外国人モデルを起用すれば、商品写真に高級感や海外らしい雰囲気が出るとは限りません。
モデルの衣装だけが目立つ、商品と背景の雰囲気が合わない、着用写真なのにサイズや形が分からない。このような写真になる原因は、モデル選びではなく、商品をどう見せるかが決まっていないことです。
ECサイトの着用写真では、モデルをきれいに撮ることより、商品を身につけた状態、実際の大きさ、使う場面を分かりやすく残す必要があります。
外国人モデルを起用する目的を一つに絞る
外国人モデルを使う理由を「おしゃれに見えるから」だけにすると、衣装や背景を決められません。
最初に、写真で何を変えたいのかを決めます。
- 海外ブランドのような雰囲気を出したい
- 商品のサイズ感を見せたい
- アクセサリーの着用位置を伝えたい
- 日本国外の購入者にも使う場面を想像してほしい
- ブランドの対象者を広く見せたい
- 商品単体の写真より生活感を出したい
- 広告やSNSで目を止めてもらいたい
目的が違えば、選ぶモデル、衣装、背景、表情も変わります。
ECサイトのモデル写真は、アパレル商品のサイズ感やスタイリングを見せるだけでなく、家電や日用品の操作方法を説明する画像にも使われています。人物を入れること自体ではなく、商品単体では伝わらない情報を補うことが役割です。
商品がモデル写真の中で浮く4つの原因
商品と衣装の価格帯が合っていない
日常使いを想定した商品に、ドレスや強い光沢のある衣装を合わせると、商品より衣装が目立ちます。
反対に、高価格帯の商品を普段着だけで撮ると、商品が持つ特別感を出しにくくなります。
価格そのものではなく、購入者がどこで使う商品なのかを基準に衣装を決めます。
| 商品の利用場面 | 合わせやすい衣装 |
|---|---|
| 通勤や仕事 | 無地のシャツ、ジャケット、落ち着いた服 |
| 休日の外出 | ニット、ブラウス、デニム |
| 結婚式や式典 | ワンピース、ドレス、上品な小物 |
| 旅行 | 動きやすい服、バッグ、羽織物 |
| 自宅 | やわらかい素材の普段着 |
| 高級ギフト | 色数を抑えた上品な服 |
商品ページの購入者と、撮影写真の生活場面がつながっていることが大切です。
商品と衣装の色が近すぎる
黒いバッグを黒い服の上に重ねると、輪郭が分かりません。
シルバーのアクセサリーを白い服と明るい背景で撮ると、光の当たり方によっては形が消えます。
商品と衣装は、色だけでなく明るさの差も見ます。
- 黒い商品には白、ベージュ、明るいグレー
- 白い商品にはネイビー、茶、薄い色
- ゴールドには黒、深緑、ボルドー
- シルバーには黒、ネイビー、くすみ色
- 透明な商品には輪郭が見える濃い色
- 柄物の商品には無地の衣装
ブランドカラーを衣装へ使う場合でも、商品と同じ場所へ同じ色を置かないようにします。
背景だけが海外風になっている
外国人モデル、洋風の建物、ヴィンテージ家具をそろえても、商品との関係がなければ背景の演出だけが目立ちます。
背景は、商品を使う場所から決めます。
バッグなら街、カフェ、玄関。アクセサリーなら鏡の前、外出前の室内、食事の場面。アパレルなら通勤、休日、式典などです。
商品と関係のない豪華な場所を選ぶより、購入者が使う場面に近い場所で撮るほうが、着用後を想像しやすくなります。
モデルのポーズが商品と合っていない
モデルがカメラへ向かって立つだけでは、商品の使い方が分かりません。
バッグなら肩に掛ける、手で持つ、中身を出す。アクセサリーなら顔を横へ向ける、髪を耳へ掛ける、首元へ手を添える。服なら前、横、後ろを分けて撮ります。
商品ごとに必要な動作を決めます。
モデル選びは国籍だけで決めない
「外国人モデル」とだけ指定しても、希望する写真にはなりません。
依頼時には、次の条件を見ます。
- 年代
- 身長
- 服のサイズ
- 靴のサイズ
- 髪の長さ
- 髪の色
- 顔の雰囲気
- 普段の服装
- 得意な撮影
- 表情
- 手や耳など、商品を着用する部分
アパレルでは、モデルの体形と商品サイズが合っていないと、服の丈や肩幅が実物と違って見えます。
アクセサリーでは、耳にピアス穴があるか、髪で商品が隠れないか、ネイルが商品とぶつからないかも見ます。
モデルの出身地域や見た目だけで商品の印象を決めつけず、ブランドの対象者と撮影内容に合うかを基準に選びます。
アパレルは商品サイズとモデル寸法を先に照合する
服を発送してから着られないと分かると、別の商品や別のモデルが必要になります。
最低限、次の寸法をそろえます。
モデル側
- 身長
- バスト
- ウエスト
- ヒップ
- 肩幅
- 靴のサイズ
商品側
- 表記サイズ
- 着丈
- 身幅
- 肩幅
- 袖丈
- ウエスト
- 股下
- 伸縮性
ゆったり見せたい服がモデルにぴったり合うと、商品の特徴が変わります。
反対に、細身の服が大きすぎると、しわやたるみが出ます。サイズが合わない部分をクリップで留める場合は、正面だけでなく横や後ろの見え方にも影響します。
アクセサリーは顔より着用位置を優先する
イヤリングやピアスの着用写真で顔全体を大きく写すと、商品が小さくなります。
アクセサリー写真は、全体の雰囲気と細部を分けて撮ります。
ピアス・イヤリング
- 顔を正面から撮る
- 顔を横へ向ける
- 髪を耳へ掛ける
- 耳元だけを大きく撮る
- 揺れた状態を撮る
- 左右一組が分かるように撮る
ネックレス
- 首元を正面から撮る
- 斜めからトップの厚みを撮る
- 胸元まで入れて長さを見せる
- 服の襟との位置関係を見せる
- 留め具やアジャスターを撮る
指輪
- 手全体を撮る
- 指を軽く曲げる
- 横から高さを撮る
- 手元で商品を持つ
- 複数の指輪を重ねた状態を撮る
商品ページの最初にはモデルを含む写真、説明部分には耳元、首元、手元の拡大写真を使うと、雰囲気と情報を分けられます。
バッグや小物は持ち方を複数残す
バッグは一つの持ち方だけでは、形や使い方を判断しにくくなります。
- 手で持つ
- 肩に掛ける
- 斜め掛けにする
- 腕へ掛ける
- 机や椅子へ置く
- 中身を出す
- ファスナーを開ける
- 内ポケットを使う
モデルの身長も分かるようにすると、バッグの大きさを想像しやすくなります。
財布やポーチなどの小物は、手で持った写真だけでなく、バッグへ入れる場面も撮ります。
商品ページ用の基本カット
着用撮影では、モデルの表情違いばかりを増やさないようにします。
商品ページに使いやすい基本カットは次のとおりです。
| カット | 伝える内容 |
|---|---|
| 全身 | 商品と服装全体のバランス |
| 上半身 | 商品と表情、利用場面 |
| 正面 | 商品の形と着用位置 |
| 横 | 厚み、丈、揺れ方 |
| 後ろ | 背面、留め具、シルエット |
| 詳細 | 素材、装飾、金具 |
| 使用中 | 持つ、開く、着ける |
| 文字用 | 広告文を載せる余白 |
すべての商品で8種類必要なわけではありません。
商品説明で何を伝えるかを決め、写真がなければ説明しにくい部分を優先します。
衣装は商品と競わせない
着用する服は、モデルを魅力的に見せるためだけに選ぶものではありません。
衣装選びでは次の点を見ます。
- 商品と同じ色を避ける
- 大きなロゴを避ける
- 強い柄を避ける
- 商品を隠す襟や袖を避ける
- 季節を合わせる
- 購入者の生活に合わせる
- ブランドの価格帯に合わせる
アクセサリーなら首元や耳元が見える服、バッグなら持ち手やストラップが見える服を選びます。
撮影用の衣装をモデル側で用意する場合は、候補写真を先に共有してもらい、商品の実物写真と並べて見ます。
背景は室内と屋外で役割が違う
室内撮影
光や背景を整えやすく、商品を安定して見せられます。
- ECの商品詳細
- アクセサリーの着用位置
- 小物の使用場面
- 文字を載せる広告画像
- シリーズ商品の統一撮影
屋外撮影
実際の利用場面や季節感を出しやすくなります。
- バッグ
- アウター
- 帽子
- 靴
- 旅行用品
- 屋外で使う雑貨
屋外では、人、看板、車、天候、光の向きによって写真が変わります。
商品を正確に見せる写真は室内、利用場面を見せる写真は屋外というように、役割を分ける方法もあります。
商品の対象地域と撮影場所を混同しない
海外向けの商品だからといって、必ず外国の街並みが必要なわけではありません。
日本国内で販売する輸入雑貨なら、購入者が普段使う室内や街中で撮ったほうが生活へ取り入れやすく見えます。
海外販売を予定している場合でも、商品説明へ必要なのは、国籍を強く示す背景より、使い方やサイズが分かる写真です。
モデルの見た目、背景、衣装をすべて海外風にそろえるのではなく、商品がどの市場で、どのように使われるかから決めます。
写真の使用範囲を撮影前に決める
モデル写真は、商品だけの写真と同じように自由に使えるとは限りません。
事前にそろえたい項目は次のとおりです。
- 自社ECサイト
- Amazonや楽天などのモール
- SNS投稿
- SNS広告
- Web広告
- LP
- 紙のチラシ
- カタログ
- 店頭パネル
- 海外サイト
- 使用期間
- 使用地域
- 画像加工の可否
- 第三者への提供
外国人モデルの派遣やキャスティングを扱う事業者でも、使用媒体、使用地域、使用期間を撮影前に決める流れが案内されています。国内用のEC画像を後から海外広告へ転用する場合などは、最初の条件を超えないか確認が必要です。
写真を広告代理店、販売店、取引先へ渡す予定がある場合も、先に伝えます。
画像加工で変えてよい範囲を決める
撮影後のレタッチでは、明るさや色味を整えられます。
一方、モデルの髪色、肌、体形、商品の色を大きく変えると、撮影時の条件や実物との違いが生まれます。
一般的な調整
- 明るさ
- 色味
- 傾き
- 余白
- 小さなほこり
- 一時的な肌荒れ
- 衣装の小さなしわ
- 背景の小さな汚れ
事前に相談したい加工
- 背景の差し替え
- 商品色の変更
- モデルの髪色変更
- 体形の変更
- 衣装の合成
- アクセサリーの位置変更
- 大きな商品キズの除去
- 別の広告への合成
撮影で直す内容と、画像編集で直す内容を分けておきます。
商品発送時に入れる物
商品だけを箱へ入れて送ると、撮影時に判断できないことがあります。
次の資料を同封します。
- 商品名
- 商品番号
- 前後や上下
- 着用方法
- サイズ
- 付属品
- 壊れやすい部分
- 使ってよい商品か
- 返送が必要か
- 撮影してほしくないキズ
- 商品ページの資料
- カット一覧
アパレルはしわを減らし、アクセサリーは絡まないように分けます。
予備の商品、予備のキャッチ、交換できるパーツがある場合は、撮影者へ分かるようにします。
撮影指示書は写真ごとに書く
「高級感がある写真」「海外風」「おしゃれに」といった言葉だけでは、構図を決められません。
写真ごとに、何を撮るかを書きます。
カット1
- 全身
- 商品を着用
- モデルはカメラを見る
- 明るい室内
- 画面左側に文字用の余白
- 商品の正面が見える向き
カット2
- 上半身
- モデルは商品を見る
- 手で商品へ触れる
- 商品名や装飾を隠さない
- 背景はぼかす
カット3
- 商品の詳細
- 顔全体は入れない
- 金具や素材を大きく写す
- 実物に近い色を優先
文章だけでなく、簡単な絵や参考写真を付けると、立ち位置や商品の向きを共有しやすくなります。
参考写真の伝え方
参考写真を送る場合は、どこを参考にしてほしいかを書きます。
- モデルの表情
- 商品を持つ位置
- 衣装の色
- 背景
- 光の明るさ
- 写真の余白
- カメラの高さ
- 全身か上半身か
- 商品が占める大きさ
参考写真に写っているモデル、服、場所をすべて同じにする必要はありません。
「右側の余白」「耳元の見せ方」「室内の明るさ」のように分けると、商品の条件に合わせて調整できます。
ECサイト以外への転用も考える
同じ撮影日に、ECサイト用だけでなく広告やSNSへ使える写真も残せます。
ECサイト用
- 商品の形が分かる
- 着用位置が分かる
- 前後左右が分かる
- 色が実物に近い
SNS用
- 縦長や正方形で使える
- 利用場面が分かる
- 背景に雰囲気がある
- 表情や動きがある
広告用
- 文字を載せる余白がある
- 商品と人物が中央付近に収まる
- 短い訴求と合わせやすい
- 横長と縦長を用意する
ECサイト用の写真だけを撮ると、商品を中央へ置いた構図ばかりになります。
広告やSNSへの転用予定があるなら、左右に余白を残した写真も撮影リストへ入れます。
撮影を外注するときに整理する情報
最初の連絡では、外国人モデルを希望することだけでなく、商品と利用目的を伝えます。
商品
- 商品名
- 実物写真
- 商品サイズ
- 色
- 素材
- 着用方法
- 商品数
- 発送予定日
モデル
- 希望する年代
- 身長や服のサイズ
- 髪型
- 顔の雰囲気
- 商品を着用できる条件
- 顔出しの範囲
撮影
- 必要なカット数
- 全身、上半身、詳細の別
- 衣装
- 背景
- 室内か屋外か
- 表情
- ポーズ
- 文字用の余白
- 希望する納品日
使用条件
- 掲載媒体
- 使用期間
- 使用地域
- 広告利用の有無
- 画像加工の有無
- 第三者へ渡す予定
- 作例としての掲載可否
撮影後に変更しにくいのは、モデル、衣装、背景、ポーズ、商品の着用位置です。
絶対に必要な条件と、撮影者へ任せる条件を分けて伝えます。
まとめ
ECサイトの外国人モデル着用撮影では、外国人モデルを起用すること自体が目的ではありません。
商品単体では伝わらないサイズ、着用位置、利用場面、ブランドの雰囲気を写真で補うことが目的です。
撮影内容は次の順番で決めます。
- モデルを起用する目的を一つ決める
- 商品とモデルのサイズを合わせる
- 商品が埋もれない衣装を選ぶ
- 利用場面に合う背景を決める
- 全身、上半身、詳細の役割を分ける
- 商品に合う動作を指定する
- EC、SNS、広告用の構図を分ける
- 使用媒体、期間、地域をそろえる
- 発送前に商品と撮影指示書を整える
モデル、衣装、背景を豪華にするより、商品がどこで、誰に、どのように使われるかを一枚ずつ見せるほうが、販売ページへ使いやすい写真になります。

