ハリーポッター風のオープニングムービーは、古い洋書、羊皮紙、魔法学校、動く新聞を思わせる演出を使い、披露宴の始まりに物語性を持たせる映像です。
ただし、販売されているムービーの多くは、写真と文章を差し替えて作るテンプレート型です。完成見本が気に入って依頼しても、写真枚数、上映時間、BGM、場面の順番を自由に変えられるとは限りません。
外注前には、見た目だけでなく、何が固定され、何を変更できるのかまで見ておく必要があります。
最初にテンプレート型か自由構成かを確認する
オープニングムービーの外注方法は、大きくテンプレート型と自由構成型に分かれます。
| 項目 | テンプレート型 | 自由構成型 |
|---|---|---|
| 基本構成 | 見本と同じ流れ | 希望に合わせて決める |
| 写真枚数 | 固定されていることが多い | 相談して決めやすい |
| 上映時間 | 大きく変えにくい | 内容に合わせて調整しやすい |
| BGM | 固定または変更制限あり | 候補から選べる場合がある |
| 文章 | 指定部分を差し替える | 場面から考えられる |
| 完成イメージ | 注文前に想像しやすい | 打ち合わせ内容に左右される |
テンプレート型は、見本と完成品の差が出にくい点が特徴です。映像の雰囲気が好みに合っていれば、構成を一から考える必要もありません。
一方で、写真を増やしたい、場面の順番を変えたい、ふたりの出会いを詳しく入れたいといった希望には対応しにくい場合があります。
サンプルを見るときは、「この映像が好きか」だけでなく、「この流れのまま自分たちの写真へ差し替えて問題ないか」を考えてください。
写真枚数が固定されている理由
テンプレート型で写真枚数が決まっているのは、写真の切り替えがBGM、効果音、文字、アニメーションと結び付いているためです。
一枚増やすだけでも、次の部分へ影響します。
- 写真の表示時間
- BGMと場面が合うタイミング
- 新郎と新婦の紹介時間
- ふたりの写真へ移る位置
- ナレーションや字幕
- 映像が終わる時刻
そのため、「空いている場所に一枚足してください」と簡単に変更できないことがあります。
写真を多く使うことが最優先なら、固定枚数の商品を選ぶ前に、枚数変更へ対応できるムービーかを見ておいたほうがよいでしょう。
限られた写真は役割ごとに選ぶ
写真枚数が少ないムービーでは、お気に入りの順に選ぶだけでは構成が偏ります。
写真を次の役割に分けてください。
- 新郎を紹介する写真
- 新婦を紹介する写真
- ふたりの関係が伝わる写真
- 世界観に合う決め写真
- 映像の最後に使う写真
同じ前撮りで撮った写真だけを選ぶと、画質や色はそろいますが、ポーズや衣装が似ることがあります。
反対に、日常写真だけでは、魔法映画を思わせる重厚な映像に対して写真が軽く見える場合があります。前撮りと日常写真を混ぜ、場面ごとに使い分けるとまとまりやすくなります。
新郎と新婦の一人写真は顔の向きも見る
人物紹介に使う一人写真は、顔がはっきり見えることが基本です。
使いやすい写真には次の特徴があります。
- 頭や肩が切れていない
- 顔に強い影がない
- 背景と人物の境目がわかる
- 大きく拡大してもぼやけない
- 表情が新郎新婦らしい
- 文字を置く余白がある
新郎と新婦の写真を左右に分けて表示する場合は、顔の向きも見ます。
新郎が右、新婦が左を向いている写真なら、ふたりが向かい合う配置にできます。両方が画面の外側を向いていると、別々の方向を見ているように見えることがあります。
ふたりの写真は同じ構図を避ける
ふたりの写真を複数使える場合でも、すべてを正面向きの前撮りでそろえる必要はありません。
次のように構図を変えると、限られた枚数でも場面に変化が出ます。
- 正面を向いて並んだ写真
- 歩いている写真
- 見つめ合っている写真
- 後ろ姿
- 座っている写真
- 景色を広く写した写真
- 日常の自然な表情
- 入場前に使う決め写真
人物を大きく見せる写真と、背景まで見せる写真を交互に入れる方法もあります。
同じ場所で連続して撮影した写真を何枚も使うより、撮影時期や場所が違う写真を混ぜたほうが、ふたりの時間を短い映像の中で伝えられます。
最後に使う写真を先に決める
写真選びに迷ったら、映像の最後に使う一枚から決めます。
オープニングムービーの最後は、新郎新婦の入場へつながる部分です。ここで使う写真が弱いと、映像全体の締まりも弱くなります。
最後の写真には次のようなものが向いています。
- ふたりが正面を向いている
- 衣装や表情がはっきり見える
- 背景が散らかっていない
- 写真の端に文字を置ける
- 披露宴の雰囲気と合っている
- 縦横を切っても主要部分が残る
お気に入りの写真であっても、人物が小さく写っている場合や、暗くて顔が見えにくい場合は、最後より中盤に使うほうが合うことがあります。
写真が多すぎる場合の減らし方
候補写真が多い場合は、似た写真から一枚ずつ外します。
次の順番で見直すと絞りやすくなります。
- 同じ衣装・同じ場所の写真をまとめる
- 表情が似ている写真を比べる
- 顔が小さい写真を外す
- 大きくぼやけている写真を外す
- 同じゲストが続く写真を減らす
- 最後に必ず使いたい写真を残す
画質だけで決める必要はありません。
スマートフォンで撮った日常写真でも、ふたりらしい表情が出ていれば、きれいな前撮り写真にはない役割を持ちます。粗さが目立つ場合は、画面いっぱいに広げず、古い紙や写真フレームの中へ入れる見せ方もあります。
写真が足りない場合に無理に増やさない
指定された枚数を埋めるために、意味の薄い写真を選ぶ必要はありません。
一人写真が少ない場合は、家族や友人へ元データが残っていないか聞きます。
探す場所は次の通りです。
- 前に使っていたスマートフォン
- パソコン
- クラウドストレージ
- 家族のスマートフォン
- 友人が撮った写真
- 前撮り会社から受け取ったデータ
- SNSへ投稿する前の元写真
候補が見つからない場合は、一人で写っている必要があるのか、集合写真から切り抜けるのかを制作する人へ聞きます。
集合写真の人物が小さすぎると、切り抜いても顔がぼやけます。購入後に困らないよう、候補写真を見てもらってから依頼を決める方法もあります。
写真の順番を自分で決める必要があるか聞く
外注先によって、写真を指定順に入れる場合と、制作する人が映像に合わせて並べる場合があります。
自分で順番を決めるなら、ファイル名へ番号を付けます。
- 01_新郎紹介
- 02_新郎紹介
- 03_新婦紹介
- 04_新婦紹介
- 05_ふたり出会った頃
- 06_旅行
- 07_日常
- 08_前撮り
- 09_入場前
- 10_最後の写真
写真を選んでもらえる場合でも、優先順位は伝えます。
- 必ず使いたい
- できれば使いたい
- 構成に合えば使いたい
- 使わなくてもよい
「すべて気に入っているのでお任せします」だけでは、何を優先すべきかわかりません。最後に使ってほしい写真や、家族との大切な写真は分けてください。
文章は変更できる部分と固定部分を分ける
テンプレート型では、すべての文章を自由に変えられるとは限りません。
確認したいのは次の部分です。
- 新郎新婦の名前
- ローマ字表記
- 旧姓の表示
- 挙式日
- 会場名
- 新郎新婦の紹介文
- ゲストへの挨拶
- 入場を知らせる文章
- ナレーション
- 英語字幕
名前と日付だけを変更できる商品もあれば、紹介文まで変えられる商品もあります。
文章を大幅に変えると、ナレーションとの内容が合わなくなったり、決められた表示時間に収まらなくなったりします。変更したい文章がある場合は、購入後ではなく見積もりの段階で伝えてください。
ローマ字表記は印刷物とそろえる
映画風のムービーでは、日本語よりローマ字の名前が大きく表示されることがあります。
次の表記をふたりで決めます。
- 名字と名前の順番
- 大文字と小文字
- 長音の書き方
- 旧姓を入れるか
- 愛称を使うか
- 席次表やウェルカムボードとそろえるか
同じ人の名前が、ムービーでは姓・名、席次表では名・姓になっていても上映自体に問題はありません。ただし、結婚式全体のデザインをそろえたい場合は、制作前に表記ルールを決めたほうがまとまります。
BGM固定は単に曲を選べないという意味ではない
映像が曲に合わせて作られているテンプレートでは、BGMを変えると写真の切り替えや場面の盛り上がりが合わなくなることがあります。
固定BGMの商品では、次の点を確認します。
- サンプルと本番で同じ曲を使うか
- 使用する曲数
- 音源の利用手続きを誰が行うか
- 式場側の手続きで対応できるか
- 映像終了後の入場曲は別に流すか
- 完成映像をSNSへ投稿できるか
結婚式のムービーへ市販音源を収録する場合は、作詞家・作曲家の著作権だけでなく、レコード会社などが持つ著作隣接権についても手続きが必要です。ISUMでは登録事業者を通して両方の手続きをまとめて行えます。
「式場で曲を流せる」ことと、「曲を収録したムービーを作れる」ことは同じではありません。希望する曲や固定曲の扱いは、式場と制作する人の両方へ聞いてください。
作品そのものの素材と「風」の演出を分ける
ハリーポッター風と書かれた映像でも、どこまで実在作品へ寄せるかは制作先によって違います。
魔法学校を思わせる雰囲気は、次のような一般的な要素でも作れます。
- 古い洋書
- 羊皮紙
- 封蝋
- 石造りの大広間
- 夜空
- 金色の光
- 古い新聞風の画面
- 羽根ペン
- 魔法のような粒子
一方で、実在作品のロゴ、映画映像、キャラクター画像、固有の紋章、台詞などをそのまま使うこととは分けて考える必要があります。
文化庁は、既存作品をもとにした二次創作や模写をインターネットへ公開する場合、原則として許可が必要であり、権利者が公開している利用ルールを確かめるよう案内しています。結婚式での上映とネット公開は利用方法が異なりますが、原作素材をどこまで使えるかを自分だけで判断せず、制作先へ確認したほうが安全です。
完成後の映像をSNSや動画共有サイトへ投稿したい場合も、披露宴で上映する場合とは条件が変わります。投稿予定があるなら、依頼前に伝えてください。
式場の画面比率と納品形式を先に調べる
映像の内容が決まっても、式場の機材で再生できなければ上映できません。
制作前に式場へ次の項目を聞きます。
- 画面比率は16対9か4対3か
- MP4などの動画データを持ち込めるか
- DVDまたはBlu-rayが必要か
- 映像の前後に黒い画面が必要か
- 文字を入れてよい範囲
- 音量について指定があるか
- 完成品の提出期限
- 本番前に試し再生できるか
「DVDで提出」と言われた場合は、動画ファイルをDVDへ保存するだけでよいのか、家庭用プレーヤーで再生できるDVD-Video形式が必要なのかも聞きます。
式場から書面を受け取っている場合は、自分で内容を書き直さず、そのまま制作する人へ送るほうが確実です。
納期は購入日ではなく素材提出日から考える
外注では、購入した日から制作が始まるとは限りません。
写真、文章、名前、挙式日など、必要な素材がそろってから制作期間を数える場合があります。
スケジュールには次の期間を入れてください。
- 写真を探す期間
- 写真を選ぶ期間
- 文章を用意する期間
- 制作期間
- 完成映像を確認する期間
- 修正する期間
- DVDなどを配送する期間
- 式場で試し再生する期間
挙式直前に完成する予定では、修正や再生確認を行う時間がありません。
式場への最終提出日より一週間ほど前を、自分たちの完成目標にすると余裕を持ちやすくなります。
依頼前に確認する内容
購入前には、少なくとも次の項目をまとめます。
- 挙式日
- 希望する完成日
- 式場への提出期限
- 画面比率
- 納品形式
- 写真枚数
- 写真枚数を変更できるか
- 写真の順番を誰が決めるか
- 文章を変更できる範囲
- BGMを変更できるか
- 音楽の利用手続きを誰が行うか
- 修正できる内容
- 完成後にSNSへ投稿できるか
- 式場からの注意事項
サンプルに使われている写真や名前が自分たちの素材へ変わったとき、同じ印象になるかも考えます。
暗い写真が多い、前撮りをしていない、横長写真が少ないといった事情がある場合は、購入前に候補写真を見てもらえるか聞いてください。
まとめ
ハリーポッター風オープニングムービーを外注するときは、世界観だけでなく、テンプレートの固定部分を見る必要があります。
写真枚数、上映時間、場面の順番、BGMが固定されている場合、購入後に大きく変更するのは難しくなります。まず最後に使う写真を決め、新郎、新婦、ふたりの写真へ役割を分けてください。
文章の変更範囲、音楽の利用手続き、式場の画面比率、納品形式も購入前に確認します。実在作品のロゴや映像などを使いたい場合は、利用できると自己判断せず、制作する人へ相談してください。
候補写真と式場の案内をそろえ、変えたい部分を先に伝えておけば、完成見本との違いに戸惑うことなく、披露宴の始まりに合うムービーを準備できます。

