHS1本の料金」ではなく、希望する納品方法まで含めた合計を見ます。
特に3倍モードの可能性がある場合は、録画時間が判明した後に金額が変わるかを先に聞いておきます。
長時間のVHSを送る前に行う準備
テープを発送する前に、1本ずつ番号を付けます。
例えば、3本なら次のように整理します。
| 番号 | ラベルの内容 | テープ型番 | 録画時間 |
|---|---|---|---|
| VHS-01 | 1997年運動会 | T-120 | 不明 |
| VHS-02 | 家族旅行 | T-160 | 3倍と記載あり |
| VHS-03 | 子どもの発表会 | T-120 | 不明 |
番号はケースとテープ本体の両方へ付けます。窓や可動部分には貼らず、元のラベルを隠さない位置を選びます。
箱へ入れる前には、次の内容も決めます。
- MP4かDVDか
- 元テープを返却してもらうか
- DVDを複製するか
- ファイル名やDVDタイトルを指定するか
- いつまでに必要か
- データを受け取った後にどこへ保存するか
データ化を依頼するときに伝える内容
長時間録画の可能性があるVHSは、本数だけでなく録画モードが不明なことも伝えます。
問い合わせ前に、次の内容をまとめます。
- VHS、S-VHS、VHS-Cの種類
- テープの本数
- T-120などの型番
- 3倍モードと書かれたテープ
- 録画時間が分からないテープ
- カビやケース割れの有無
- 希望する納品方法
- 元テープ返却の有無
- 希望する納品日
- 長時間でも料金が変わらないか
- DVDやファイルが分割された場合の扱い
まとめ
VHSの3倍モードは、標準モードより長時間の映像を記録できます。その分、収録時間や完成DVDの枚数によって追加料金がかかるサービスもあります。
料金を見るときは、テープ1本の基本料金だけで判断せず、録画時間、納品形式、ディスク枚数、送料、返却費用まで含めます。
録画モードや時間が分からなくても、見積もりは頼めます。テープの本数、型番、ラベルの内容、希望する納品方法を伝え、長時間だった場合に料金が変わるかを先に聞いておけば、発送後の予想外の追加料金を防げます。

