YouTube動画の編集を頼もうとしたところ、「テロップは要点だけですか、それともフルテロップですか」と聞かれた。どちらを選べばよいか分からず、見積もりを進められないことがあります。
フルテロップは、話した内容のほぼすべてを文字にする方法です。要点テロップは、結論、数字、固有名詞など、視聴者に読んでほしい部分だけを表示します。
どちらが優れているかではなく、動画の目的、長さ、視聴環境によって使い分けます。
フルテロップと要点テロップの違い
両者の違いは、単に文字数が多いか少ないかではありません。
動画を見るときに、音声と文字のどちらを中心に内容を伝えるかが変わります。
| 比較項目 | フルテロップ | 要点テロップ |
|---|---|---|
| 表示する内容 | 発言のほぼすべて | 結論、数字、固有名詞など |
| 文字量 | 多い | 少ない |
| 音を出せない場所 | 内容を追いやすい | 一部しか分からないことがある |
| 画面の見やすさ | 文字が多くなりやすい | 映像を広く見せやすい |
| 編集作業 | 文字起こしと調整が多い | 表示箇所の選定が中心 |
| 向いている動画 | 会話、講座、解説、インタビュー | 商品紹介、Vlog、実演、映像中心 |
| 誤字の確認 | 確認箇所が多い | 固有名詞や数字へ絞りやすい |
話した内容をすべて文字にするほど、視聴者へ親切になるとは限りません。
文字が多すぎると、出演者の表情や商品、操作画面を見る余裕がなくなることもあります。
フルテロップが向いている動画
音声を出さずに見られることが多い動画
通勤中、休憩中、家族が近くにいる場所など、音を出せない環境でも内容を伝えたい動画にはフルテロップが使えます。
ただし、文字を追うだけで内容を理解できるようにするには、話した言葉をそのまま並べるだけでは足りません。
長い発言を短く区切り、一画面に表示する文字量を抑えます。
会話そのものが見どころになる動画
対談、インタビュー、雑談など、出演者のやり取りが中心の動画では、会話を広く文字にする方法があります。
次のような場面です。
- 出演者二人の掛け合い
- 質問と回答
- 言葉の選び方が大切なインタビュー
- 会話の流れで笑いが生まれる動画
- 発言内容を正確に残したい動画
話者が複数いる場合は、文字色、名前、位置などで誰の発言か分かるようにします。
専門用語が多い解説動画
医療、法律、金融、ITなど、音だけでは聞き取りにくい言葉が多い動画では、文字が理解を助けます。
ただし、すべての発言を同じ見せ方にすると、本当に大切な専門用語が埋もれます。
通常の発言は白、専門用語は別の色など、役割を分けます。
出演者の声が聞き取りにくい動画
声が小さい、話す速度が速い、周囲の音が入っている動画では、テロップで内容を補えます。
ただし、音声の問題を文字だけで隠すのではなく、音量調整やノイズの軽減も同時に頼みます。
要点テロップが向いている動画
映像や商品をしっかり見せたい動画
商品紹介、料理、作業手順、旅行、Vlogなどでは、画面そのものに情報があります。
文字を広く入れると、商品や手元が隠れることがあります。
要点テロップなら、次の内容だけを補足できます。
- 商品名
- 材料名
- 手順番号
- 金額
- 場所
- 時間
- 注意事項
- 結論
音声と映像だけで分かる部分には、無理に文字を重ねません。
長時間の解説動画
20分、30分と続く動画へフルテロップを入れると、確認する文字量も多くなります。
長い動画では、章のタイトル、結論、数字、専門用語だけを表示する方法があります。
たとえば、次のように分けます。
- 話題が変わる場所に章タイトル
- 結論を一文で表示
- 数字や名称を正しい表記で表示
- 注意点だけ色を変える
- 最後に要点をまとめる
話を聞けば分かる内容まで文字にせず、聞き逃すと困る部分へ絞ります。
落ち着いた印象を出したい動画
企業、専門家、高額商品などの動画では、派手な文字が常に動いていると、動画の雰囲気に合わない場合があります。
要点だけを静かに表示すると、出演者や説明内容へ集中しやすくなります。
迷ったときは混合型にする
フルテロップか要点テロップのどちらか一方に統一する必要はありません。
場面ごとに使い分ける方法もあります。
| 場面 | テロップの入れ方 |
|---|---|
| 冒頭の結論 | 発言を広く表示 |
| 通常の説明 | 要点だけ表示 |
| 商品名や数字 | 正しい表記を表示 |
| 重要な注意事項 | 大きく目立たせる |
| 雑談や補足 | 必要な部分だけ表示 |
| 最後のまとめ | 結論を短く表示 |
たとえば、動画の冒頭30秒だけは発言を広く文字にし、本編では要点へ絞る形です。
音なしでも最初の内容が分かり、本編では映像を見やすくできます。
「字幕」と「強調テロップ」を分けて考える
テロップには、発言を読めるようにする役割と、重要な言葉を目立たせる役割があります。
同じデザインで統一すると、どこが大切なのか分かりにくくなります。
通常字幕
話した内容を補う文字です。
- 白文字を基本にする
- 画面下へ配置する
- 動きを増やさない
- 一度に長文を出さない
強調テロップ
結論や見せ場を伝える文字です。
- 文字を大きくする
- 色を変える
- 画面中央へ表示する
- 効果音や拡大を組み合わせる
すべての発言を強調すると、画面が落ち着かなくなります。
通常字幕と強調テロップの役割を分けます。
自動文字起こしをそのまま使わない
自動文字起こしを使えば、全文を短時間で文字にできます。
ただし、そのまま画面へ入れると、次の問題が残ります。
- 固有名詞を間違える
- 同じ音の漢字を取り違える
- 話者が変わっても区切られない
- 一文が長すぎる
- 言い直しまで表示される
- 「えー」「あの」などが多く残る
- 数字の表記がそろわない
- 読める時間より早く切り替わる
外注する場合も、機械で文字を作る作業だけでなく、読みやすい文章へ整える作業が含まれるかを見ます。
話し言葉をどこまで直すか決める
フルテロップでは、話した内容を一字一句そのまま表示する方法と、意味を変えない範囲で整える方法があります。
たとえば、出演者が次のように話したとします。
「えっと、今回はですね、この商品について、ちょっと詳しく説明していこうかなと思います」
そのまま表示すると、文字量が多くなります。
画面では次のように短くできます。
「今回は、この商品を詳しく説明します」
ただし、インタビューや本人の話し方を見せる動画では、言葉を整えすぎると印象が変わることがあります。
外注前に次のどちらかを伝えます。
- 話した内容をできるだけそのまま残す
- 意味が変わらない範囲で短く整える
方言、口癖、語尾を残したい場合も先に指定します。
テロップへ必ず入れたい情報
要点テロップを選ぶ場合は、何を要点とするかを編集者任せにしすぎないようにします。
依頼者側で指定したいのは、次の情報です。
- 会社名
- 商品名
- 人名
- 肩書
- 金額
- 日付
- 時間
- 場所
- 専門用語
- 申込方法
- 注意事項
- URL
音声だけでは正しい漢字や英字を判断できない言葉は、コピーできる文章で渡します。
「名前は動画内から拾ってください」ではなく、正しい表記の一覧を用意します。
テロップを入れない場所も指定する
文字を入れる場所だけでなく、隠してはいけない場所も伝えます。
- 出演者の顔
- 商品
- 手元
- 操作画面
- 資料の文字
- ゲーム画面の情報
- 画面上のボタン
- QRコード
- 写真内の説明
画面下に重要な情報がある動画では、テロップを上へ移動する必要があります。
参考動画だけでは判断しにくいため、「右下の商品を隠さない」など、具体的に指定します。
色やフォントは種類を増やしすぎない
動画内で使う文字の種類が多いと、何を表している色なのか分からなくなります。
基本的には、役割ごとに分けます。
- 通常の発言
- 強調する言葉
- 注意事項
- 話者名
- 補足説明
同じ役割の文字は、動画内で色やフォントをそろえます。
ブランドカラーがある場合も、背景と同化して読めない色はそのまま使わず、縁や背景の帯を加えます。
見積もり前に伝えるテロップ仕様
動画編集を外注するときは、「テロップあり」とだけ書かず、次の内容をまとめます。
- フルテロップか要点テロップか
- 元動画の長さ
- 完成動画の希望時間
- 出演者の人数
- 話し言葉を整えてよいか
- 必ず表示する固有名詞
- 通常文字の色
- 強調文字の色
- テロップを置かない場所
- 参考動画
- 避けたいデザイン
- 使用するフォントやロゴ
- 字幕データが必要か
- 希望する公開日
仕様が決まっていない場合は、動画の目的と視聴者だけでも伝えます。
「商品の見た目を邪魔したくない」「音を出さずに見る人が多い」など、判断の理由が分かれば、テロップ量を決めやすくなります。
初稿で見るべきポイント
初稿では、誤字だけでなく、文字が映像の邪魔をしていないかも見ます。
- スマートフォンで読めるか
- 一画面の文字量が多すぎないか
- 読み終わる前に消えていないか
- 出演者や商品を隠していないか
- 同じ言葉の表記がそろっているか
- 強調する場所が多すぎないか
- 音声と文字のタイミングが合っているか
- 数字や固有名詞が正しいか
- 不要な口癖が残りすぎていないか
- 要点として必要な説明が抜けていないか
パソコンの大きな編集画面だけではなく、実際に視聴される端末でも再生します。
動画編集を外注するときに整理する内容
最初から全動画のテロップ仕様を決めにくい場合は、短い部分を見本として作り、基本の形を決めます。
一本目で決めたいのは、次の項目です。
- 通常テロップのデザイン
- 強調テロップのデザイン
- 一画面の文字量
- 話し言葉の整え方
- 文字を入れる頻度
- 固有名詞の表記
- テロップを置く位置
- 効果音を使う場面
完成した一本目を次回以降の見本にすれば、毎回細かな指示を作る必要がなくなります。
まとめ
フルテロップは、話した内容を音なしでも追いやすくしたい動画に向いています。要点テロップは、映像を広く見せながら、結論や数字だけを補いたい動画に向いています。
どちらか一方へ統一せず、冒頭や重要場面だけフルテロップにし、通常の説明は要点へ絞る方法もあります。
外注前には、テロップの量、話し言葉の整え方、固有名詞、色、置かない場所を伝えます。「テロップあり」だけで依頼せず、どの情報を文字で届けたいかまで決めておくと、初稿後の修正を減らせます。

