結婚式場から渡された映像の持ち込み案内に「画面比率32:9」と書かれていた。普段見慣れている16:9と何が違うのか、手元のムービーをそのまま流せるのか、迷う人もいるでしょう。
32:9は、一般的な16:9より横幅が広いスーパーワイド画面です。16:9用の映像をそのまま上映すると、左右に余白が出たり、映像を拡大した結果、上下が切れたりすることがあります。
外注するときは、単に「結婚式用のオープニングムービーを作ってください」と頼むのではなく、32:9への対応方法まで決めておく必要があります。
32:9は一般的な16:9より横幅が広い
32:9は、縦の長さに対して横の長さが32対9になる画面比率です。一般的な16:9を横に二つ並べ4621search4
結婚式場の大宴会場では、壁一面に近い横長スクリーンが設置されていることがあります。会場全体から映像を見やすく、入場前の演出に迫力を出せる点が特徴です。
主な画面比率を比べると、違いがわかりやすくなります。
| 画面比率 | 形 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 4:3 | 正方形に近い | 横長写真を入れると上下の余白が減る |
| 16:9 | テレビに近い横長 | 多くの結婚式ムービーで使われる |
| 32:9 | 16:9の約2倍の横幅 | 専用レイアウトが必要になる |
「横に長いだけだから、16:9の映像を引き伸ばせばよい」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。人物の顔や文字まで横に伸び、不自然に見えるためです。
最初に式場へ聞く7項目
制作を頼む前に、式場の担当者へ次の内容を聞きます。
- 正確な画面比率
- 推奨する動画の解像度
- 動画データを直接持ち込めるか
- DVDまたはBlu-rayが必要か
- 映像の前後に黒い画面が必要か
- 文字を置いてよい範囲
- 完成品の提出期限
「スーパーワイドスクリーン」とだけ案内された場合も、32:9とは限りません。会場独自の横幅になっていることがあるため、数値で教えてもらいます。
式場から映像制作の案内書を受け取っているなら、内容を書き写さず、そのまま制作する人へ送るほうが確実です。
16:9のムービーを32:9で流すとどうなる?
16:9の映像を32:9のスクリーンで流す方法は、一つではありません。
中央に16:9のまま表示する
元の映像を変えず、中央に16:9で表示する方法です。
人物や文字は切れませんが、スクリーンの左右に大きな余白ができます。会場が用意した背景や装飾を左右へ表示できる場合もあります。
画面いっぱいまで拡大する
16:9の映像を32:9の横幅に合わせると、上下が大きく切れます。
人物の頭、ドレス、画面下のコメントなどが見えなくなることがあります。写真ごとに位置を調整していない映像には向きません。
左右へ背景を追加する
中央に元映像を置き、左右へ色、模様、写真、光の演出などを加えます。
元の構成を残しやすい方法ですが、左右が単なる引き伸ばし画像になっていると、32:9専用に作った映像には見えにくくなります。
最初から32:9で作る
写真、文字、装飾を32:9に合わせて配置します。
横幅を生かしやすく、会場のスクリーン全体を使えます。32:9対応を重視するなら、この方法で制作できるかを外注前に聞いておきます。
32:9では中央に情報を集めすぎない
一般的なムービーは、人物、名前、日付、コメントを中央付近にまとめることが多くなります。
同じ配置を32:9で使うと、中央だけが混み合い、左右が空いた画面になります。
32:9では、次のように横幅を使います。
- 新郎と新婦を左右に分ける
- ふたりの写真を中央に置く
- 年月や短い言葉を左右へ配置する
- 背景の光や装飾を横方向へ広げる
- 写真を複数枚並べて動きを出す
- カウントダウンを画面全体で見せる
ただし、文字を画面の端まで置くと、会場の機材によっては見切れることがあります。名前、日付、入場案内など、読めないと困る情報は中央寄りに残します。
32:9に向いている写真
横長の画面だからといって、横長写真だけを集める必要はありません。縦写真も、左右に別の写真や装飾を置けば使えます。
使いやすいのは次のような写真です。
背景が広く写った前撮り写真
ホテルの階段、庭園、海、建物などが広く写った写真は、横長画面と相性がよい素材です。
人物だけを大きく切り取らず、背景も残すことで、会場全体に広がりを出せます。
新郎新婦が別々に写った写真
新郎を左、新婦を右に置く構成に使えます。
一人ずつの写真は、顔の向きも見て選びます。新郎が右を向き、新婦が左を向いている写真を並べると、ふたりが向かい合う配置にできます。
ふたりが横に並んだ写真
正面を向いて並んだ写真、歩いている写真、手をつないでいる写真は、画面中央の主役として使いやすい素材です。
人物が画面の端に寄っている写真は、文字を置く余白として利用できる場合もあります。
ゲストと一緒に写った写真
横一列に並んだ集合写真は、32:9の横幅を使いやすい写真です。
ただし、人数が多すぎると一人ひとりの顔が小さくなります。上映するスクリーンの大きさだけでなく、後ろの席から見たときの見え方も考えます。
縦写真を無理に横へ広げない
スマートフォンで撮った縦写真を32:9いっぱいに広げると、上下を大きく切ることになります。
顔のアップなら使えることもありますが、全身写真では頭や足元が切れやすくなります。
縦写真は次の方法で使えます。
- 左右に2枚または3枚並べる
- 中央に縦写真を置いて左右に装飾を加える
- 同じ場面の写真を組み合わせる
- 背景にぼかした写真を敷く
- 写真を少しずつ横へ動かす
制作する人へ写真を送るときは、切ってほしくない部分も伝えます。
「ドレス全体を残したい」「背景の会場名を消したくない」など、写真ごとに希望を書いておくと、構図を決めやすくなります。
動画を入れる場合は撮影方向を見る
スマートフォンで撮った動画も、32:9ムービーへ入れられます。
横向きで撮った動画は比較的使いやすいものの、16:9の動画を32:9いっぱいに広げると上下が切れます。
縦動画では、さらに左右の空間が大きくなります。縦動画を入れたい場合は、次のどれにするか決めておきます。
- 縦長のまま中央に表示する
- 左右に写真や文字を置く
- 背景に同じ動画をぼかして表示する
- 人物を中心に切り取る
- 複数の縦動画を横に並べる
動画内の人物が端を歩いている場合、切り取りによって姿が見えなくなることがあります。使用したい時間だけでなく、残したい人物や場所も伝えてください。
大迫力の演出ほど文字は短くする
横幅の広いスクリーンには、多くの情報を入れられそうに見えます。
しかし、オープニングムービーは披露宴の始まりを知らせ、入場への期待を高めるための映像です。長い文章を読ませるより、写真と短い言葉でテンポを作るほうが合います。
画面に入れる言葉は、次のように絞ります。
- 新郎新婦の名前
- 挙式日
- 短い挨拶
- ゲストへの一言
- 入場を知らせる言葉
- カウントダウン
文章を入れる場合は、一文を短くします。
「本日は私たちの結婚披露宴にお越しいただき誠にありがとうございます」と一画面に入れるより、「本日はお越しいただき、ありがとうございます」と分けたほうが読みやすくなります。
入場のタイミングまで含めて考える
迫力のあるオープニングムービーでも、映像が終わってから入場まで長く待たされると、盛り上がりが途切れます。
映像の最後にカウントダウンを入れる場合は、次の流れを式場と共有します。
- ムービーを再生する
- 最後のカウントダウンが始まる
- 会場を暗くする
- 扉前で新郎新婦が待機する
- 映像終了に合わせて扉を開ける
- 入場曲へ切り替える
ムービー内の曲をそのまま入場時にも流すのか、映像終了後に別の曲へ変えるのかも決めます。
制作する人だけでは、式場の照明や扉を開ける秒数までは決められません。映像が完成したら、プランナーや音響担当者にも見てもらいます。
市販曲を使うなら申請先を決める
市販の音源をオープニングムービーへ収録する場合は、楽曲の利用手続きが必要です。ISUMでは、映像へ市販音源を収録する場合に必要な著作権と著作隣接権の手続き003search18
使いたい曲が決まっている場合は、次の点を式場へ聞きます。
- 式場が申請を行うのか
- 制作する人へ申請を頼むのか
- 希望曲が利用可能か
- 申請済みの音源データを誰が用意するのか
- ムービー用と入場用で別の手続きが必要か
サンプル映像で流れている曲を、そのまま結婚式でも使えるとは限りません。
特定の曲を前提に写真の切り替えを作る場合は、制作開始前に使用できるかを確かめます。使えないとわかってから別の曲へ変えると、映像の長さや切り替えを直すことになります。
納品形式は画面比率とは別に聞く
32:9に対応した映像データが完成しても、式場の再生機器に合わなければ上映できません。
画面比率とは別に、納品形式を聞いておきます。
- MP4などの動画データ
- DVD-Video形式
- Blu-ray
- USBメモリー
- 式場指定のオンライン提出方法
「DVDで持ち込める」と聞いた場合も、データファイルをDVDへ保存するだけでよいのか、家庭用プレーヤーで再生できるDVD-Video形式が必要なのかで作り方が違います。
式場の案内書に書かれていない場合は、「どの機械で再生する予定か」まで聞くと判断しやすくなります。
本番前に会場で試し再生する
自宅のパソコンで正しく見えても、式場では写真の端や文字が切れることがあります。
提出後に試し再生できるなら、次の部分を見ます。
- スクリーン全体に表示されているか
- 人物の顔や頭が切れていないか
- 名前や日付が読みやすいか
- 左右の映像に不自然な空白がないか
- 音量が小さすぎないか
- BGMと入場のタイミングが合うか
- 映像終了後に黒い画面が残るか
できれば、新郎新婦だけでなく、プランナーや音響担当者にも同席してもらいます。
試し再生後に修正する時間も必要です。式場への最終提出日ではなく、その一週間ほど前を自分たちの完成目標にすると動きやすくなります。
32:9対応ムービーを依頼する前にまとめる内容
外注先へ連絡する前に、次の情報を一つにまとめます。
- 挙式日
- 式場名
- 会場名
- スクリーンの正確な画面比率
- 式場指定の解像度
- 納品形式
- 式場への提出期限
- 試し再生の予定日
- 使用したい写真
- 使用したい動画
- 希望するBGM
- 入場方法
- 映像に入れたい名前と日付
- 式場から渡された注意事項
写真の選択まで任せる場合も、使ってほしくない写真は分けておきます。
提出する写真には番号を付け、「最後に使いたい写真」「必ず入れたい写真」「候補写真」の三つに分けると、制作する側が選びやすくなります。
まとめ
式場のスクリーンが32:9の場合は、一般的な16:9ムービーをそのまま用意するのではなく、横幅に合わせた構成が必要です。
まず式場へ、正確な画面比率、解像度、納品形式、提出期限を聞きます。そのうえで、32:9で最初から作るのか、16:9の映像に左右の背景を加えるのかを決めます。
写真は横長だけに限定せず、縦写真や一人写真も組み合わせられます。ただし、人物や文字を画面の端へ置きすぎると、本番で切れることがあります。
完成後は会場で試し再生し、映像の広がりだけでなく、文字の読みやすさ、音量、入場のタイミングまで見ておくと、本番直前の作りしを防げます。

