VRoidで作った3Dモデルを配信で使ってみると、口や目は動くものの、表情が思ったより単調に見えることがあります。
笑ったときの頬、眉の細かな動き、口角、舌出しなどまで顔の動きに反映したい場合に使われるのがパーフェクトシンクです。
ただし、今あるVRMモデルへ後から対応させる場合は、単に設定項目をオンにするだけでは済みません。元モデルの状態や、どのアプリで動かすかによって準備するデータも変わります。
パーフェクトシンクにすると何が変わる?
一般的なVRMモデルでも、まばたきや口の開閉、笑顔などの基本的な表情は付けられます。
パーフェクトシンクでは、顔の各部分をさらに細かく動かせるようにします。
たとえば、
- 左右の眉の動き
- 目を細める
- 頬を膨らませる
- 口角を左右別々に動かす
- 唇をすぼめる
- 舌を出す
- 口を横へ引く
といった細かな変化です。
顔全体を「笑顔」という一つの表情へ切り替えるのではなく、目、眉、口、頬などの動きを組み合わせるため、実際の顔の動きに近い変化を付けやすくなります。
向いているのは表情を見せる配信
パーフェクトシンクの効果が分かりやすいのは、顔が大きく映る配信です。
たとえば、
- 雑談配信
- ゲーム実況
- 歌配信
- ショート動画
- VTuberのSNS動画
- リアクションを見せる配信
などです。
反対に、3Dモデルを画面の端へ小さく表示するだけなら、細かな表情を追加しても違いが分かりにくいことがあります。
「対応できるから追加する」ではなく、普段どのくらい顔を大きく映しているかも考えて決めます。
まず自分のモデルが何で作られたか確認する
外注前に最初に確認したいのが、現在使っている3Dモデルの作り方です。
大きく分けると、
| モデル | 確認するもの |
|---|---|
| VRoid Studioで作成 | VRoid由来のモデルか |
| Blenderなどで制作 | 元の制作データが残っているか |
| 制作者へ依頼したモデル | 改変できる契約か |
| BOOTHなどで購入 | 利用規約で改変が認められているか |
VRMファイルを持っているだけでは、元の作り方が分からない場合があります。
購入したモデルや他のクリエイターに作ってもらったモデルなら、まず改変可能かを確認します。
「VRMを持っている」だけで依頼できるとは限らない
完成したVRMファイルだけで対応できるケースもありますが、モデルによっては元データが必要になります。
特にフルスクラッチで作られたモデルでは、
- Blenderのデータ
- FBX
- 元のメッシュ
- 表情用シェイプキー
などがあると作業しやすくなります。
依頼先へ最初に、
「手元にあるファイルはVRMだけです」
または、
「VRM、FBX、Blendファイルがあります」
と伝えます。
どのファイルを送ればよいか分からない場合も、手元にある形式を一覧にすれば判断してもらいやすくなります。
元の表情がどこまで入っているかを見る
パーフェクトシンク対応では、新しく表情を作るだけでなく、すでにモデルに入っている表情との兼ね合いもあります。
現在のモデルを動かし、
- まばたき
- 笑顔
- 口の開閉
- 驚き
- 怒り
- 悲しい顔
などがどの程度動くか一度見ておきます。
不満がある部分も書き出します。
たとえば、
「笑っても目元がほとんど変わらない」
「口は動くが頬が動かない」
「驚いたときの表情が弱い」
といった内容です。
単に「もっと表情豊かにしたい」と伝えるより、どこが気になっているのか分かるほうが調整方針を決めやすくなります。
使うトラッキングアプリも先に決める
パーフェクトシンクへ対応したモデルを作っても、実際に顔を読み取って動かす環境が必要です。
そのため、モデルだけではなく配信環境も確認します。
事前に整理しておきたいのは、
- スマートフォンの機種
- 顔トラッキングに使うアプリ
- PC側でモデルを表示するソフト
- 配信に使用するソフト
- VRChatでも使う予定があるか
です。
普段使っている環境があるなら、依頼時にソフト名まで伝えます。
モデル側の表情設定だけ依頼したいのか、実際にアプリで動くところまで見てもらいたいのかも分けて考えます。
iPhoneを使う予定なら機種も伝える
顔の細かな動きを読み取るには、端末側の顔トラッキング機能も関係します。
「iPhoneがあります」だけではなく、機種名まで伝えておくと話が早くなります。
Androidを使う場合も同様です。
利用予定のアプリによって対応端末が違うことがあるため、
- スマホの機種
- OS
- 使用予定アプリ
をまとめておきます。
これから端末を買う場合は、モデル対応を依頼する前に使用アプリの対応機種を調べておくほうが無駄がありません。
VRChatでも使うなら最初から伝える
配信用のVRMとVRChat向けアバターでは、必要な設定が同じとは限りません。
「普段のVTuber配信だけで使う」のか、「VRChatでも同じモデルを使いたい」のかを依頼前に決めます。
VRChatでも使いたい場合は、
- 現在VRChatで使っているモデルか
- PC向けかQuest向けか
- Unityのデータが残っているか
- 表情メニューなどをすでに設定しているか
も確認しておくとよいでしょう。
後からVRChat対応まで追加すると、モデル側とは別の設定が必要になることがあります。
自分で対応する場合と外注する場合の違い
パーフェクトシンクは、自分で勉強して追加する方法もあります。
| 自分で設定 | 外注 |
|---|---|
| 作業費を抑えやすい | 自分でモデリングする必要がない |
| Blenderなどの知識が必要になる | 元データの受け渡しが必要 |
| 後から自分で直しやすい | モデルに合わせて調整してもらえる |
| 調整に時間がかかることがある | 依頼内容を事前に整理する必要がある |
BlenderやUnityを普段から使っているなら、自分で試す選択肢もあります。
一方、3Dモデルを「配信で使うだけ」で制作ソフトを触ったことがない場合、シェイプキーを一つずつ調整するところから覚えると作業量が大きくなります。
対応後に確認したい表情
完成データを受け取ったら、単に読み込めるかだけではなく、実際に顔を動かして見ます。
特に確認したいのは次の部分です。
目
- 左右のまばたき
- 目を細めたとき
- 大きく見開いたとき
- 笑ったとき
眉
- 上げたとき
- 下げたとき
- 左右別々に動かしたとき
口
- 大きく開いたとき
- 口角を上げたとき
- 横へ引いたとき
- 唇をすぼめたとき
頬と舌
- 頬を膨らませたとき
- 舌を出したとき
真正面だけでなく、少し顔を左右へ向けながら動かすと、表情が崩れる場所を見つけやすくなります。
かわいさを優先するか、実際の顔への追従を優先するか
顔の動きを正確に反映するほど、必ずキャラクターがかわいく見えるとは限りません。
たとえば人間の口を大きく横へ動かした結果、デフォルメされた3Dキャラクターでは不自然に見えることがあります。
そのため、
- 実際の顔へ細かく追従してほしい
- 大きく動きすぎないようにしたい
- かわいさを優先したい
- リアクションを派手にしたい
など、希望があるなら最初に伝えます。
同じ52種類の表情を用意しても、最終的な見え方はモデルの顔立ちによって変わります。
セミリアル系モデルは表情サンプルがあると伝えやすい
アニメ調のVRoidモデルだけでなく、セミリアル系や独自造形の3Dモデルへ対応させる場合もあります。
この場合、「笑顔」「怒り」といった言葉だけでは完成イメージが合いにくいことがあります。
希望に近い表情があるなら、
- 自分で描いた表情資料
- モデルの既存表情
- キャラクター設定画
- 過去に作ったイラスト
などを用意します。
他人のVTuberをそのまま再現する指示ではなく、自分のキャラクターがどのような顔をするのかを示す資料として使います。
依頼前にまとめておく情報
見積もりを頼む前に、次の情報を一度まとめます。
- モデルがVRoid製か、それ以外か
- 現在持っているファイル形式
- モデルの改変が許可されているか
- 現在困っている表情
- 使用予定のスマートフォン
- 顔トラッキングアプリ
- PC側で使うソフト
- VRChatでも使用するか
- 希望する表情の方向性
全部分からなくても構いません。
「分からない」のも情報なので、無理に専門用語で説明せず、手元にあるものと現在使っている環境をそのまま伝えます。
パーフェクトシンク対応を依頼する前の最終確認
依頼前には、まず自分のモデルを誰が作ったかと、改変してよいモデルかを確認します。
そのうえで、手元にあるVRM・FBX・Blendなどのデータを整理し、普段使っているトラッキング環境を書き出します。
特に伝えておきたいのは、
- モデルの作成方法
- 手元にあるデータ
- 使用するスマートフォン
- 使用アプリ
- VRChat利用の有無
です。
この5点が分かれば、「パーフェクトシンクにしたい」という一言だけで依頼するより、必要な作業を判断してもらいやすくなります。
まとめ
VRoidモデルをパーフェクトシンク対応にすると、目、眉、口、頬などの細かな動きを組み合わせ、配信中の表情を増やせます。
ただし、モデルだけ対応すれば終わりではありません。
元モデルのデータ、改変できるかどうか、スマートフォン、顔トラッキングアプリ、PC側のソフトまで含めて考える必要があります。
外注する場合は、3Dの専門用語を覚えてから依頼するより、現在持っているファイルと配信環境をそのまま整理して渡すほうが話が早く進みます。
