食品の商品写真を外注するとき、カメラマンに頼めるのは撮影だけとは限りません。
商品をスタジオへ送り、開封、調理、盛り付け、食器や背景の準備までまとめて頼めるケースもあります。レトルト食品、調味料、お菓子、麺類など、完成状態を見せたい商品では特に便利です。
ただし、「調理もお願いします」だけでは、どこまで任せるのか伝わりません。撮影前に、必要な写真と調理内容を分けて整理しておく必要があります。
まず「何を撮るか」を分ける
食品撮影では、同じ商品でも必要な写真が何種類かあります。
たとえばレトルトカレーなら、
- 未開封のパッケージ
- 袋から出した中身
- ご飯にかけた完成状態
- スプーンですくったアップ
- 食卓に置いたイメージ写真
では、撮影に必要な準備がすべて違います。
最初に写真を種類ごとに分けておくと、必要な調理や商品数も決めやすくなります。
| 写真 | 主な準備 |
|---|---|
| パッケージ写真 | 商品本体、背景 |
| 盛り付け写真 | 食器、料理の配置 |
| 調理後写真 | 加熱・調理設備 |
| 使用イメージ | 食器、小物、背景 |
| アップ写真 | 見せたい具材や質感 |
| 複数商品写真 | 商品の組み合わせと配置 |
「5カット欲しい」だけではなく、「何を写した5カットなのか」まで決めます。
「盛り付け」と「調理」は分けて考える
食品撮影でいう盛り付けと調理は、同じ作業ではありません。
盛り付けだけで済むもの
開封して器へ移すだけの商品です。
- お菓子
- ナッツ
- ドライフルーツ
- 調理済み惣菜
- そのまま食べられる食品
この場合は、どの器にどの程度の量を入れるかが主な指示になります。
軽い調理が必要なもの
少し手を加えて完成する商品です。
- 切る
- 混ぜる
- 和える
- お湯を注ぐ
- トッピングする
作業自体は簡単でも、完成形を指定しておかないと見た目が変わります。
加熱調理が必要なもの
焼く、煮る、揚げるなどの作業が入る商品です。
この場合は、
- 加熱時間
- 火加減
- 使用する調理器具
- 完成の目安
- 焼き色
- 盛り付ける量
まで伝えます。
商品パッケージに作り方が書かれていても、撮影用として別に指示を出しておくほうが確実です。
完成写真の参考画像を用意する
「おいしそうな感じ」「高級感のある写真」といった指示だけでは、人によって想像する写真が変わります。
参考画像を用意し、どこを参考にするのか書いておきます。
たとえば、
- 明るさはこの写真
- 背景はこの雰囲気
- 盛り付け方はこの写真
- 器は白系
- 真上からではなく斜めから
- 料理の量を多く見せすぎない
と分けます。
参考画像を一枚送るだけより、意図が伝わりやすくなります。
商品そのものと付け合わせを区別する
完成料理を華やかにするため、野菜、香草、果物、パンなどを加えることがあります。
ここで注意したいのが、商品に含まれている食材と誤解される見せ方です。
たとえばスープの商品写真に大きな肉や野菜を追加すると、購入者が「商品に入っている具材」だと思うことがあります。
付け合わせを使うなら、
- 商品に追加してよい食材
- 写真に入れてはいけない食材
- 飾りとして使うもの
- 実際の商品に含まれるもの
を分けて伝えます。
食器や小物を誰が用意するか決める
完成写真では、商品以外にもいろいろな物を使います。
- 皿
- ボウル
- グラス
- カトラリー
- ランチョンマット
- 木製トレー
- クロス
- 調理器具
- 背景に置く小物
撮影者側にある物を使うのか、依頼者が送るのか、新しく用意するのかを先に決めます。
ブランド専用の食器やパッケージと合わせた小物があるなら、商品と一緒に送ります。
逆に「白い皿なら何でもよい」のであれば、その旨を伝えたほうが準備が簡単です。
調理が必要なら商品を多めに送る
食品は一度調理すると、基本的には撮影前の状態に戻せません。
一回目の調理で形が崩れたり、希望した焼き色にならなかったりすれば、別の商品が必要になります。
さらに、
- パッケージ撮影
- 調理前撮影
- 完成写真
- 断面写真
- 箸上げ
- 別の盛り付け
を撮る場合、一つの商品だけですべて対応できないことがあります。
必要な写真を先に伝え、「何個送ればよいか」を撮影前に決めておきます。
パッケージ撮影も頼むならきれいな商品を分けておく
食品ECでは、料理写真と一緒にパッケージ写真を使うことがあります。
撮影用に発送した商品は、配送中に袋へしわが入ったり、箱の角がへこんだりすることがあります。
外装をきれいに見せたいなら、パッケージ撮影用の商品を別に用意します。
特に、
- 光沢のある袋
- 透明な袋
- アルミ袋
- ボトル
- ガラス容器
- 金属缶
は照明が映り込みやすく、料理写真とは違った撮影が必要です。
「料理だけ撮影するのか」「外装も撮るのか」は最初に伝えます。
EC用とSNS用では撮り方を変える
同じ料理写真でも、掲載場所によって使いやすい構図が違います。
ECの商品ページでは、商品を大きく見せる写真が使いやすい一方、SNSでは縦長や余白を取った写真が必要になることがあります。
複数の場所で使う予定なら、
- EC商品ページ
- 楽天・Amazonなどのモール
- 自社サイト
- 広告
- チラシ
- パッケージ
など、使う場所を撮影前に伝えます。
文字を後から載せる予定なら、「料理の左側を空ける」など余白まで指定しておくと使いやすくなります。
見積もりで確認する作業
食品撮影では、撮影枚数だけで見積もりを比べると内容が分かりにくくなります。
次の作業がどこまで含まれているかを見ます。
- 商品の開封
- 調理
- 盛り付け
- 食器の用意
- 背景や小物の用意
- 追加食材の買い出し
- スタイリング
- 撮影
- 色や明るさの調整
- 画像の切り抜き
- 合成
- 商品の返送
特に調理や盛り付けがある撮影では、カメラを使う時間より準備に時間がかかることもあります。
「写真1枚」の金額だけを見るのではなく、完成写真を作るまでに何が含まれているかで比べます。
撮り直しになる条件も先に決める
食品は撮り直しの負担が大きい商品です。
再撮影では商品をもう一度調理する必要があり、予備商品が足りなければ再発送も必要になります。
依頼前に、
- 明るさの変更は修正扱いか
- 色の変更は修正できるか
- 盛り付け変更は再撮影になるか
- 食器変更は再撮影になるか
- 構図変更は再撮影になるか
- 追加撮影を頼む場合はどうなるか
を確認しておきます。
最初の指示に入っていなかった内容を後から追加すると、単なる画像修正では済まないことがあります。
撮影指示書は一枚にまとめる
商品数が増えるほど、チャットだけで指示を送ると内容が分散します。
最低限、次の項目を一枚にまとめます。
- 商品名
- 商品番号
- 必要な写真
- 調理方法
- 盛り付け方法
- 使用する食器
- 追加してよい食材
- 参考画像
- 写真の使用先
- 必要な画像サイズ
- 避けたい見せ方
商品が複数ある場合は、商品番号を箱の中の商品にも付けておくと取り違えを防げます。
調理・盛り付けまで含めて撮影を依頼する前に
撮影先を決める前に、まず「商品をどんな状態まで作ってから撮るのか」を整理します。
特に決めておきたいのは、
- パッケージも撮るか
- 調理が必要か
- 盛り付けを任せるか
- 食器や小物を誰が用意するか
- 何の商品を何個送るか
- どんな写真を何枚必要とするか
- どこへ掲載するか
- 撮り直しが必要になる条件
です。
ここまで決めてから見積もりを取れば、「撮影だけだと思っていたら調理費が別だった」「盛り付け用の食器がなかった」といった行き違いを減らせます。
まとめ
食品撮影では、商品を送って撮ってもらうだけでなく、調理や盛り付けまでまとめて外注できる場合があります。
その分、一般の商品撮影よりも事前に決める内容は多くなります。
必要な写真、調理方法、盛り付け、食器、付け合わせ、商品数、掲載場所を先に整理しておけば、撮影者側も完成形を判断しやすくなります。
最初に「何枚撮るか」を決めるより、「どんな状態の商品を、どこで使うために撮るか」から決めるのが、食品撮影を外注するときの基本です。

