おしゃれな結婚式ムービーでは自分たちらしさが出ない。入場前からゲストを笑わせたい。そんなときに使われるのが、お笑い番組や賞レースを思わせるオープニングムービーです。
ただし、制作を外注しても、新郎新婦が何も準備しなくてよいわけではありません。
お笑い風のムービーでは、写真だけでなく、決めポーズ、短い演技、コンビ名、キャッチコピー、二人の経歴などが必要になります。素材の撮り方やネタの伝え方が曖昧だと、編集が整っていても笑いどころが伝わりません。
撮影を始める前に、必要な素材と避けたいネタを決めておきます。
お笑い風ムービーはネタより見せ方で決まる
お笑い風のオープニングムービーだからといって、新郎新婦が本格的な漫才を作る必要はありません。
会場が笑いやすいのは、二人が普段見せない表情やポーズを真剣に演じている場面です。
たとえば、次のような見せ方があります。
- 二人をお笑いコンビとして紹介する
- 結成日を交際開始日や入籍日に置き換える
- 二人の経歴を大げさなナレーションで紹介する
- 新郎と新婦の特徴を短いキャッチコピーにする
- 入場前に勝負へ挑むような決めポーズを入れる
- 最後にカウントダウンを入れて扉を開ける
面白い話を何個も詰め込むより、一つの設定を最後まで保ったほうが映像としてまとまります。
「賞レースへ出場する新郎新婦」「披露宴の優勝を狙う二人」など、ムービー全体の設定を一文で説明できる状態にしてから素材を集めます。
自作と外注では準備する内容が違う
自作では、撮影後の編集まで新郎新婦が行います。外注では編集を任せられますが、素材と情報の準備は残ります。
| 項目 | 自作 | 外注 |
|---|---|---|
| 構成 | 自分たちで考える | 商品の構成に合わせる |
| 写真・動画 | 自分たちで用意する | 自分たちで用意する |
| 撮影方法 | 編集を考えて決める | 制作者の指定に合わせる |
| テロップ | 自分たちで作る | 内容だけ提出する |
| ナレーション | 録音と編集を行う | 原稿や音声を提出する |
| 動画編集 | 自分たちで行う | 制作者が行う |
| 書き出し | 式場仕様に合わせる | 式場仕様を伝えて任せる |
| 修正 | 自分たちで直す | 対応範囲内で依頼する |
外注の利点は、編集ソフトの操作がいらないことです。
一方で、指定された素材がそろわなければ制作は始まりません。挙式日ではなく、写真や動画を提出できる日から逆算して予定を立てます。
最初に「誰を笑わせるか」を決める
披露宴には、友人だけでなく、家族、親族、職場の上司、年配のゲストも参加します。
学生時代の友人だけに伝わるネタを中心にすると、ほかのゲストは置いていかれます。
ムービーの主な対象を次のように決めます。
- 友人を中心に盛り上げたい
- 親族にも伝わる内容にしたい
- 職場関係者が多いため下品なネタは避けたい
- 子どもにも分かる動きや表情を使いたい
- 年代を問わず見やすい番組風にしたい
対象が決まると、使う言葉やネタの強さを選びやすくなります。
親族や職場関係者が多い披露宴では、暴露話よりも、二人の性格や関係性を少し大げさに見せる方法が使いやすくなります。
内輪ネタだけで構成しない
新郎新婦や友人が知っている出来事でも、説明なしではほかのゲストに伝わりません。
たとえば「伝説の寝坊王」というキャッチコピーだけでは、事情を知らない人には意味が分かりません。
「待ち合わせには毎回10分遅れる伝説の寝坊王」と書けば、初めて聞く人にも状況が伝わります。
伝わりにくい表現
- いつものやつ
- あの事件
- 伝説の男
- またやりました
- 安定の遅刻
- 例のメンバー
- 毎度おなじみ
初めて見る人にも伝わる表現
- 旅行当日に寝坊して飛行機を逃した男
- 初デートで店を予約し忘れた新郎
- 週末は必ずラーメン店を探す新婦
- 交際初日から主導権を握った新婦
- 料理は苦手だが皿洗いだけは速い新郎
短い文章の中に、何が起きたのかを入れます。
説明が長くなるネタは、オープニングムービーよりプロフィールムービーや司会者の紹介に回したほうが扱いやすくなります。
笑いに変えやすい情報を集める
ネタが思いつかないときは、面白い出来事を無理に探す必要はありません。
普段の行動や二人の違いを並べるだけでも、紹介文を作れます。
新郎について集める情報
- 趣味
- 得意なこと
- 苦手なこと
- 休日の過ごし方
- よく使う言葉
- 新婦から注意されること
- 結婚後に担当している家事
- 友人から見た性格
新婦について集める情報
- 趣味
- 好きな食べ物
- 行動が早いか慎重か
- 買い物にかかる時間
- 新郎より得意なこと
- 新郎に直してほしいこと
- 結婚後に変わったこと
- 家族や友人から見た性格
二人について集める情報
- 出会った場所
- 交際を始めた日
- 初デート
- 印象に残っている旅行
- けんかの原因
- 仲直りの方法
- 結婚を決めた理由
- 二人の共通点
- 正反対な部分
大きな失敗談より、誰でも想像できる日常の違いのほうが笑いにつながることがあります。
コンビ名は短く読めるものにする
賞レース風のムービーでは、新郎新婦を架空のコンビとして紹介する演出があります。
コンビ名は、画面に一瞬表示されても読める長さにします。
作りやすい付け方
- 二人の名字や名前を組み合わせる
- 出身地を組み合わせる
- 共通の趣味を使う
- 好きな食べ物を使う
- 二人の性格を表す
- 結婚生活に関係する言葉を使う
たとえば、旅行好きなら「週末トラベラーズ」、食べ歩きが好きなら「満腹ふたり組」といった付け方です。
説明しなければ読めない当て字や、文字数が長い名前は避けます。
実在する芸人やコンビと同じ名前にするより、二人に関係する言葉から作ったほうがオリジナル感も出ます。
キャッチコピーは一人につき一つに絞る
キャッチコピーを何個も入れると、一つも印象に残りません。
新郎と新婦について、それぞれ最も分かりやすい特徴を一つ選びます。
| 元の情報 | キャッチコピーの例 |
|---|---|
| 休日は昼まで寝ている | 休日の午前中を知らない男 |
| 旅行計画が細かい | 分刻みで旅程を組む新婦 |
| 毎日筋トレをしている | 筋肉だけは裏切らない新郎 |
| 食べる店をすぐ決められない | メニュー選びに30分かける新婦 |
| 家では無口 | 家庭内では省エネ運転 |
| 写真を何枚も撮る | 一枚のために50回撮る女 |
本人を傷つけず、見た人が状況を想像できる表現にします。
体形、容姿、収入、病気、家族事情など、本人が気にしている内容を笑いに変えるのは避けます。
撮影前に必要な動画を一覧にする
撮影を始めてから必要な場面を考えると、服装や背景がバラバラになります。
先に必要な動画を一覧にして、同じ日にまとめて撮ります。
撮影しやすい動画の例
| 動画 | 内容 |
|---|---|
| 二人の登場 | 画面外から歩いてくる |
| メインポーズ | 二人で正面を向いて構える |
| 新郎紹介 | 新郎が一人で決めポーズをする |
| 新婦紹介 | 新婦が一人で決めポーズをする |
| 指さし | カメラや相手を指さす |
| ガッツポーズ | 勝利したような動きをする |
| 対決 | 二人で向かい合う |
| 驚き | 大げさに振り返る |
| 笑顔 | 二人で顔を見合わせる |
| 入場前 | 奥からカメラへ歩いてくる |
必要な動画数や秒数は制作先によって違います。撮影前に指定表を受け取り、その順番どおりに進めます。
動画は横向きで余白を残して撮る
式場のスクリーンは横長が一般的です。
スマートフォンを縦に持って撮ると、画面の左右に大きな余白ができたり、人物を拡大したときに体が切れたりします。
撮影時は次の点をそろえます。
- スマートフォンを横向きにする
- レンズの汚れを拭く
- 明るい場所で撮る
- 背景をできるだけ片付ける
- 人物の頭上と左右に余白を残す
- カメラを動かさず固定する
- 動作の前後を数秒長めに撮る
- 一つの動画に一つの動作だけ入れる
- 同じ場面を2回以上撮る
人物を画面いっぱいに入れると、テロップや装飾を置く場所がなくなります。
腰より上を使う場面でも、少し広めに撮っておけば、編集時に位置を調整できます。
背景と服装をそろえる
撮影場所が場面ごとに変わると、一本のムービーとしてまとまりにくくなります。
自宅で撮る場合は、白い壁や無地のカーテンを背景にします。洗濯物、生活用品、鏡に映った撮影者などが入らない位置を選びます。
服装も場面ごとに大きく変えないほうが自然です。
- 新郎はスーツ、新婦はワンピース
- 二人とも白いシャツ
- 二人で色をそろえた私服
- 前撮り時の衣装
- 同じテーマのスポーツウェア
背景と服装が整っていれば、演技が簡単でも映像として見やすくなります。
演技は少し大きいくらいでよい
普段どおりに動くと、スクリーンでは表情や動作が小さく見えます。
カメラの前では、振り返る、指さす、驚く、笑うといった動きを少し大きめにします。
ただし、長いせりふを覚えたり、複雑なコントを演じたりする必要はありません。
一つの動画につき一つの動作に絞ると撮り直しも簡単です。
撮影中に恥ずかしくなって笑ってしまった場面も、二人らしい素材として使えることがあります。失敗したと思ってすぐ削除せず、候補として残しておきます。
ナレーション原稿は声に出して読む
文章として読める原稿でも、ナレーションにすると長く感じることがあります。
原稿を作ったら、一度声に出して読みます。息が続かない文や、意味が取りにくい文は短くします。
読みにくい原稿
新郎は学生時代から野球を続け、現在も休日には仲間たちと草野球を楽しんでいますが、結婚後は新婦との買い物を優先するようになりました。
読みやすい原稿
学生時代から野球一筋の新郎。
しかし結婚後、週末の主導権は新婦が獲得。
現在は買い物の荷物持ちとして活躍中です。
一文を短くすると、映像の切り替えにも合わせやすくなります。
数字、英語、名字の読み方などは、読み間違いを防ぐためにふりがなも付けます。
ゲストを不快にさせるネタを避ける
笑えるかどうかは、内容だけでなく、その場に誰がいるかで変わります。
友人同士では笑える話でも、家族や職場関係者の前では扱いにくいことがあります。
避けたほうがよい内容
- 元交際相手の話
- 離婚や家庭事情
- 妊娠や子どもに関する踏み込んだ話
- 収入や借金
- 病気や体質
- 容姿や体形
- 職場での失敗
- 上司や同僚への悪口
- 飲酒による大きな失敗
- 誰か一人だけを笑いものにする内容
新郎新婦本人が気にしていなくても、家族が不快に感じることがあります。
迷うネタは使わず、二人の日常、性格の違い、結婚生活での役割などへ置き換えます。
実在番組の再現範囲を事前に聞く
お笑い賞レース風やテレビ番組風の商品でも、公式ロゴ、番組映像、出演者の写真などを自由に使えるわけではありません。
見本映像のどこまで変更できるのか、注文前に制作先へ聞きます。
- ロゴはオリジナルに置き換わるか
- 番組名は架空の名称になるか
- 色や文字を変更できるか
- 実在する芸人の写真を使わない構成か
- テレビ番組の映像を流用していないか
- SNSへ掲載する予定があるか
「本物と同じにしてほしい」と伝えるより、「賞レースの緊張感がある雰囲気」「テレビ特番のような派手さ」と伝えたほうが希望を共有しやすくなります。
BGMは映像と入場のつながりで決める
曲を選ぶときは、好き嫌いだけでなく、ムービーの終了から入場までの流れも考えます。
主な方法は次の3つです。
同じ曲のまま入場する
ムービーの最後から曲を流し続け、そのまま扉を開けます。
音が途切れないため、映像の勢いを保ちやすい方法です。
ムービー後に入場曲へ変える
ムービーを暗転させたあと、別の入場曲を流します。
笑いのある映像から、華やかな入場へ雰囲気を変えられます。
カウントダウン後に効果音を入れる
最後に数字を表示し、効果音と同時に入場します。
映像、音響、扉を開けるタイミングを合わせる必要があるため、式場担当者との打ち合わせが必要です。
市販曲を映像へ入れる場合は、使用方法や手続きを式場と制作先へ伝えます。曲を決めてからではなく、候補を選んだ段階で使用できるかを聞きます。
初稿では誤字だけでなくテンポを見る
初稿が届いたら、名前や日付の間違いだけでなく、会場で見たときのテンポも確認します。
確認する場所は次のとおりです。
- 最初の説明が長すぎないか
- コンビ名を読み取れるか
- 写真の表示時間が短すぎないか
- ナレーションと映像が合っているか
- 内輪ネタに説明が付いているか
- テロップが一画面に詰まりすぎていないか
- 笑いどころの直後に余白があるか
- 最後から入場までの流れが分かるか
自宅のスマートフォンだけでなく、テレビやパソコンの大きな画面でも再生します。
修正依頼は時間と変更内容をセットで伝えます。
- 45秒の新郎紹介を一文短くする
- 1分10秒の写真を別データへ変更する
- コンビ名の漢字を修正する
- 最後のカウントダウンを一秒長くする
「もう少し面白く」では、どこを直したいのか伝わりません。
制作前にまとめておく内容
問い合わせ前に情報を一つのメモへまとめておくと、制作できるか、素材が足りるか、納期に間に合うかを確認しやすくなります。
- 挙式日
- 結婚式場名
- 式場への提出期限
- 希望する完成日
- 素材を提出できる日
- 希望する納品形式
- 式場指定の画面比率
- お笑い風にしたい理由
- 想定しているゲスト
- 希望する全体の雰囲気
- 新郎新婦のキャッチコピー
- コンビ名
- 二人の経歴
- 使用したい写真
- 撮影できる動画
- ナレーションの有無
- BGM候補
- サンプルから変えたい部分
- SNSなどへの掲載を避けたいか
撮影を始める前に、必要な動画の本数、向き、秒数、服装、背景まで聞きます。
指定と違う方法で撮ると、すべて撮り直しになることがあります。撮影予定日も伝え、事前に内容を見てもらえるか聞いておくと安全です。
まとめ
お笑い風オープニングムービーを外注するときは、面白いネタを考えることより、初めて見るゲストにも内容が伝わる素材を用意することが先です。
準備の中心になるのは次の5点です。
- ムービー全体の設定
- 二人のコンビ名とキャッチコピー
- 指定に合った写真と横向き動画
- ゲストを不快にさせない紹介文
- ムービー終了から入場までの流れ
制作先から素材の指定を受け取ってから撮影し、同じ服装と背景でまとめて撮ると、撮り直しを減らせます。
二人だけに通じるネタを詰め込まず、短い説明を加えることも欠かせません。笑いの強さより、誰が見ても二人の関係が分かる内容を優先すると、披露宴の始まりに使いやすいムービーになります。

