YouTubeサムネイルを外注したいものの、「参考にしたい画像を送ってください」と言われて困ることがあります。
自分の中に完成イメージがない、同じジャンルを探しても近いデザインが見つからない、他人のサムネイルに似せたくない。このような状態でも、参考画像なしで依頼できる場合があります。
ただし、「全部おまかせします」だけでは、落ち着いたデザインを期待していたのに派手なサムネイルが届くなど、方向がずれやすくなります。
参考画像の代わりに、動画の対象、伝えたい内容、希望する印象、避けたい見せ方を伝えることが必要です。
参考画像がなくてもサムネイルを依頼できる
参考画像は、希望する色、文字の大きさ、画像の配置などをデザイナーへ伝えるための資料です。
必ず用意しなければ依頼できないものではありません。動画の内容やチャンネルを確認したうえで、デザイナー側から方向を提案する依頼方法もあります。
ただし、対応範囲は依頼先によって異なります。
| 依頼先の対応 | 発注者が用意するもの |
|---|---|
| 指定どおりに制作 | 参考画像、文言、写真、色など |
| 方向を相談して制作 | 動画内容、視聴者、希望する印象など |
| ほぼおまかせで制作 | 動画や台本、チャンネル情報など |
| デザイン案から選ぶ | 複数案を作るための追加料金が必要な場合がある |
「おまかせ対応」と書かれていても、動画の視聴、画像の切り抜き、文言の考案まで含まれるとは限りません。
購入前に、何を渡せば制作を始められるのかを聞いておきます。
参考画像がないと決めにくいこと
参考画像がない依頼では、デザイナーが判断する範囲が広くなります。
特に決めにくいのは、次のような部分です。
- 派手にするか、落ち着かせるか
- 写真を大きく使うか、文字を中心にするか
- 明るい色にするか、暗い色にするか
- 人物の表情を強く見せるか
- 文字を何行入れるか
- 高級感を出すか、親しみやすくするか
- 動画の結果を見せるか、疑問を残すか
- 過去のサムネイルに合わせるか、変えるか
これらをすべて発注者が決める必要はありません。
「落ち着いた雰囲気は守りたいが、文字や配置は任せる」というように、変えたくない部分だけを指定します。
まず動画を一文で説明する
参考画像を探す前に、動画の内容を一文でまとめます。
たとえば、次のような形です。
- 初めて中古パソコンを買う人へ、選ぶときの注意点を説明する動画
- 飲食店の経営者へ、予約の無断キャンセル対策を紹介する動画
- 筋トレ初心者へ、ダンベルの重さの決め方を説明する動画
- WordPress初心者へ、古い電話番号が消えない原因を説明する動画
- 転職を考えている介護士へ、職場見学で見る場所を紹介する動画
「パソコンについて」「店舗経営について」だけでは範囲が広すぎます。
誰に向けた動画で、何を説明するのかまで書くと、使う写真や文字の方向を考えやすくなります。
誰に見てほしいかを伝える
同じテーマでも、視聴者によってデザインは変わります。
たとえば、投資について説明する動画でも、対象によって次のような違いが出ます。
初めて投資する人向け
- 専門用語を減らす
- 怖く見せすぎない
- 何を学べるか分かりやすくする
- 柔らかい色や読みやすい文字を使う
経験者向け
- 具体的な銘柄や数字を見せる
- 初歩的な説明より結論を押し出す
- 比較や分析を連想させる
- 余計な説明を減らす
年齢や性別だけでなく、動画を見る時点の知識や悩みを伝えます。
「30代男性向け」より、「副業を始めたいが何を選べばよいか分からない会社員向け」の方が、デザイナーは内容を考えやすくなります。
希望する印象を対になる言葉で伝える
「かっこよく」「おしゃれに」「目立つように」といった言葉は、人によって受け取り方が違います。
希望する印象は、対になる言葉を使うと伝わりやすくなります。
| 選ぶ項目 | 選択例 |
|---|---|
| 色 | 明るい・暗い |
| 雰囲気 | 親しみやすい・高級感がある |
| 情報量 | シンプル・情報を多く見せる |
| 文字 | 太く大きい・細く控えめ |
| 写真 | 自然・強く加工する |
| 印象 | 真面目・エンタメ寄り |
| 強さ | 落ち着いた・勢いがある |
| 年齢感 | 若者向け・幅広い年代向け |
すべてを指定する必要はありません。
「明るい、親しみやすい、文字は少なめ」のように、三つ程度に絞ります。
方向を任せたい場合は、「動画内容に合う方を選んでください」と書き添えます。
避けたいデザインを先に伝える
希望する見た目を説明できなくても、避けたい見せ方なら決められることがあります。
たとえば、次のような内容です。
- 赤と黄色を多用したくない
- 炎や稲妻を入れたくない
- 人物の顔を過度に加工したくない
- 「絶対」「ヤバい」などの強い言葉を避けたい
- 文字を何色も使いたくない
- 子ども向けに見えるデザインを避けたい
- 高額な情報商材の広告のように見せたくない
- 競合チャンネルに似せたくない
- 暗く不安をあおる見せ方にしたくない
避けたい内容が分かれば、デザイナーは選択肢を減らせます。
「おまかせ」の範囲も分かりやすくなり、初稿を見てから全面的に作り直す事態を防げます。
自分の過去動画を参考資料にする
他のチャンネルから参考画像を探せない場合は、自分の過去動画を使えます。
完成度が高いサムネイルでなくても構いません。
次のように、残したい部分と変えたい部分を分けて伝えます。
- チャンネルカラーは残したい
- ロゴの位置は変えたくない
- 文字が小さいので大きくしたい
- 毎回同じ構図なので変えたい
- 人物が目立たない点を直したい
- サムネイルごとの統一感を出したい
- 過去動画と同じジャンルだと分かるようにしたい
過去のサムネイルを見せる目的は、同じものを作ってもらうことではありません。
チャンネル内で残すルールと、今回変える部分を共有するために使います。
チャンネルURLだけでも伝わることがある
サムネイル画像を一枚ずつ集めなくても、チャンネルURLを渡せば、過去のデザインをまとめて見てもらえます。
チャンネルから分かるのは次のような内容です。
- よく使っている色
- 人物の見せ方
- 文字の量
- 動画のジャンル
- 視聴者の傾向
- 過去動画との統一感
- 再生リストごとの違い
ただし、依頼先がチャンネル全体を確認するとは限りません。
特に見てほしい動画を二つか三つ選び、「この動画の雰囲気は残したい」「こちらは文字が多すぎた」と説明します。
競合のサムネイルは「理由」を添えて渡す
他のチャンネルのサムネイルを参考として送る場合は、同じデザインにしてもらうのではなく、良いと感じた理由を書きます。
たとえば、次のように伝えます。
- 文字が短く、スマートフォンでも読める
- 商品写真が大きくて内容を判断しやすい
- 青を中心にした落ち着いた配色がよい
- 人物と文字の位置が重なっていない
- 数字が最初に目に入る
- 背景が単純で、主役が分かりやすい
- 動画タイトルとサムネイルの内容が重複していない
良い部分を言葉にすれば、デザイナーはその考え方を別の構図へ取り入れられます。
色、書体、人物の位置、装飾まですべて似せる依頼は避けます。
参考画像を無理に探さない方がよいケース
参考画像を用意することで、かえって方向が分かりにくくなることもあります。
動画の内容と参考画像が合っていない
見た目が好みでも、動画のジャンルが違えば、そのまま使えるとは限りません。
エンタメ動画の派手なサムネイルを、士業や医療など信頼感が必要なチャンネルへ持ち込むと、発信内容と合わなくなることがあります。
複数の参考画像に統一感がない
一枚目は高級感、二枚目はポップ、三枚目は恐怖をあおるデザインでは、何を優先するのか分かりません。
複数送る場合は、それぞれの参考にしたい部分を書きます。
有名チャンネルへ寄せすぎてしまう
有名な動画と似た見た目にすれば、必ずクリックされるわけではありません。
出演者、チャンネルの知名度、動画内容が違えば、同じ構図でも受け取られ方は変わります。
自分の動画で何を見せるかを優先します。
素材がない場合は参考画像とは別に伝える
参考画像がないことと、サムネイルに使う素材がないことは別の問題です。
デザインの参考はなくても、自分で撮影した写真や動画から切り取った画像を使える場合があります。
依頼前に、次のどれに当てはまるかを伝えます。
- 使用したい写真が決まっている
- 複数の写真から選んでほしい
- 動画内の場面を切り抜いてほしい
- フリー素材を探してほしい
- 写真を使わず文字と図形で作ってほしい
- 商品画像だけを支給する
- 人物の顔は使わない
動画からの切り抜きや素材探しは、サムネイル制作に含まれない場合があります。
「素材もおまかせ」と書くだけでなく、何を使ってよいのかを相談します。
初稿を見る前に完成形を決めすぎない
参考画像なしで依頼する場合、最初から細部まで想像するのは難しいものです。
そこで、最初の提出を完成品ではなく、方向をそろえるための案として見る方法があります。
初稿では、次の順番で見ます。
- 動画の内容が伝わるか
- 想定する視聴者に合っているか
- 希望した雰囲気になっているか
- 画像と文字のどちらが主役か
- 最初に読ませたい言葉が目立つか
- 避けたい表現が入っていないか
- 小さく表示しても読めるか
影、縁取り、数ピクセルの位置などを先に直すと、全体の方向が違った場合に作業が無駄になります。
まず構図や印象を見てから、細部を伝えます。
修正と方向変更を分ける
初稿を見て希望と違った場合は、何が違うのかを具体的に伝えます。
小さな修正
- 文字を少し大きくする
- 色を変更する
- 写真の位置を動かす
- 誤字を直す
- 一部の文言を短くする
方向の修正
- 派手な印象を落ち着かせる
- 写真中心から文字中心へ変える
- 不安をあおる見せ方をやめる
- 若者向けから経営者向けへ変える
全面的な変更
- 動画の訴求内容を変える
- 使用する写真をすべて変える
- 完成後に別の参考画像へ合わせる
- ビジネス系からエンタメ系へ変える
全面的な変更は、修正ではなく作り直しとして扱われる場合があります。
初稿を見てから別の方向を思いついたときは、対応範囲と追加費用を先に聞きます。
参考画像なしで依頼するときの伝え方
依頼文には、デザインの専門用語を書く必要はありません。
次のように、分かる範囲をまとめます。
「YouTube動画のサムネイル制作をお願いします。完成イメージに近い参考画像はありません。動画は、初めて中古パソコンを購入する人へ、選ぶときの注意点を説明する内容です。落ち着いた雰囲気で、難しそうに見えないデザインを希望します。赤と黄色を多用した強い煽り表現は避けたいです。動画内の3分20秒付近にあるパソコンの画像を使いたいです。文字や配置は、動画内容に合わせてご提案ください。」
最低限、次の項目を入れます。
- 動画のテーマ
- 見てほしい人
- 最も伝えたい内容
- 希望する印象
- 避けたい表現
- 使いたい画像
- 入れたい文言
- 希望納期
- 過去のチャンネルURL
- 任せたい範囲
決まっていない部分は、「未定」「提案希望」と書きます。
曖昧なまま隠すより、判断を任せたい場所が分かる方が進めやすくなります。
完成後は実際の表示に近い大きさで見る
サムネイルは、制作画面では大きく表示されています。
大きな状態で読みやすくても、スマートフォンの一覧画面では文字が小さくなることがあります。
完成後は次の点を見ます。
- 最初に読む言葉が決まっているか
- 何についての動画か分かるか
- 文字が背景に埋もれていないか
- 顔や商品が小さすぎないか
- 右下の再生時間表示と重ならないか
- 過去動画と見分けられるか
- 動画タイトルと同じ説明を繰り返していないか
- 強すぎる表現になっていないか
YouTubeは、カスタムサムネイルに16:9の比率と高い解像度を使うよう案内しています。
納品サイズだけでなく、一覧へ並んだときに主要な文字と画像が残るかを見ます。
公開後の数字を次回の参考資料にする
参考画像がなくても、一度公開すれば、自分のチャンネル内に判断材料が増えます。
次回の依頼では、公開後の結果と感想を伝えます。
- 以前よりクリック率が上がった
- スマートフォンでは文字が読みにくかった
- 人物を大きくした動画の反応がよかった
- 黄色を使った動画が過去動画と見分けにくかった
- 内容は伝わったが、チャンネルの雰囲気と合わなかった
- 視聴者から見やすいという反応があった
利用条件を満たすチャンネルでは、YouTube Studioで最大3種類のタイトルやサムネイルを比較できます。結果はクリック数だけではなく、視聴時間を基に決まります。
最初から完璧な参考画像を探すより、自分の公開結果を次回へ残す方が、チャンネルに合った基準を作れます。
参考画像なしで制作を依頼する前に整理すること
依頼前には、参考画像を探し続けるのではなく、デザイナーが判断できる材料を一枚のメモにまとめます。
必ず伝える内容
- 動画の内容
- 見てほしい人
- サムネイルで押し出したい部分
- 使用する写真や動画の時間
- 入れたい文言
- 希望納期
決まっていれば伝える内容
- 希望する色
- 明るいか暗いか
- 真面目かエンタメ寄りか
- 文字を多くするか少なくするか
- 過去デザインとの統一
- ロゴの有無
避けたい内容
- 使用したくない色
- 強すぎる言葉
- 過度な人物加工
- 似せたくないチャンネル
- 使ってはいけない写真
- 動画内にない結論
この情報を渡したうえで、文字の配置、写真の大きさ、細かな装飾を任せます。
初稿後の修正回数、方向変更の扱い、納品形式、実績公開の有無も、制作開始前にそろえておきます。
まとめ
YouTubeサムネイルは、完成イメージに近い参考画像がなくても依頼できる場合があります。
その代わりに伝えたいのは、動画の対象、最も見せたい内容、希望する印象、避けたい表現です。
「おしゃれ」「目立つ」だけでは受け取り方が分かれるため、「明るい」「親しみやすい」「文字は少なめ」のように、具体的な言葉へ置き換えます。
他のチャンネルの画像を無理に探す必要はありません。自分の過去動画やチャンネルURLも参考資料になります。
変えたくない部分と任せる部分を分けて渡し、初稿では細かな装飾より全体の方向から見ると、参考画像がなくてもやり取りを進めやすくなります。

