披露宴が始まる前に、写真撮影やスマートフォンの扱いなどをゲストへ伝えたい。ただし、司会者から注意事項を長く読み上げると、会場が堅い雰囲気になってしまいます。
そこで使われるのが、映画館のマナー案内を思わせる開宴前お願いムービーです。
注意事項を映像と音で見せるため、説明だけで終わらず、披露宴の始まりを盛り上げる演出にもなります。
ただし、お願いを詰め込みすぎると、注意されている印象が強くなります。外注する前に、伝える内容、流す時間、ほかのムービーとのつなぎ方を決めておきます。
開宴前お願いムービーはオープニングムービーと役割が違う
開宴前お願いムービーは、披露宴での注意事項や案内を伝える映像です。
一方、一般的なオープニングムービーは、新郎新婦の紹介や入場前のカウントダウンを中心に作られます。
| 比較項目 | 開宴前お願いムービー | オープニングムービー |
|---|---|---|
| 主な役割 | ゲストへの案内 | 新郎新婦の紹介と入場演出 |
| 主な内容 | 撮影、スマホ、食事など | 名前、写真、入場案内 |
| 流す時間 | 開宴直前 | 新郎新婦の入場直前 |
| 新郎新婦の写真 | 少なくても作りやすい | 複数枚使うことが多い |
| 雰囲気 | 映画館風、注意事項風 | 映画風、ゲーム風、感動系など |
開宴前お願いムービーだけで入場までつなげる構成もあれば、その後に別のオープニングムービーを流す構成もあります。
2本流す場合は、名前や挙式日、カウントダウンを両方へ入れすぎないようにします。
「開演前」ではなく結婚式では「開宴前」
映画や舞台では「開演前」と書きますが、披露宴が始まる前を表す場合は「開宴前」が自然です。
検索や商品名では「開演前のお願い」と書かれることもありますが、映像内の文字を変更できるなら、結婚式では次の表記が使いやすくなります。
- 開宴前のお願い
- 披露宴をお楽しみいただくために
- 本日のご案内
- 上映前のお願い
- まもなく披露宴が始まります
映画館らしさを優先して「上映前のお願い」にする方法もあります。
式場名や映像全体の設定に合わせ、どの表記を使うか注文前に決めます。
ムービーに入れるお願いは3~5項目に絞る
伝えたいことをすべて入れると、注意事項ばかりが続く映像になります。
開宴前ムービーでは、ゲスト全員に関係する内容を3~5項目ほど選ぶとまとまりやすくなります。
入れやすい内容
- 写真や動画をたくさん撮ってほしい
- スマートフォンはマナーモードにする
- 食事や飲み物を楽しんでほしい
- 席を移動して新郎新婦と写真を撮ってほしい
- 拍手や歓声で盛り上げてほしい
- 最後までゆっくり過ごしてほしい
結婚式では、禁止事項だけを並べる必要はありません。
「撮影禁止」ではなく「写真をたくさん撮ってください」のように、してほしい行動を伝えると明るい映像になります。
式場のルールを先に聞く
新郎新婦が問題ないと思っていても、式場側では認められていない行動があります。
ムービーの文章を決める前に、担当者へ次の内容を聞きます。
- 挙式中の写真撮影は可能か
- フラッシュ撮影をしてよいか
- 披露宴中に席を移動してよいか
- 会場内で動画を撮影してよいか
- SNSへの投稿に決まりがあるか
- 喫煙場所はどこか
- 飲食物の持ち込みに決まりがあるか
- 子ども用の設備や案内を入れる必要があるか
たとえば、披露宴会場では撮影できても、チャペルでは撮影を制限している場合があります。
「写真撮影は自由です」と映像へ入れる前に、どの場面まで認められているかを聞きます。
SNS投稿のお願いは全員の意向を考える
結婚式の写真や動画をSNSへ投稿してほしい場合は、新郎新婦だけでなく、ゲストの写り込みも考えます。
投稿を歓迎するなら、次のように条件を付けられます。
- 新郎新婦の写真は投稿可能
- ほかのゲストが大きく写る写真は本人へ確認
- 挙式中の動画は投稿しない
- 新郎新婦の入場前に投稿しない
- 指定したハッシュタグを使用する
- 子どもの顔が写った写真は投稿しない
反対に、SNSへ載せてほしくない場合は、遠回しに書かず、短く伝えます。
「本日の写真・動画はSNSへの投稿をお控えください」とすれば、意味がぶれません。
禁止事項ばかりにしない
映画館のマナー案内を再現しようとすると、次のような表現が増えがちです。
- 撮影禁止
- 通話禁止
- 立ち歩き禁止
- 大声禁止
- 持ち込み禁止
披露宴は映画館とは違い、ゲスト同士が会話し、写真を撮り、席を移動する場面があります。
会場で本当に禁止されていること以外は、前向きな表現へ変えます。
| 堅く見える表現 | 明るく見える表現 |
|---|---|
| 大声を出さないでください | 拍手と歓声で盛り上げてください |
| 席を立たないでください | お食事中は足元にお気を付けください |
| 写真撮影は禁止です | 撮影できる場面は司会者がご案内します |
| 飲みすぎないでください | おいしい料理と飲み物をお楽しみください |
| 新郎新婦の邪魔をしないでください | ぜひ近くで一緒に写真を撮ってください |
笑いを入れる場合も、ゲストを叱るような言い方は避けます。
内輪ネタは注意事項と分ける
友人だけに伝わるネタや、新郎新婦の失敗談を入れると、映像に個性が出ます。
ただし、注意事項と内輪ネタを一文にまとめると、何を伝えたいのか分からなくなります。
分かりにくい例
新郎の友人はいつものように騒ぎすぎず、静かにしてください。
分かりやすい例
新郎友人の皆さま。
本日は遠慮せず、いつも以上に盛り上げてください。
内輪ネタを使う場合は、初めて聞く人でも意味が分かる文章にします。
特定の友人、上司、親族だけを笑いものにする内容は避けたほうが無難です。
映画館風でも実在映像の完全再現は前提にしない
映画館で流れる注意映像を参考にしても、実在する企業のロゴ、キャラクター、映像、音声をそのまま使えるとは限りません。
希望を伝えるときは、作品名だけでなく、取り入れたい要素へ分けます。
- 暗い映画館のような背景
- 注意事項をピクトグラムで見せる
- 予告編のような大きな文字
- 赤い警告表示
- カウントダウン
- 映画の上映開始を思わせる音
- 最後に新郎新婦の名前を表示
- 入場ムービーへ続く終わり方
「同じ映像を作ってほしい」ではなく、「映画館の注意映像のように、短くテンポよく見せたい」と伝えるほうが希望を共有しやすくなります。
使う写真は顔の見やすさを優先する
開宴前お願いムービーでは、新郎新婦の写真がメッセージ画面やプロフィール欄へ入ることがあります。
表示時間が短いため、景色のきれいさよりも、顔が分かりやすい写真を選びます。
使いやすい写真
- 新郎新婦の顔がはっきり見える
- 二人の顔の大きさが近い
- 明るさが足りている
- 画像の周囲に余白がある
- 元の画像サイズが大きい
- 文字やスタンプが付いていない
避けたい写真
- 大人数の集合写真
- 遠くから撮った全身写真
- SNSから保存した小さな画像
- 顔が横を向きすぎている写真
- サングラスや帽子で顔が隠れている写真
- 強い加工が入った写真
新郎と新婦で別々の写真を使う場合は、背景や服装の雰囲気も近づけると並べやすくなります。
名前のローマ字は自分たちで決める
映像の最後に名前をローマ字で表示する場合、制作者へ読み方だけを送るのではなく、完成形の表記を伝えます。
たとえば「しょうた」には、次のような書き方があります。
- Shota
- Shouta
- Syota
招待状、席次表、ウェルカムボードですでに使っている表記があれば、それにそろえます。
確認する項目は次のとおりです。
- 新郎のローマ字表記
- 新婦のローマ字表記
- 名字を先にするか
- 名前を先にするか
- 新婦は旧姓で表示するか
- 大文字と小文字の使い方
- 「&」や「and」を使うか
「Taro & Hanako」と「TARO and HANAKO」では印象が変わります。
文字の形まで含め、表示してほしい内容をそのまま送ります。
挙式日と披露宴日を間違えない
挙式と披露宴を同じ日に行う場合は迷いませんが、別日に行う場合や、入籍日も表示したい場合は注意が必要です。
日付を送るときは、数字だけではなく用途も書きます。
- 挙式日
- 披露宴日
- 入籍日
- ムービーに表示する日付
英語表記にする場合は、月と日の順番が分かりにくくなることがあります。
制作者へ変換を任せず、画面に入れたい完成表記を送ると間違いを減らせます。
流すタイミングは司会者と決める
開宴前お願いムービーは、新郎新婦が入場する直前に流すとは限りません。
ゲストがまだ着席していない時間に上映すると、映像を見ていない人が増えます。
主な上映タイミングは次のとおりです。
全員が着席したあと
ゲストがそろってから上映するため、注意事項を全体へ伝えやすくなります。
上映後に司会者のあいさつやオープニングムービーへつなげます。
新郎新婦の入場直前
お願いムービーの最後にカウントダウンを入れ、そのまま入場します。
入場演出まで一つにまとめやすい方法です。
別のオープニングムービーの前
開宴前のお願いを流したあと、新郎新婦紹介のオープニングムービーへ続けます。
2本続ける場合は、全体が長くなりすぎないようにします。
司会者、音響担当者、会場スタッフへ、次の順番を共有します。
- ゲスト着席
- 会場を暗くする
- 開宴前お願いムービーを上映
- 司会者の案内
- オープニングムービーを上映
- 入場曲を再生
- 新郎新婦入場
映像だけを完成させず、上映後の動きまで決めます。
2本続けて流す場合は内容を重ねない
開宴前お願いムービーとオープニングムービーを続けて流す場合、同じ内容を繰り返さないようにします。
開宴前お願いムービーへ入れる内容
- ゲストへの案内
- 撮影やスマートフォンの扱い
- 拍手や歓声のお願い
- 披露宴開始の予告
オープニングムービーへ入れる内容
- 新郎新婦の紹介
- 二人の写真
- 結婚式のテーマ
- 入場カウントダウン
- 入場につながるメッセージ
両方へ長いカウントダウンを入れると、入場するタイミングが分かりにくくなります。
最終的なカウントダウンは、入場直前に流す映像だけへ入れます。
BGMを変える前に映像との合わせ方を見る
映画館風ムービーは、文字の表示、効果音、画面の切り替えがBGMに合わせて作られていることがあります。
好きな曲へ変更すると、元のテンポと合わなくなる場合があります。
曲を変えたいときは、次の点を聞きます。
- BGMを変更できるか
- 曲を変えても映像の長さは同じか
- 効果音は残るか
- 曲のどの部分を使うか
- 市販曲を映像へ入れられるか
- 楽曲利用の手続きを誰が行うか
- 曲を決める期限はいつか
曲名だけを決めて注文するのではなく、サンプル映像と合わせたときに違和感がないかを見ます。
納品方法は式場の指定に合わせる
完成したムービーをデータで受け取れても、式場がDVDしか受け付けていない場合があります。
反対に、USBやデータ提出に対応している会場なら、DVDより高い画質で上映できることもあります。
式場へ聞く内容は次のとおりです。
- MP4データを提出できるか
- USBを使用できるか
- DVDまたはBlu-rayが必要か
- DVD-Video形式の指定があるか
- 画面比率は16対9か4対3か
- 映像の前後に黒い画面が必要か
- メニュー画面を付けてよいか
- 提出期限はいつか
- 会場で事前再生できるか
式場から資料を受け取ったら、内容を書き直さず、そのまま制作者へ送ります。
初稿は文字から確認する
映画風の映像は動きが多いため、最初は演出に目が行きます。
確認するときは、音を消し、文字と写真だけを見るところから始めます。
初稿で見る項目
- 新郎新婦の写真が正しいか
- 名前のローマ字が正しいか
- 挙式日が正しいか
- お願いの内容が式場ルールと合っているか
- 誤字がないか
- 文字を読み終えられるか
- 画面の端で文字が切れていないか
- SNS投稿の条件が正しいか
- 上映後の流れが分かるか
- カウントダウンの位置が合っているか
修正を頼むときは、再生時間と変更後の文章を一緒に送ります。
- 18秒の「撮影禁止」を「写真撮影OK」へ変更
- 35秒の新婦の写真を差し替え
- 48秒のローマ字表記を修正
- 最後のカウントダウンを削除
小分けに送らず、一度最後まで見てからまとめます。
外注前に整理しておく内容
問い合わせ前に、次の内容を一つのメモへまとめます。
- 披露宴の日程
- 結婚式場名
- 式場への提出期限
- 希望する完成日
- ムービーを流すタイミング
- ほかのムービーも続けて流すか
- 新郎新婦の写真
- 名前のローマ字表記
- 映像へ表示する日付
- 入れたいお願い
- 入れたくない表現
- SNS投稿の扱い
- BGM変更の希望
- 希望する納品形式
- 式場指定の画面比率
- サンプルから変えたい部分
- 修正できる内容と回数
- 完成映像の公開可否
変更したい部分がある場合は、サンプルの再生時間も書きます。
まとめ
映画館風の開宴前お願いムービーは、ゲストへの案内と披露宴開始の演出を一つにまとめられる映像です。
外注前に決めたいのは次の5点です。
- ゲストへ伝えるお願い
- 式場の撮影やSNSに関するルール
- ムービーを流すタイミング
- オープニングムービーとのつなぎ方
- 名前、日付、納品形式
禁止事項を並べるのではなく、ゲストにしてほしい行動を短く伝えると、会場の雰囲気を崩しにくくなります。
上映後に司会者が話すのか、そのまま別のムービーや入場へ進むのかまで決め、式場と制作者へ同じ進行表を渡しておきます。

