結婚式のオープニングムービーに市販の曲を入れたい場合、映像を作るだけでは準備が終わりません。曲を映像へ収録するための手続きも必要です。
よく使われるのがISUMを通した申請ですが、新郎新婦がISUMへ直接申し込む仕組みではありません。式場または映像制作会社などの登録事業者を通して手続きを進めます。
そのため、オープニングムービーを外注するときは、映像のデザインだけでなく、誰が申請するのか、申請費用がどこに含まれるのかまで見ておく必要があります。
ISUM申請込みとは何を含むのか
ISUM申請込みとは、結婚式ムービーに市販の曲を収録するための手続きを、映像制作会社などがまとめて行う形です。
ISUMは、新郎新婦から直接申請を受け付けているわけではありません。ISUMに登録している結婚式場、ホテル、映像制作会社などが利用申請を行います。
ただし、「ISUM対応」「ISUM申請可能」「ISUM申請込み」は同じ意味とは限りません。
| 表記 | 考えられる内容 |
|---|---|
| ISUM対応 | 対象曲なら使えるが、申請先や費用は別確認 |
| ISUM申請可能 | 希望すれば申請を頼める |
| ISUM申請代行あり | 制作会社が手続きを行うが、別料金の場合がある |
| ISUM申請込み | 制作料金または提示金額に申請が含まれる場合がある |
| ISUM楽曲へ変更可能 | 曲の変更と申請が別料金になっている場合がある |
商品名に「申請込み」と書かれていても、曲数、映像の内容、納品方法によって追加料金が出ることがあります。
注文前には、次の3点を聞きます。
- 希望曲の申請料まで提示金額に含まれるか
- 曲の差し替えや編集に別料金がかかるか
- 許諾済みであることを示すものが納品物に付くか
会場で曲を流すだけの場合とは手続きが違う
披露宴会場でCDをそのまま再生する場合と、オープニングムービーへ曲を入れる場合は別の使い方です。
ムービーに曲を入れると、音源を映像へ複製することになります。そのため、会場内でBGMとして再生する手続きとは分けて考えます。
| 曲の使い方 | 例 |
|---|---|
| 会場で再生する | 新郎新婦の入場時にCDの曲を流す |
| 映像へ収録する | オープニングムービーのBGMとして曲を入れる |
| 記録映像へ残す | 当日の映像に会場BGMが入った状態で保存する |
JASRACも、プロフィールビデオの制作、会場内BGM、記録用ビデオの制作などを別の利用例として案内しています。
「式場が音楽の手続きをしているから、ムービーもそのまま使える」とは限りません。式場へ問い合わせるときは、単に「この曲を使えますか」と聞くのではなく、「外注したオープニングムービーの中へ収録します」と伝えます。
式場申請と制作会社申請の違い
ISUMの申請先は、式場と映像制作会社のどちらかになることがあります。
どちらがよいかは、式場の決まりと制作会社の対応内容で変わります。
| 比較項目 | 式場に申請を頼む | 制作会社に申請を頼む |
|---|---|---|
| 問い合わせ先 | 式場担当者 | ムービー制作者 |
| 映像制作 | 別の会社へ依頼する場合がある | 制作と申請をまとめやすい |
| 必要な提出物 | 式場ごとに違う | 制作会社の案内に従う |
| 費用 | 式場の料金表による | 制作会社の料金表による |
| 許諾の確認 | 式場へ聞く | 制作者へ聞く |
| 向いているケース | 式場が持ち込み映像の申請を一括管理している | 制作から申請まで一か所へまとめたい |
式場が申請を行う場合でも、制作会社側で曲の差し替えや長さ調整が必要になることがあります。
反対に、制作会社が申請できても、式場が指定する提出方法に合わなければ上映できません。
先にどちらかへ注文するのではなく、まず式場へ次のように聞くと話が早く進みます。
「外部の制作会社へオープニングムービーを依頼し、市販の曲を映像に入れる予定です。ISUM申請は式場と制作会社のどちらで行いますか」
ISUMの登録曲かどうかを先に調べる
使いたい曲が決まっている場合は、ISUMの楽曲データベースに登録されているかを調べます。
同じ曲名でも、歌手、収録アルバム、音源の種類が違うことがあります。曲名だけで判断せず、アーティスト名まで合わせて確認します。
制作先へ伝える情報は次のとおりです。
- 曲名
- アーティスト名
- 使用したい音源
- 収録されているCDやアルバム
- 希望する使用部分
- オープニングムービーの長さ
- 挙式日
- 結婚式場名
楽曲データベースに見つからない場合、すぐに使えないとは限りません。ただし、確認や追加の手続きに時間がかかることがあるため、挙式直前の選曲変更は避けたほうが安全です。
第一希望だけでなく、第二希望も決めておくと制作が止まりません。
オープニングムービーと入場曲は別々に決める
オープニングムービーの最後から新郎新婦の入場までを、どのようにつなぐかも決めておきます。
主な流れは次の3つです。
ムービーの曲を流したまま入場する
映像が終わったあとも同じ曲を流し、新郎新婦が入場します。
曲が途切れないため、会場の雰囲気を保ちやすい方法です。一方、映像の終わる位置と扉が開くタイミングを合わせる必要があります。
ムービー終了後に別の曲へ切り替える
カウントダウンや「入場です」といった表示のあと、入場曲へ切り替えます。
ムービーと入場で雰囲気を変えられますが、音響担当者との打ち合わせが必要です。
ムービー終了後に少し間を置く
映像を暗転させ、数秒後に入場曲を流します。
演出として間を使えますが、長すぎると上映が終わったのか分かりにくくなります。
制作を頼む前に、次の流れまでメモにしておきます。
- ムービー開始
- 映像の最後にカウントダウン
- 画面を暗転
- 入場曲を再生
- 扉を開ける
秒数まで決まっていない場合は、式場担当者と制作会社の両方へ相談します。
洋楽を使う場合に見落としやすい点
洋楽を使ったオープニングムービーでは、曲の雰囲気だけでなく歌詞も見ます。
盛り上がる曲でも、別れ、失恋、浮気、後悔などを扱った歌詞の場合があります。英語の響きだけで選ばず、和訳や曲の背景を調べておくと安心です。
確認したいのは次の項目です。
- 結婚式の場面に合う歌詞か
- 曲の盛り上がる部分がムービーの長さに合うか
- 曲の冒頭が静かすぎないか
- サビまでの時間が長すぎないか
- 曲を途中で終えても不自然にならないか
- ISUMの登録音源と希望している音源が同じか
フルコーラスで使いたい場合も、ムービー本編が長くなりすぎないかを考えます。
オープニングムービーは披露宴の開始を知らせる役割があるため、プロフィールムービーのように生い立ちを細かく見せる必要はありません。曲を最後まで使うことより、入場までのテンポを優先したほうがまとまりやすい場合があります。
写真の枚数は多いほどよいわけではない
迫力のあるオープニングムービーでは、写真をテンポよく切り替える構成がよく使われます。
ただし、写真を増やしすぎると、一枚ずつの表示時間が短くなります。ゲスト紹介、前撮り写真、二人の日常写真など、役割を分けて選びます。
使いやすい写真
- 新郎新婦の顔がはっきり見える
- 横長の画面へ合わせやすい
- 背景と人物の区別がつく
- 同じ服装や場所の写真が続かない
- 二人の関係や雰囲気が伝わる
- 明るさが極端に違わない
選び直しになりやすい写真
- SNSから保存して画質が低い
- 大人数で新郎新婦が小さい
- 顔の上に文字やスタンプがある
- 縦写真ばかりに偏っている
- 似た構図が続いている
- 暗くて顔が分かりにくい
写真を提出するときは、ファイル名へ使用順を付けます。
- 01_タイトル
- 02_新郎
- 03_新婦
- 04_二人
- 05_ゲスト
- 06_入場前
順番を制作会社へ任せる場合も、「必ず使ってほしい写真」と「候補写真」を分けておくと意図が伝わります。
DVDとデータ納品は式場の指定に合わせる
ムービーの納品方法は、使いやすさではなく式場の上映設備に合わせます。
自宅では再生できたデータでも、式場の機器では読み込めないことがあります。DVDを指定される場合は、一般的なDVDプレーヤーで再生できる形式になっているかを確認します。
式場へ聞く項目は次のとおりです。
- DVD、Blu-ray、USB、データのどれで提出するか
- DVDの場合はDVD-Video形式が必要か
- 画面比率は16対9か4対3か
- 解像度の指定はあるか
- 冒頭と末尾に黒い画面が必要か
- メニュー画面を付けてよいか
- 一枚のディスクへ複数の映像を入れてよいか
- 提出期限はいつか
- 提出後に式場で再生確認を行うか
制作会社へは、式場から受け取った資料をそのまま送ります。内容を自分の言葉で伝え直すより、数字や形式の間違いを防げます。
注文前に総額が変わる条件を聞く
オープニングムービーの表示価格だけを見て決めると、BGMや納品方法を選んだ段階で金額が変わることがあります。
見積もりでは、次の項目を分けて聞きます。
- ムービー本体の制作費
- 市販曲への変更費
- ISUMの申請費
- 申請手数料
- DVDやBlu-rayの作成費
- 配送費
- 特急制作費
- 写真の選定を任せる費用
- デザイン変更費
- 追加修正費
「ISUM対応」と書かれている場合も、申請費まで基本料金に入っているとは限りません。
希望曲、納品方法、挙式日を伝えたうえで、最終的にいくらになるかを聞きます。
修正できる部分をサンプル映像で見分ける
テンプレート型のオープニングムービーでは、写真や名前は変えられても、画面構成や文字の動きは変えられないことがあります。
注文後に大きな変更を求めずに済むよう、サンプルを見るときは次の部分を確認します。
- 冒頭の長さ
- 写真の切り替わる速さ
- 文字の大きさ
- 新郎新婦の紹介方法
- ゲスト紹介の有無
- カウントダウンの位置
- 映像の終わり方
- 入場曲へのつなぎ方
- 色や書体を変更できるか
- 空撮や動画素材へ差し替えられるか
修正については、回数だけでなく内容を見る必要があります。
誤字の修正はできても、写真枚数の追加、BGM変更、構成変更は別扱いになることがあります。
初稿提出後に変更できない項目は、素材を送る前に決めます。
制作を頼む前にまとめておく情報
問い合わせ時に必要な情報をまとめておくと、申請方法、納期、総額を一度に確認しやすくなります。
- 挙式日
- 結婚式場名
- 式場への提出期限
- 希望する完成日
- 使用したい曲名
- アーティスト名
- 第二希望の曲
- 式場と制作会社のどちらがISUM申請するか
- 希望する納品形式
- 式場指定の画面比率
- 使用したい写真の枚数
- 動画素材を使うか
- 入場曲をムービーと同じにするか
- 希望する修正内容
- サンプルから変えたい部分
式場から回答をもらっていない項目は、分からないまま注文せず、「現在確認中」と伝えます。
まとめ
オープニングムービーをISUM申請込みで外注するときは、映像の制作費だけでなく、曲の変更費、申請費、納品費まで含めた総額を確認します。
先に決めたいのは次の5点です。
- 使用したい曲がISUMへ登録されているか
- 式場と制作会社のどちらが申請するか
- ムービーの曲と入場曲をどうつなぐか
- 式場が指定する納品形式
- 初稿後に変更できる範囲
最初に式場へ上映条件と申請方法を聞き、その回答を制作会社へ送ると、注文後の行き違いを減らせます。

