ゆっくり解説動画を始めたいものの、よく見かけるキャラクターではなく、自分のチャンネル専用のキャラクターを使いたい。立ち絵はあるが、そのまま動画編集者へ渡してよいのか分からない。
オリジナルキャラを使った解説動画は、台本と一枚のイラストだけで作れるとは限りません。動画内で表情を変えるのか、口を動かすのか、二人で会話させるのかによって、必要な素材が変わります。
外注前には、キャラクターの役割、表情、声、台本の書き方まで決めておくと、初稿後の作り直しを減らせます。
キャラクター作成と動画制作は別の作業
最初に分けて考えたいのが、キャラクターを描く作業と、キャラクターを動画内で動かす作業です。
キャラクターの全身イラストが完成していても、動画編集へそのまま使えるとは限りません。
動画制作では、次のような素材が使われます。
- 通常の表情
- 笑顔
- 驚いた表情
- 困った表情
- 怒った表情
- 目を閉じた状態
- 口を開いた状態
- 口を閉じた状態
- 指差しなどのポーズ
- キャラクター名を表示する画像
一枚の完成イラストを表示するだけなら、表情差分や口の画像は不要です。
一方、話すたびに口を動かし、内容に合わせて表情を変える場合は、動画向けに素材を分ける必要があります。
| 作り方 | 必要になる主な素材 |
|---|---|
| 一枚絵を固定表示 | 背景が透明な立ち絵 |
| 表情だけ切り替える | 通常、笑顔、驚き、困りなど |
| 口を動かす | 口を開いた画像と閉じた画像 |
| 目を瞬きさせる | 目を開いた画像と閉じた画像 |
| 手やポーズを変える | ポーズごとの立ち絵 |
| 細かく動かす | 顔、髪、目、口、体などを分けた素材 |
どこまで動かすかを決めずにイラストを依頼すると、動画制作の段階で素材を作り直すことがあります。
最初はキャラクターを増やしすぎない
解説動画では、二人のキャラクターを会話させる形がよく使われます。
一人が質問し、もう一人が説明する形にすれば、長い解説でも話を区切りやすくなります。
ただし、最初から三人、四人と増やすと、台本と動画の管理が複雑になります。
- 誰が話しているのか
- どの位置へ表示するのか
- どの声を使うのか
- どの表情へ変えるのか
- キャラクター同士をどう呼ぶのか
- 誰が説明役なのか
初めて制作する場合は、一人または二人から始めると整理しやすくなります。
一人で進める形
一人のキャラクターが最初から最後まで説明します。
台本を作りやすく、立ち絵や声の管理も少なくて済みます。ただし、長い説明が続くと単調になりやすいため、画像、図、テロップで変化を付けます。
二人で会話する形
一人が質問や反応を担当し、もう一人が詳しく説明します。
視聴者が疑問に思いそうなことを質問役に言わせれば、話を自然に進められます。
一方で、意味のない相づちが多いと動画が長くなります。質問役にも、話を整理する役割を持たせます。
キャラクターの役割を一文で決める
キャラクターの性格だけでは、台本内でどのように使うかが決まりません。
「明るい女の子」「落ち着いた男性」といった見た目の設定に加えて、解説内の役割を決めます。
たとえば、次のように整理します。
説明役
- 専門知識を持っている
- 結論から話す
- 数字や根拠を説明する
- 間違った情報を訂正する
- 落ち着いた口調で話す
質問役
- 初心者の立場で質問する
- 難しい言葉を聞き返す
- 視聴者が迷いそうな点を指摘する
- 話題を次へ進める
- 短い感想を入れる
役割が決まっていないと、二人とも同じ内容を話し、会話形式にした意味が薄くなります。
見た目より先に動画内での大きさを考える
細部まで描き込まれたキャラクターでも、動画内では画面の端へ小さく表示されることがあります。
そのため、立ち絵を作るときは、動画上で見える大きさを考えます。
小さく表示しても分かりやすいのは、次のようなデザインです。
- 顔の表情がはっきりしている
- 目や口が小さすぎない
- 髪と服の色が背景へ埋もれない
- 装飾が細かすぎない
- 全身より上半身で見せやすい
- 左右を反転しても違和感が少ない
解説動画では、商品写真、地図、グラフ、資料なども同時に表示します。
キャラクターが画面の半分を占めると、説明に必要な画像を置けません。動画内の配置を先に考えてから、立ち絵の縦横比やポーズを決めます。
背景が透明な画像を用意する
立ち絵の背景が白いままだと、動画上へ置いたときに四角い白枠が残ります。
動画へ重ねる素材は、背景が透明な画像にしておくと扱いやすくなります。
画像を受け取る際には、次の点を見ます。
- 背景が透明になっているか
- キャラクターの周囲に白い線が残っていないか
- 画像が小さすぎないか
- 頭や髪が途中で切れていないか
- 左右に十分な余白があるか
- 表情差分で位置がずれていないか
表情を切り替えたときにキャラクター全体が上下へ動く場合は、各画像の大きさや位置がそろっていないことがあります。
最初の一枚だけでなく、表情を順番に切り替えても違和感がないか見ます。
用意する表情は動画内容から決める
表情差分は、多ければよいわけではありません。
使わない表情を何十種類も作るより、動画でよく使うものをそろえます。
解説動画で使いやすい基本表情は次のとおりです。
- 通常
- 笑顔
- 驚き
- 困り
- 怒り
- 真剣
- 目を閉じて考える
- あきれる
動画のジャンルによっても必要な表情は変わります。
| 動画の内容 | 用意したい表情 |
|---|---|
| 雑学・歴史 | 通常、驚き、真剣、困り |
| 商品解説 | 通常、笑顔、納得、注意 |
| 事件・ミステリー | 通常、不安、驚き、真剣 |
| ゲーム実況 | 笑顔、怒り、驚き、落ち込み |
| お金・仕事 | 通常、真剣、困り、納得 |
| 子ども向け | 笑顔、驚き、喜び、困り |
表情の切り替えが多すぎると、キャラクターが落ち着かなく見えます。
感情が変わる場面や、話題を強調したい場面へ絞ります。
口や目を動かすかを先に決める
キャラクターが話すたびに口を動かす場合は、少なくとも口を開いた状態と閉じた状態が必要です。
瞬きを入れる場合も、目を開いた状態と閉じた状態を用意します。
細かく動かしたい場合は、次の部分を分けることがあります。
- 目
- 眉
- 口
- 前髪
- 後ろ髪
- 顔
- 胴体
- 腕
- 小物
ただし、すべての解説動画に細かな動きが必要なわけではありません。
画像、図、テロップを中心に見せる動画なら、キャラクターは表情だけ変える程度でも成立します。
制作費や作業時間を抑えたい場合は、最初の数本をシンプルな動きで作り、必要になってから差分を増やす方法もあります。
キャラクターの声を決める
オリジナルキャラを使う場合は、声の印象もチャンネルの一部になります。
声を選ぶときは、単に高い声、低い声だけでなく、次の要素を聞き比べます。
- 話す速さ
- 声の高さ
- 抑揚
- 落ち着き
- 聞き取りやすさ
- 長時間聞いたときの疲れにくさ
- キャラクターの年齢感
- 説明内容との相性
二人で会話する場合は、声が似すぎていないほうが誰の発言か分かりやすくなります。
説明役を落ち着いた声、質問役を少し明るい声にするなど、役割が聞き分けられる組み合わせにします。
声の設定を毎回変えると、動画ごとに別のキャラクターのように聞こえます。継続制作する場合は、声の種類、速さ、高さを記録しておきます。
台本は話者ごとに分ける
文章を一続きに書いた台本では、誰がどこを話すのか分かりません。
二人以上のキャラクターを使う場合は、話者名とセリフを分けます。
| 話者 | セリフ | 表情 | 画面の指示 |
|---|---|---|---|
| アオ | 今回は○○について説明します | 通常 | タイトル表示 |
| ミカ | 初心者でも分かる内容? | 疑問 | キャラクターを少し拡大 |
| アオ | まず三つのポイントから見ていきます | 笑顔 | 3項目を表示 |
| ミカ | 一つ目は何? | 通常 | 画像を切り替える |
動画編集者へ渡す台本は、文章として読みやすいことより、制作に必要な情報を探しやすいことが大切です。
話者名、セリフ、読み方、表情、画像の指示を別の欄にすると、確認しやすくなります。
読み間違えやすい言葉へ読み方を付ける
文章として正しくても、読み上げ音声が正しく読むとは限りません。
特に間違えやすいのは、次のような言葉です。
- 人名
- 地名
- 会社名
- 商品名
- 英字
- 略語
- 数字を含む名称
- 専門用語
- 同じ漢字で複数の読み方がある言葉
- チャンネル独自の造語
台本には、必要な場所だけ読み方を付けます。
たとえば、画面には漢字で表示したいが、音声には別の読み方をさせたい場合があります。
- 表示:日本橋
- 読み:にっぽんばし
- 表示:重複
- 読み:ちょうふく
- 表示:○○株式会社
- 読み:まるまるかぶしきがいしゃ
すべてをひらがなにすると、字幕が読みにくくなります。
画面へ表示する文字と、読み上げ用の文章を分ける方法もあります。
台本には感情の指示を入れすぎない
一行ごとに「笑顔」「驚き」「怒り」と指定すると、キャラクターが頻繁に切り替わります。
表情の指示は、話の流れが変わる場所へ絞ります。
- 結論を話す場面
- 意外な事実を出す場面
- 注意を促す場面
- 質問する場面
- オチ
- 話題が変わる場面
細かな表情は編集者へ任せ、絶対に変えてほしい場所だけ台本へ書く方法もあります。
「全体をおまかせ」にする場合でも、怒った表情を使わない、怖く見せないなど、避けたい方向は伝えます。
画像や動画素材を自分で用意するか決める
ゆっくり解説では、キャラクターだけでなく、話の内容を補う画像や動画も必要です。
素材の準備方法は主に三つあります。
| 準備方法 | 特徴 |
|---|---|
| 依頼者がすべて用意 | 内容とのずれが少ないが、素材探しに時間がかかる |
| 制作者がすべて探す | 手間を減らせるが、希望と違う素材が入ることがある |
| 指定素材とおまかせを分ける | 必須素材だけ依頼者が渡し、補足素材を任せられる |
商品、人物、場所など、別の画像へ置き換えられないものは依頼者が用意します。
一般的な風景、イメージ画像、図形などは、制作側に任せる方法があります。
「素材もおまかせ」と伝える場合でも、次の内容は先に指定します。
- 実写とイラストのどちらを使うか
- 写真を多くするか
- 暗い画像を避けるか
- 人物の顔を使ってよいか
- 同じ画像を何度も使ってよいか
- 商品や企業のロゴを使うか
ネットで見つけた画像をそのまま渡さない
検索で見つけた画像には、動画で使える権利がないことがあります。
画像を制作側へ渡す前に、次の点を整理します。
- 自分で作った画像か
- 撮影者から使用許可を得ているか
- 動画での利用が認められているか
- 商用利用できるか
- 加工できるか
- クレジット表記が必要か
- 利用期限がないか
キャラクター素材も同じです。
自分がイラストレーターへ発注したキャラクターでも、動画、広告、サムネイル、グッズなど、使える範囲が契約によって異なることがあります。
制作を依頼するときは、動画内で使用できる素材であることを確認してから渡します。
キャラクターの表記を統一する
動画内、サムネイル、概要欄で名前が違うと、視聴者が同じキャラクターだと分かりにくくなります。
次の表記を決めておきます。
- 正式な名前
- ひらがなまたはカタカナ表記
- 英字表記
- 短く呼ぶときの名前
- キャラクター同士の呼び方
- 一人称
- 語尾
- 視聴者の呼び方
台本を書く人と動画を作る人が別の場合は、簡単なキャラクター設定表を共有します。
設定表には、長い物語を書く必要はありません。
- アオ:説明役。落ち着いた口調。「私」を使う
- ミカ:質問役。初心者目線。「わたし」を使う
- 二人とも敬語を基本にする
- 相手を呼び捨てにしない
- 強い言葉や乱暴な表現を使わない
この程度でも、動画ごとの話し方をそろえやすくなります。
初回は一本だけ作ってルールを決める
複数本をまとめて依頼する前に、最初の一本で基本の形を決めます。
初稿では、次の項目を見ます。
- キャラクターの大きさ
- 左右の配置
- 表情の切り替え頻度
- 口や目の動き
- 声の速さ
- 二人の声の聞き分けやすさ
- 字幕の大きさ
- 画像が切り替わる速さ
- BGMと声の音量
- 効果音の量
- 読み間違い
- 台本と画面のずれ
完成した一本目を、次回以降の見本にします。
修正した内容も、簡単なルールへ追加します。
- 通常は右側に説明役を置く
- 質問役は左側
- 表情は一つの話題で一度から二度
- 通常字幕は白
- 注意事項は黄色
- 効果音は話題転換だけ
- 読み上げ速度は同じ設定を使う
毎回ゼロから希望を伝えるより、完成動画を見本にしたほうがずれを減らせます。
初稿で優先して見る部分
初稿が届いたら、細かな装飾より先に、台本と読み上げが合っているかを見ます。
- 話者を取り違えていないか
- 読み方が正しいか
- 数字や固有名詞に間違いがないか
- 字幕と音声が合っているか
- キャラクターの性格が崩れていないか
- 説明に合う画像が表示されているか
- 必要な注意事項が省かれていないか
- 同じ素材が続きすぎていないか
- 声よりBGMが大きくないか
- 表情が内容と合っているか
修正は時間と変更内容をセットにします。
- 1分20秒の「日本橋」を「にっぽんばし」と読む
- 2分05秒の話者をアオからミカへ変更
- 3分40秒の表情を笑顔ではなく真剣へ変更
- 5分12秒の商品画像を指定素材へ差し替え
- 7分30秒の効果音を削除
誤りを伝えるときは、正しい文章や読み方も添えます。
オリジナルキャラの動画制作を外注するときにまとめる内容
見積もりや相談を送る前に、次の項目を整理します。
- 動画のテーマ
- 想定している視聴者
- 完成動画の希望時間
- キャラクターの人数
- キャラクターの役割
- 正式な名前と呼び方
- 一人称と口調
- 使用する声
- 話す速さ
- 立ち絵の有無
- 表情差分の種類
- 口や目を動かすか
- 画像素材の有無
- 素材探しを任せる範囲
- 台本
- 読み方の一覧
- 参考動画
- 避けたい演出
- 希望する公開日
- サムネイルの有無
- キャラクター素材の使用範囲
立ち絵がまだない場合は、キャラクター作成と動画制作を同時に頼めるか、別々に発注するかを決めます。
すでに立ち絵がある場合は、完成画像だけでなく、表情や口の素材が分かれているかも伝えます。
まとめ
オリジナルキャラを使ったゆっくり解説動画では、一枚の立ち絵だけで足りる場合と、表情、口、目などの素材が必要な場合があります。
外注前には、キャラクターの人数、役割、声、表情、動画内の位置を決めます。台本には話者名、セリフ、読み方、必要な表情を分けて書くと、制作側も内容を判断しやすくなります。
最初から多くのキャラクターや表情をそろえず、まず一本を作って基本の形を決める方法もあります。完成した動画を次回以降の見本にすれば、キャラクターの見せ方や話し方をチャンネル内でそろえやすくなります。

